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新公爵
PHASE-888【集約していく】
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「では早速だがトールよ。お前が家主となる屋敷がある公都ラングリスへと行こうか。そこを中心としてミルド領を調べていくといい。トールが欲する力は大抵は得ることが出来る」
「それは素晴らしい」
俺より先に先生が口にする。
「随伴してもよろしいでしょうか。叔父上」
「無論です陛下。継承の式典には参加していただかねば」
そこで俺が正式に公爵となった事をミルド領の力を持つ者たちに知らせるということだ。
「権力者たちは直ぐさま強い権力を持つ者に近づいて来ます」
「その強い権力は俺って事ですよね」
「そうです。ですので主にはそこで圧倒的な力を披露していただきます。つまりはデモンストレーションです。強い力には近づいて来ますが、自分たちが想像する以上の圧倒的な力を目にした時、権力者たちは自分たちの権力を無くさないために必死になって主に従うことになるでしょう」
悪い笑みですね先生。
でも奴隷制なんかを手っ取り早く禁止させて、しかも従わせるってなるとそれがベストなんだろうね~。
新しい制度をスムーズに実行させるためには、既存のルールを維持しようとする者たちを踏みしだく圧倒的な力を行使して君臨することも時には大事だからな。
ど派手な観艦式を見せてあげましょう。
フフフ……と、先生と一緒になって悪い笑みを湛える。
――――。
「どうしたトール。この馬車はお前の所有物だぞ」
と、公爵――前公爵が馬車に乗るように勧めてくる。
流石は山越えをするための馬。
というか、公爵サイドの軍馬は農耕馬のように大きくて逞しかったな。
だから馬車を引く馬たちも大きな体だし、脚は木の幹を思わせるようだ。
四頭立ての公爵専用の馬車は赤で塗られた箱形。
縁を金で彩っているが下品さはなく、赤色を際立たせることに徹したものだ。
馬鹿息子の美学とは背反対なのが公爵家の平均思考なんだろうな。
馬鹿息子はそこから大きく外れていたわけだ。残念な方面での規格外だったんだな。
「どうしたのだ?」
「俺は自分の馬に乗りますよ」
「そうか。この馬車は魔法付与もされているから万が一攻撃を受けても耐えることが出来るのだが」
新公爵の誕生を良しとしない者たちも出てくるとなれば、攻撃を受けることもあるかもしれない。だから安全なところを勧めてくれるけども。
「俺、公爵になりましたけど、勇者として過ごした時間が長いんで」
襲撃を受けても攻撃なんて防いでやるし、何よりも――、
「まず襲撃なんてないですよ」
「で、あるな」
俺のパーティーメンバーだけでなく、ギルドの中からカイルにマイヤ。ギムロンたちも随伴メンバーに入っている。
ギムロンは剣身以外が台無しとなった公爵家家宝のウーヴリールの修復をしたいと願い出てきたので、決定権を既に有している俺が快諾。
快諾しないとギムロンの希少金属に対する欲求が爆発しそうだったからな。
ギムロンの技巧なら素晴らしいものに修復してくれるだろうし、修復でドワーフの欲求が満たされるのだから尚良しだ。
S級さん達は当然として、サキュバスメイドさん達も随伴してくれる。
継承の式典での警護と手伝いには抜かりなしである。
でもって、
「宜しく頼むよ」
「この命は公爵様のために」
恭しく片膝をついての礼をするのは征北騎士団団長のヨハン。
俺が公爵となった時点でヨハンたち征北騎士団は俺の直属の騎士団となった。
今までは馬鹿息子が暫定公爵みたいな立場で好き勝手していたけど、
「前の奴に比べればストレスは少ないと思うよ」
「理解しております」
「ただこれからは、魔王軍との戦いで命を落とすことになるかもしれないけどね」
「騎士としての本懐を遂げられる場に立たせていただくことが幸せですので」
傭兵団のせいで軽んじられてたからな。
