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ダンジョン何階まで潜れる?
PHASE-685【俺の奢りだ。って言ってみたい】
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行きは悪路もない平原を一日だったけど、帰りは荷物もあるから一日半の行程と考えとけばいいかな。
「わ~」
イルマイユもゆっくりと風景を楽しみたいようだしな。
「ところで爪って――」
「そうね。まあ、ドラゴンの姿になってから先端だけを切ればいいだけよ」
「なるほどね。その先端のためにね……」
「全くもって人間は馬鹿なのよ。ま、いまの時代の人間は少しはまともみたいだけど」
「というか、追い詰められて生存する事を第一にしているから、他に欲が向いてないだけだろ」
「確かに」
「平和になって心にゆとりが生まれるようになる世界を目指したいけど、平和になると開放的になって、悪のりするお馬鹿も出て来るからね。そんなお馬鹿は大抵、欲に溺れる。邪や欲に染まらないように法を徹底したものにしないとな」
それでも密猟はなくならないんだろうけどな。
危険を冒してもデカい稼ぎとなれば、危険も罪悪感も薄れるからな。
これはどこの世界でも一緒だ。
「密猟をする者もいれば、それに対して保護する者達もいる。後者に対して力添えが出来る未来を作ろう」
二の句を継げば、
「貴男はちゃんとした考えを持っているのね。ますます気に入ったわよ」
「おう……」
「トール。鼻の穴が開いてるよ」
「俺はいいから外を見てなさい」
美人に気に入ったと言われるのは童貞の俺には破壊力抜群。
この程度、いつも言われて慣れてるってポジションになりたいもんだと常々思う。
そうすれば男として余裕も出て来るんだろうけどな。
どうしても鼻の穴が開いてしまう十六歳。
――――ゆっくり速度で平原から街道へと入り、予想通り一日と半にてドヌクトスへと到着。
ドヌクトス外周を警戒するS級さん達と侯爵の兵達は、トラックを見た時点で警戒は緩めに変わる。
それでも万が一に備えて、即応できるように構えを崩さない姿は流石。
窓から顔を出して目を合わせれば、
「どうだったんだい?」
目出し帽なので、誰なのか直ぐに認識するのは難しいが、優しい声でオジマさんだと理解する。
「今日は外周警邏ですか」
「明日までね」
「了解です。この地の冒険者だけでなく、皆さんにも酒を奢らせてもらいますよ!」
「最高の結果だったようだね」
「ええ!」
お目当ての爪は本人ごと連れてくることが出来たし、金塊だけでなく、金で出来た装身具だってある。
運転中に聞いたのは、金装備はただ金で作っただけの物だから、お金に換えてしまえばいいとの事だった。
金の装備は昔に流行った拵えの物らしく、当時の有名な鍛冶職人と彫金師によって作られた代物だそうだ。
当時のリンと関係のある人物だったそうで、目利きの収集家が見れば、大金をつぎ込んでも買ってくれるとの事だった。
現在、侯爵領では王都への協力のための派兵が進んでいる。
もちろんそこにはバランド地方の貴族や素封家、大商人だっているわけだから、競売にかければドンドンと競り上がっていくこと間違いなし。
俺は競りは素人だからな。ここは侯爵にお願いしよう。
辺境候としてバランド地方の顔である侯爵が競売をするとなると、貴族や金持ち達が信頼して競りに興じてくれるはずだからね。
競りの結果が楽しみだな。
楽しみが増えるのはいい事だ。
今回は少しくらい羽目を外して贅沢のための散財をするのも良いだろう。
ここいらのギルドや野良の冒険者とも仲良くならないといけない。
その為には投資も大事だ。
ギルド間で協力し合えば、俺たちの知らない情報だって提供してくれるかもだし。
――――ふむ。散財をするといっても、俺個人の為じゃないんだよな。
全てはギルドの為ってのがね。
良いんだが悪いんだか。
真面目とも思われるし、面白味の無い男とも思われる。
悪い人間と思われるよりはましだけど。
この考えを抱き続けて、日本に帰ったら企業を立ち上げて、社畜社長でも目指そうかな。
