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北伐
PHASE-707【戦隊ヒーロー見てる子供の図】
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「ですが、油断は駄目ですよ。大軍を巧みに指揮する優秀な用兵家がいれば、苦戦は必至。戦いもしないうちに侮るなんて愚です」
皆が余裕とばかりに笑みを見せているので、椅子から立ち上がり説く。
基本どんな作品でも侮れば取り返しのつかない敗北ルートに突入するからね。
ここは作品の世界じゃなく現実。だからこそ油断怠りなく慎重に備えないと。
「主の言うとおりです。ですので戦いとなった時は、我らの拠点でもあるトールハンマーより、陥陣営殿に出陣して頂きたいと思います」
「「「「おお!」」」」
先生の発言に、王様を始め臣下の皆さんが嬉々とした声を上げる。
「無論、主の許可が必要ですが」
南の魔王軍に睨みを利かせる為にってことで高順氏を配置している。
高順氏が出陣しても、要塞防衛力を維持する事が出来るからこそ、動いてもらうと先生は言っているんだろうから――、
「問題ないですよ」
と、素直に言える。
「「「「おお!!」」」」
と、また喜びの声。
高順氏がそれだけ活躍してくれているって事なんだろうけど、だとしても喜びすぎじゃないか?
勇者殿の仲間に勇者あり! や、これで相手は為す術もなく敗れ去る。などと、随分と高評価だ。
確かに有能な武将ではある。
でも三国志の中だと、有名どころに比べるとステータスは見劣ってしまうのも事実。
俺はこの人の人間性が好きだからお気に入りの武将でもあるんだけど、だとしてもこの皆さんの高評価は何なんだ?
「主たちは極東にいたので陥陣営殿の功績は分かっておりますまい」
ということで、先生が俺たちがいなかった間の話をしてくれる。
王様を始め臣下の方々は目を輝かせ、円卓に前のめりになりそうな勢いで先生の方に耳を傾けている。
まるで英雄譚を聞かされる子供のようだった。
要塞トールハンマーは建設が続く未完成の要塞だが、現在も南側からの攻撃を防ぐ要となっている地点。
様子見に移行した魔王軍ではあるけども、それでもただ静観しているのではなく、ちょっとした攻撃を仕掛けてくることはあったそうだ。
七度の攻撃をトールハンマーは防ぎきったという。
そして、その防衛の悉くで圧倒的な勝利。
特に五度目の勝利は高順氏を始め、ギルドメンバーと在駐する王兵たちが神がかっていたそうだ。
様子見で手を出していた魔王軍だったが、流石に四度も敗北してしまえばプライドが汚されたと思ったようで、五度目の侵攻は威力偵察のそれではなく、蹂躙王配下の精兵三千による侵攻だったそうだ。
湿地を利用した要塞とあって、大型の攻城兵器の類いはなかった、
代わりとなるのが、オーガやトロールのような大型の亜人たちが生ける攻城兵器となって、岩などの投擲による城壁破壊。
そして、そこからなだれ込むように軽装の部隊を進入させて占拠。
動きの速い狼に騎乗したゴブリンライダーや、オークなどが騎乗する馬サイズの大型の狼であるワーグによる攻撃で圧倒する。
――つもりだったのだろう。
でもその戦略は空想で終わった。
五度目の防衛時。トールハンマーの兵力は百五十余。
数の上では圧倒的に不利。だからこそ蹂躙王も攻城戦を画策していたのだろうが、そこは高順氏だった。
通り名は先生が普段から呼称する陥陣営。
戦いに赴けば必ず敵陣、敵拠点を陥落させることからそう呼ばれるようになった勇将。
百五十の内、百を引き連れて、あろう事か要塞より打って出たという。
――話がこの部分に差し掛かかると、少し離れた位置に座る王様のフンス! という興奮した鼻息が俺の耳朶に届く。
それが伝播するように臣下の皆さんも興奮。
でもって、英雄に対して敬意を払うベルも、真っ直ぐと伸ばしていた背筋が前傾姿勢になっていた。
話に集中したいんだけども……。
円卓に――――中佐の胸がのっかっております! あの部分になりたいであります!!
