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北伐
PHASE-878【どうにもならん……】
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水のカーテンを何事もなく貫いて迫る木剣の切っ先に対し、これまた背を反らせて刺突を回避。
ま、ここまでだろうな。
「ぐぅ!」
胸部に鈍痛。
「いっだい!」
遅れて左の外側広筋への衝撃。
無事だった右足をバネにしてのバックステップ。
「動けるんだな」
「分かってたからな」
刺突を躱したまでが俺の限界。
突きから続けざまの斬撃をベルが見舞ってくるというのは分かっていたけど、防御による対応となると、現在の俺の実力では体がついていけず、覚悟と共に受けるしかなかった。
刺突から手首を振っての縦の斬撃に加えてお得意のローキック。
回避は出来なかったけど、このコンボに対して当たる箇所を力ませて痛みを軽減させたことには成功した。
十分痛いけど……。
倒れなかった自分を褒めたい。
「ふぃ~」
でもまあ……、手心だよな。
これが真剣で相手の命を奪うとなると、刺突と斬撃の二連撃だけじゃすまないからな。
目で捉えることの出来ない高速の斬撃をいくつも叩き込むのがベルだ。
今のは二振りと蹴り一撃だけ。
まだまだだな。俺……。
勝利は当然ながら、一太刀を見舞うって想像も全くもって浮かばない。
このままだとコクリコの言った通りになりそうで、とても嫌だ。
「やはり無理があるのかぁぁぁぁぁ! いや~一撃が遠いですね~。解説のゲッコーさん」
「これは無理なようですね~」
って、二人して言うのもムカつく!
コロッセオにて見ている面子は、基本静かに見守っているから余計にこの二人のやり取りが際立つからムカつく!
語尾をのばすなよ!
「どうした? もっと使っていいんだぞ。それこそ残火に纏わせる炎や盾をな」
ブレイズは残火に埋め込まれたタリスマンあってのものだしな。
残火がないと使用できない駄目な俺。
イグニースは籠手を装備しているから使用できるけど、こういった模擬戦で使用していいのか? という抵抗がある。
卑怯だと勝手に思ってる俺がいる。
マスリリースを使用していてなんだけどな。
火龍装備の技は俺個人じゃなく火龍装備に依存しているから、こういった試合での使用となるとどうしても抵抗が芽生える。
「仕掛けてこないならば、こちらから仕掛ける」
これだよ……。
瞬時にして俺の前から姿を消す。
素の状態でアクセルみたいなのを使用してくるからね。
これだから最強さんは……。
「アクセル」
左の外側広筋の痛みは残っているが、ここも気合いでカバー。
立っていた位置から高速回避すれば、
「それでは逃げられん」
と、当たり前のように俺の背後にいるんだからな。
「この」
反転して牽制のために木刀で横薙ぎ、牽制にもならず簡単に捌かれて体勢を崩されるけども、
「オラオラオラオラッ!」
転びそうな姿勢で無理矢理に打ち込む。
低い位置、ベルの下半身を狙うような形になるので、
「ふん」
小気味よく鼻を鳴らした気概と共に俺の頭上から木剣。
籠手でそれを受け止めつつ足を狙うも、
「頑張った方だな」
無理くそな斬撃なんかが当たるわけもなく、転びそうな体勢の側面から再び蹴撃。
――! 喰らって転がる。
「くっそ!」
痛みなんかよりも立つことを優先。
「いいじゃないか」
楽しくなってきたのか、待つことをしなくなったベルが立て続けに仕掛けてくる。
駆け足からの――神速。
「なめんなよ」
ベルほどじゃないけどアクセルを使用してくる男の動きを捕捉したのは記憶に新しい。
ガリオンのアクセルに対して使用したブーステッドは、ガリオンの高速移動をしっかりと捉えることができ、対処して勝利した。
禁じ手としていたピリアならば、ベルの動きにだって少しは対応できると信じつつ――、
「ブーステッド」