社員ホワイト。社長はブラックって会社でもやるか……。
――……そうなると今とあんまり変わらないな……。
「わ~」
イルマイユもゆっくりと風景を楽しみたいようだしな。
「ところで爪って――」
「そうね。まあ、ドラゴンの姿になってから先端だけを切ればいいだけよ」
「なるほどね。その先端のためにね……」
「全くもって人間は馬鹿なのよ。ま、いまの時代の人間は少しはまともみたいだけど」
「というか、追い詰められて生存する事を第一にしているから、他に欲が向いてないだけだろ」
「確かに」
「平和になって心にゆとりが生まれるようになる世界を目指したいけど、平和になると開放的になって、悪のりするお馬鹿も出て来るからね。そんなお馬鹿は大抵、欲に溺れる。邪や欲に染まらないように法を徹底したものにしないとな」
それでも密猟はなくならないんだろうけどな。
危険を冒してもデカい稼ぎとなれば、危険も罪悪感も薄れるからな。
これはどこの世界でも一緒だ。
「密猟をする者もいれば、それに対して保護する者達もいる。後者に対して力添えが出来る未来を作ろう」
二の句を継げば、
「貴男はちゃんとした考えを持っているのね。ますます気に入ったわよ」
「おう……」
「トール。鼻の穴が開いてるよ」
「俺はいいから外を見てなさい」
美人に気に入ったと言われるのは童貞の俺には破壊力抜群。
この程度、いつも言われて慣れてるってポジションになりたいもんだと常々思う。
そうすれば男として余裕も出て来るんだろうけどな。
どうしても鼻の穴が開いてしまう十六歳。
――――ゆっくり速度で平原から街道へと入り、予想通り一日と半にてドヌクトスへと到着。
ドヌクトス外周を警戒するS級さん達と侯爵の兵達は、トラックを見た時点で警戒は緩めに変わる。
それでも万が一に備えて、即応できるように構えを崩さない姿は流石。
窓から顔を出して目を合わせれば、
「どうだったんだい?」
目出し帽なので、誰なのか直ぐに認識するのは難しいが、優しい声でオジマさんだと理解する。
「今日は外周警邏ですか」
「明日までね」
「了解です。この地の冒険者だけでなく、皆さんにも酒を奢らせてもらいますよ!」
「最高の結果だったようだね」
「ええ!」
お目当ての爪は本人ごと連れてくることが出来たし、金塊だけでなく、金で出来た装身具だってある。
運転中に聞いたのは、金装備はただ金で作っただけの物だから、お金に換えてしまえばいいとの事だった。
金の装備は昔に流行った拵えの物らしく、当時の有名な鍛冶職人と彫金師によって作られた代物だそうだ。
当時のリンと関係のある人物だったそうで、目利きの収集家が見れば、大金をつぎ込んでも買ってくれるとの事だった。
現在、侯爵領では王都への協力のための派兵が進んでいる。
もちろんそこにはバランド地方の貴族や素封家、大商人だっているわけだから、競売にかければドンドンと競り上がっていくこと間違いなし。
俺は競りは素人だからな。ここは侯爵にお願いしよう。
辺境候としてバランド地方の顔である侯爵が競売をするとなると、貴族や金持ち達が信頼して競りに興じてくれるはずだからね。
競りの結果が楽しみだな。
楽しみが増えるのはいい事だ。
今回は少しくらい羽目を外して贅沢のための散財をするのも良いだろう。
ここいらのギルドや野良の冒険者とも仲良くならないといけない。
その為には投資も大事だ。
ギルド間で協力し合えば、俺たちの知らない情報だって提供してくれるかもだし。
――――ふむ。散財をするといっても、俺個人の為じゃないんだよな。
全てはギルドの為ってのがね。
良いんだが悪いんだか。
真面目とも思われるし、面白味の無い男とも思われる。
悪い人間と思われるよりはましだけど。
この考えを抱き続けて、日本に帰ったら企業を立ち上げて、社畜社長でも目指そうかな。
社員ホワイト。社長はブラックって会社でもやるか……。
――……そうなると今とあんまり変わらないな……。
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