異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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北伐

PHASE-841【反射タイプ】

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「逃がさんぞ!」
 バラッジを放ちながら俺へと接近。
 左拳で練りに練った、

「ワンショット」
 を零距離でぶち当ててくる。
 流石にイグニース越しでも強い衝撃が伝わってくる。

「耐えるか。ならば――」
 アクセル。目の前で消えるなら――背後。

「もう一撃。ワンショット。バーストフレア」

「それはずるい」
 肩越しに見る光景はガリオンの両手が輝く様。
 右拳はオレンジ色を纏い。左手前方では赫々とした球体が顕現。
 前面展開していたイグニースを直ぐさま半球状へと変更。
 大きな爆発の後、俺は回避のために宙を舞う。
 有りがたいことにダメージは少なかったが、爆発の威力は絶大だった。

「イグニース。便利な魔法を使用する」
 まったくだよ。お陰で致命傷を毎回避けられているからな。
 今度はこちらから仕掛けさせてもらう。
 着地と同時にアクセルでガリオンに接近。
 着地する間に左籠手にて準備していた弱烈火。
 斬撃が効果薄なら、打撃に限る。
 刀剣なんかの刃に強い鎧も、ウォーハンマーやメイスの打撃系には弱かったりするからな。

「来い!」
 俺の動きで何をするかを想定したガリオンは腰を落として防御の姿勢。
 躱すという事は選択肢にないようだ。

「回避を選ばなかったことを後悔させてやるさ!」
 よほどの自信からか、余裕の笑みで待ち構える。
 笑みを苦痛に変えてやるという気概と共に、顔面へと目がけて弱烈火。
 綺麗に決ま――!?
 決まったと思った矢先に、俺の左腕に激痛。
 同時に吹き飛ばされて床を転がる。

「くそ! なんだ!?」
 素早く立ち上がり、右手に握る残火の切っ先をガリオンに向ける。

「ハハハハハ――」
 が、先ほどの場から一歩も動かずに強者の笑い。
 その時間を活用して体を確認。
 左手は――無事か。
 無事ではあったが、指を動かせば痛みが走る。
 痛みがあれば残火の両手持ちが難しくなるので、直ぐさまハイポーションを雑嚢から取り出して一気飲み。
 ――からの指の確認。
 にしても、何だったんだ?
 まるで烈火の爆発衝撃が、相手ではなく俺にそのまま返ってきたような。

「スペルゲン反射鏡かな?」

「また訳の分からんことを?」
 俺の攻撃を防いでしかも吹っ飛ばしたからか、随分と上機嫌だな。
 烈火がダメなら、

「ブレイズ!」
 魔法付与やピリアによる強化で体を守っているなら、こっちも刀身に魔法を宿して攻撃すればよし。
 
 やってやる!
 
 悠々と不動の姿勢で佇む姿でいることを今度こそ後悔させてやろうと、残火を大上段まで振り上げて疾駆。
 逆巻く炎の刀身を振り下ろせば流石に防御の姿勢。
 頭の上で腕をクロスさせる。
 これも戦い。申し訳ないけど腕二本は斬らせてもらう。
 刃が腕に触れる寸前――、またも吹き飛ばされる。
 でも今回は吹き飛ばされただけ。ダメージはほぼ無かった。
 弱烈火の時のような衝撃を受ける事がなかったのは、先ほどと違って残火が衝撃を受けてくれたからだろう。

「本当にどんなトリックだ? コクリコ」
 この世界の住人に教えを請う。

「分かりません」
 即答だった。
 ラルゴ達を指揮しながら敵と相対しているって事で簡素な返事だったけど、本当に見たことのないピリアだったようだ。
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