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新公爵
PHASE-889【いつかお邪魔したい】
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「では私は戻らせてもらう」
「ありがとうございました」
騎乗のままワーグに跨がる高順氏に挨拶を行う。
「権力を得てもそれに溺れることのないように」
「高順氏の諫言、俺はしっかりと聞き入れますよ」
「そうか」
と、なんだが嬉しそう。
呂布を諫める事が出来た唯一の武将と言ってもいい人物。
呂布を諫める度に煙たがられて嫌がらせをされていたけど、俺は聞き入れるだけの才能はある。
それ以外の才能がない分、俺より能力の勝る人物たちの発言はしっかりと聞き入れて成長に繋げるつもりだ。
「再びトールハンマーでの守護をお任せします」
「貴公らが北で活動している間しっかりと目を光らせておく。何人の侵攻も許さん」
心強い発言の高順氏は、新たに王軍に参加した諸侯の兵達から選抜された二千騎を引き連れてトールハンマーへと戻っていく。
その中には豪族のロンゲル氏と彼の指揮下にあった訛り兵たちも含まれていた。
しっかりとこの要塞で報酬を受け取り、更に功績を挙げるために前線へと赴くようだ。
二千騎のほとんどは日和見で参加が遅れた諸侯たちから預かった兵達。
戦勝側の王様や俺たちに対するご機嫌取りといった思惑があるんだろうけども、兵士を預けてくれる以上は有りがたくその力を借りさせてもらう。
なんといっても高順氏が率いればそれだけで強くなるし成長もするからな。
騎兵の中には魔術師系の服装の者たちも混ざっていた。
トールハンマーに様々な能力を有した者たちが配置されればそれだけで防衛力もぐんっと上がるというものだ。
魔狼ワーグに跨がる白銀の鎧を纏った強者を中心とした一団がこっちへと手を振り、別れを告げながら南へと馬を走らせていく。
そして――、
「それではコールブランド王よ、我々も」
「ご助力、感謝します。エリンダルク王にもお伝えください。ミルドが一段落したらそちらに伺い、謝辞を述べさせていただきますと」
「必ず伝えます」
ここで心の友であるダンブル子爵と共に馳せ参じてくれたエルフさん達も自分たちの国に帰るようだ。
俺はこの方々が活躍するのはそこまで目にすることは出来なかったけど、ライム渓谷での活躍は耳にすることが出来た。
高順氏が先頭となって攻撃へと打って出るために軍編制をしている間、砦において卓抜した弓術と魔法を使用し、渓谷の戦いで公爵軍の攻勢を大いに挫いた活躍だったと、謁見の間での感賞の中で聞かされた。
感賞といえば、活躍した者たちの代表に報酬を与えるだけでも苦労するというのも今回初めて知った。
代表者だけでも大人数。
王様はその一人一人を褒め称えて報酬を与えるんだからね。それだけで丸一日を要した。
俺は立っていただけだったけど、それでもしんどかったから王様はもっと大変だっただろう。
俺も公爵としていずれはやらないといけないんだろうな。
「それと――シャルナ殿」
「は~い」
ここでなぜか俺たちの側で体を縮こまらせていたシャルナに、ハイエルフの方が話しかけてくる。
そういえば北伐に向かう最中、ダンブル子爵と合流した時もシャルナは急にいなくなってたな。
コクリコはお花摘みとか言ってたけども……。
他にも普段より物静かだったよな。
「おいシャルナ。お前エルフの国で悪さして外の世界に逃げてきたとかじゃないだろうな?」
「ちっがうわよ!」
強く否定された。
シャルナの性格上、悪さってのはしないだろうが、この過剰なほどの否定からするに何かしらの事をエルフの国でやらかしたってのは分かる。
「シャルナ殿」
「なに!」
「ようやく話せるというのに……」
「ごめんなさいね~。怒りやすいのは更年期だからなの」
「はぁ!? 急に横から出てこないでよアンデッド!」
悪そうに微笑んでいるリンを押しのけてシャルナがハイエルフの前に立てば、
「近いうちに顔を出すと伝えておいて」
「かしこまりました」
ハイエルフのお一人が恭しく挨拶。
シャルナっていいとこの出身のようだな。
「もしかして王族?」
「全然」
と、否定が返ってくる。
サバサバした性格だからな。否定って事は本当に違うって事だろう。