約五秒という使用制限を課しているけども、その恩恵は素晴らしく、俺の瞳は正面から迫るベルの動きを見ることを可能とした。
ま、ここまでだろうな。
「ぐぅ!」
胸部に鈍痛。
「いっだい!」
遅れて左の外側広筋への衝撃。
無事だった右足をバネにしてのバックステップ。
「動けるんだな」
「分かってたからな」
刺突を躱したまでが俺の限界。
突きから続けざまの斬撃をベルが見舞ってくるというのは分かっていたけど、防御による対応となると、現在の俺の実力では体がついていけず、覚悟と共に受けるしかなかった。
刺突から手首を振っての縦の斬撃に加えてお得意のローキック。
回避は出来なかったけど、このコンボに対して当たる箇所を力ませて痛みを軽減させたことには成功した。
十分痛いけど……。
倒れなかった自分を褒めたい。
「ふぃ~」
でもまあ……、手心だよな。
これが真剣で相手の命を奪うとなると、刺突と斬撃の二連撃だけじゃすまないからな。
目で捉えることの出来ない高速の斬撃をいくつも叩き込むのがベルだ。
今のは二振りと蹴り一撃だけ。
まだまだだな。俺……。
勝利は当然ながら、一太刀を見舞うって想像も全くもって浮かばない。
このままだとコクリコの言った通りになりそうで、とても嫌だ。
「やはり無理があるのかぁぁぁぁぁ! いや~一撃が遠いですね~。解説のゲッコーさん」
「これは無理なようですね~」
って、二人して言うのもムカつく!
コロッセオにて見ている面子は、基本静かに見守っているから余計にこの二人のやり取りが際立つからムカつく!
語尾をのばすなよ!
「どうした? もっと使っていいんだぞ。それこそ残火に纏わせる炎や盾をな」
ブレイズは残火に埋め込まれたタリスマンあってのものだしな。
残火がないと使用できない駄目な俺。
イグニースは籠手を装備しているから使用できるけど、こういった模擬戦で使用していいのか? という抵抗がある。
卑怯だと勝手に思ってる俺がいる。
マスリリースを使用していてなんだけどな。
火龍装備の技は俺個人じゃなく火龍装備に依存しているから、こういった試合での使用となるとどうしても抵抗が芽生える。
「仕掛けてこないならば、こちらから仕掛ける」
これだよ……。
瞬時にして俺の前から姿を消す。
素の状態でアクセルみたいなのを使用してくるからね。
これだから最強さんは……。
「アクセル」
左の外側広筋の痛みは残っているが、ここも気合いでカバー。
立っていた位置から高速回避すれば、
「それでは逃げられん」
と、当たり前のように俺の背後にいるんだからな。
「この」
反転して牽制のために木刀で横薙ぎ、牽制にもならず簡単に捌かれて体勢を崩されるけども、
「オラオラオラオラッ!」
転びそうな姿勢で無理矢理に打ち込む。
低い位置、ベルの下半身を狙うような形になるので、
「ふん」
小気味よく鼻を鳴らした気概と共に俺の頭上から木剣。
籠手でそれを受け止めつつ足を狙うも、
「頑張った方だな」
無理くそな斬撃なんかが当たるわけもなく、転びそうな体勢の側面から再び蹴撃。
――! 喰らって転がる。
「くっそ!」
痛みなんかよりも立つことを優先。
「いいじゃないか」
楽しくなってきたのか、待つことをしなくなったベルが立て続けに仕掛けてくる。
駆け足からの――神速。
「なめんなよ」
ベルほどじゃないけどアクセルを使用してくる男の動きを捕捉したのは記憶に新しい。
ガリオンのアクセルに対して使用したブーステッドは、ガリオンの高速移動をしっかりと捉えることができ、対処して勝利した。
禁じ手としていたピリアならば、ベルの動きにだって少しは対応できると信じつつ――、
「ブーステッド」
約五秒という使用制限を課しているけども、その恩恵は素晴らしく、俺の瞳は正面から迫るベルの動きを見ることを可能とした。
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