皆が余裕とばかりに笑みを見せているので、椅子から立ち上がり説く。
基本どんな作品でも侮れば取り返しのつかない敗北ルートに突入するからね。
ここは作品の世界じゃなく現実。だからこそ油断怠りなく慎重に備えないと。
「主の言うとおりです。ですので戦いとなった時は、我らの拠点でもあるトールハンマーより、陥陣営殿に出陣して頂きたいと思います」
「「「「おお!」」」」
先生の発言に、王様を始め臣下の皆さんが嬉々とした声を上げる。
「無論、主の許可が必要ですが」
南の魔王軍に睨みを利かせる為にってことで高順氏を配置している。
高順氏が出陣しても、要塞防衛力を維持する事が出来るからこそ、動いてもらうと先生は言っているんだろうから――、
「問題ないですよ」
と、素直に言える。
「「「「おお!!」」」」
と、また喜びの声。
高順氏がそれだけ活躍してくれているって事なんだろうけど、だとしても喜びすぎじゃないか?
勇者殿の仲間に勇者あり! や、これで相手は為す術もなく敗れ去る。などと、随分と高評価だ。
確かに有能な武将ではある。
でも三国志の中だと、有名どころに比べるとステータスは見劣ってしまうのも事実。
俺はこの人の人間性が好きだからお気に入りの武将でもあるんだけど、だとしてもこの皆さんの高評価は何なんだ?
「主たちは極東にいたので陥陣営殿の功績は分かっておりますまい」
ということで、先生が俺たちがいなかった間の話をしてくれる。
王様を始め臣下の方々は目を輝かせ、円卓に前のめりになりそうな勢いで先生の方に耳を傾けている。
まるで英雄譚を聞かされる子供のようだった。
要塞トールハンマーは建設が続く未完成の要塞だが、現在も南側からの攻撃を防ぐ要となっている地点。
様子見に移行した魔王軍ではあるけども、それでもただ静観しているのではなく、ちょっとした攻撃を仕掛けてくることはあったそうだ。
七度の攻撃をトールハンマーは防ぎきったという。
そして、その防衛の悉くで圧倒的な勝利。
特に五度目の勝利は高順氏を始め、ギルドメンバーと在駐する王兵たちが神がかっていたそうだ。
様子見で手を出していた魔王軍だったが、流石に四度も敗北してしまえばプライドが汚されたと思ったようで、五度目の侵攻は威力偵察のそれではなく、蹂躙王配下の精兵三千による侵攻だったそうだ。
湿地を利用した要塞とあって、大型の攻城兵器の類いはなかった、
代わりとなるのが、オーガやトロールのような大型の亜人たちが生ける攻城兵器となって、岩などの投擲による城壁破壊。
そして、そこからなだれ込むように軽装の部隊を進入させて占拠。
動きの速い狼に騎乗したゴブリンライダーや、オークなどが騎乗する馬サイズの大型の狼であるワーグによる攻撃で圧倒する。
――つもりだったのだろう。
でもその戦略は空想で終わった。
五度目の防衛時。トールハンマーの兵力は百五十余。
数の上では圧倒的に不利。だからこそ蹂躙王も攻城戦を画策していたのだろうが、そこは高順氏だった。
通り名は先生が普段から呼称する陥陣営。
戦いに赴けば必ず敵陣、敵拠点を陥落させることからそう呼ばれるようになった勇将。
百五十の内、百を引き連れて、あろう事か要塞より打って出たという。
――話がこの部分に差し掛かかると、少し離れた位置に座る王様のフンス! という興奮した鼻息が俺の耳朶に届く。
それが伝播するように臣下の皆さんも興奮。
でもって、英雄に対して敬意を払うベルも、真っ直ぐと伸ばしていた背筋が前傾姿勢になっていた。
話に集中したいんだけども……。
円卓に――――中佐の胸がのっかっております! あの部分になりたいであります!!
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