これはミルド領の後にはエルフの国にもお邪魔しないといけないかもね。
「ありがとうございました」
騎乗のままワーグに跨がる高順氏に挨拶を行う。
「権力を得てもそれに溺れることのないように」
「高順氏の諫言、俺はしっかりと聞き入れますよ」
「そうか」
と、なんだが嬉しそう。
呂布を諫める事が出来た唯一の武将と言ってもいい人物。
呂布を諫める度に煙たがられて嫌がらせをされていたけど、俺は聞き入れるだけの才能はある。
それ以外の才能がない分、俺より能力の勝る人物たちの発言はしっかりと聞き入れて成長に繋げるつもりだ。
「再びトールハンマーでの守護をお任せします」
「貴公らが北で活動している間しっかりと目を光らせておく。何人の侵攻も許さん」
心強い発言の高順氏は、新たに王軍に参加した諸侯の兵達から選抜された二千騎を引き連れてトールハンマーへと戻っていく。
その中には豪族のロンゲル氏と彼の指揮下にあった訛り兵たちも含まれていた。
しっかりとこの要塞で報酬を受け取り、更に功績を挙げるために前線へと赴くようだ。
二千騎のほとんどは日和見で参加が遅れた諸侯たちから預かった兵達。
戦勝側の王様や俺たちに対するご機嫌取りといった思惑があるんだろうけども、兵士を預けてくれる以上は有りがたくその力を借りさせてもらう。
なんといっても高順氏が率いればそれだけで強くなるし成長もするからな。
騎兵の中には魔術師系の服装の者たちも混ざっていた。
トールハンマーに様々な能力を有した者たちが配置されればそれだけで防衛力もぐんっと上がるというものだ。
魔狼ワーグに跨がる白銀の鎧を纏った強者を中心とした一団がこっちへと手を振り、別れを告げながら南へと馬を走らせていく。
そして――、
「それではコールブランド王よ、我々も」
「ご助力、感謝します。エリンダルク王にもお伝えください。ミルドが一段落したらそちらに伺い、謝辞を述べさせていただきますと」
「必ず伝えます」
ここで心の友であるダンブル子爵と共に馳せ参じてくれたエルフさん達も自分たちの国に帰るようだ。
俺はこの方々が活躍するのはそこまで目にすることは出来なかったけど、ライム渓谷での活躍は耳にすることが出来た。
高順氏が先頭となって攻撃へと打って出るために軍編制をしている間、砦において卓抜した弓術と魔法を使用し、渓谷の戦いで公爵軍の攻勢を大いに挫いた活躍だったと、謁見の間での感賞の中で聞かされた。
感賞といえば、活躍した者たちの代表に報酬を与えるだけでも苦労するというのも今回初めて知った。
代表者だけでも大人数。
王様はその一人一人を褒め称えて報酬を与えるんだからね。それだけで丸一日を要した。
俺は立っていただけだったけど、それでもしんどかったから王様はもっと大変だっただろう。
俺も公爵としていずれはやらないといけないんだろうな。
「それと――シャルナ殿」
「は~い」
ここでなぜか俺たちの側で体を縮こまらせていたシャルナに、ハイエルフの方が話しかけてくる。
そういえば北伐に向かう最中、ダンブル子爵と合流した時もシャルナは急にいなくなってたな。
コクリコはお花摘みとか言ってたけども……。
他にも普段より物静かだったよな。
「おいシャルナ。お前エルフの国で悪さして外の世界に逃げてきたとかじゃないだろうな?」
「ちっがうわよ!」
強く否定された。
シャルナの性格上、悪さってのはしないだろうが、この過剰なほどの否定からするに何かしらの事をエルフの国でやらかしたってのは分かる。
「シャルナ殿」
「なに!」
「ようやく話せるというのに……」
「ごめんなさいね~。怒りやすいのは更年期だからなの」
「はぁ!? 急に横から出てこないでよアンデッド!」
悪そうに微笑んでいるリンを押しのけてシャルナがハイエルフの前に立てば、
「近いうちに顔を出すと伝えておいて」
「かしこまりました」
ハイエルフのお一人が恭しく挨拶。
シャルナっていいとこの出身のようだな。
「もしかして王族?」
「全然」
と、否定が返ってくる。
サバサバした性格だからな。否定って事は本当に違うって事だろう。
これはミルド領の後にはエルフの国にもお邪魔しないといけないかもね。
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