ようやく自分たちがいるべき場所に戻ってきたという喜びがあるのか、騎士団の表情は総じて明るいものだ。
騎士としての尊厳を奪われ、溜まりに溜まった鬱憤を吐き出してやりますと意気揚々。
「にしても――」
全周囲を見渡す。
脳裏に浮かぶ単語は――、強い。
この安心感は凄いね。
最初の頃なんて魔王軍と戦う時は三桁の兵数だったってのに、今では万を超え、しかも精強。
これで更にミルド領を完全に支配下に置けば、魔王軍と正面からぶつかれるだけの力を得ることも出来るだろう。
それ以外にもローマンコンクリートのような材料も手に入るからな。
王都の城壁と外周の木壁の強化に、最前線の要塞となるトールハンマーの強化にも繋がる。
攻城戦において魔王軍からの驚異を軽減させることが可能になるのは喜ばしいし、南伐となればトールハンマーから南下して拠点建設も進められることになる。
拠点構築時、成形が簡便で堅牢な壁を築けるコンクリートは最高の素材として大活躍してくれるはずだ。
「それは素晴らしい」
俺より先に先生が口にする。
「随伴してもよろしいでしょうか。叔父上」
「無論です陛下。継承の式典には参加していただかねば」
そこで俺が正式に公爵となった事をミルド領の力を持つ者たちに知らせるということだ。
「権力者たちは直ぐさま強い権力を持つ者に近づいて来ます」
「その強い権力は俺って事ですよね」
「そうです。ですので主にはそこで圧倒的な力を披露していただきます。つまりはデモンストレーションです。強い力には近づいて来ますが、自分たちが想像する以上の圧倒的な力を目にした時、権力者たちは自分たちの権力を無くさないために必死になって主に従うことになるでしょう」
悪い笑みですね先生。
でも奴隷制なんかを手っ取り早く禁止させて、しかも従わせるってなるとそれがベストなんだろうね~。
新しい制度をスムーズに実行させるためには、既存のルールを維持しようとする者たちを踏みしだく圧倒的な力を行使して君臨することも時には大事だからな。
ど派手な観艦式を見せてあげましょう。
フフフ……と、先生と一緒になって悪い笑みを湛える。
――――。
「どうしたトール。この馬車はお前の所有物だぞ」
と、公爵――前公爵が馬車に乗るように勧めてくる。
流石は山越えをするための馬。
というか、公爵サイドの軍馬は農耕馬のように大きくて逞しかったな。
だから馬車を引く馬たちも大きな体だし、脚は木の幹を思わせるようだ。
四頭立ての公爵専用の馬車は赤で塗られた箱形。
縁を金で彩っているが下品さはなく、赤色を際立たせることに徹したものだ。
馬鹿息子の美学とは背反対なのが公爵家の平均思考なんだろうな。
馬鹿息子はそこから大きく外れていたわけだ。残念な方面での規格外だったんだな。
「どうしたのだ?」
「俺は自分の馬に乗りますよ」
「そうか。この馬車は魔法付与もされているから万が一攻撃を受けても耐えることが出来るのだが」
新公爵の誕生を良しとしない者たちも出てくるとなれば、攻撃を受けることもあるかもしれない。だから安全なところを勧めてくれるけども。
「俺、公爵になりましたけど、勇者として過ごした時間が長いんで」
襲撃を受けても攻撃なんて防いでやるし、何よりも――、
「まず襲撃なんてないですよ」
「で、あるな」
俺のパーティーメンバーだけでなく、ギルドの中からカイルにマイヤ。ギムロンたちも随伴メンバーに入っている。
ギムロンは剣身以外が台無しとなった公爵家家宝のウーヴリールの修復をしたいと願い出てきたので、決定権を既に有している俺が快諾。
快諾しないとギムロンの希少金属に対する欲求が爆発しそうだったからな。
ギムロンの技巧なら素晴らしいものに修復してくれるだろうし、修復でドワーフの欲求が満たされるのだから尚良しだ。
S級さん達は当然として、サキュバスメイドさん達も随伴してくれる。
継承の式典での警護と手伝いには抜かりなしである。
でもって、
「宜しく頼むよ」
「この命は公爵様のために」
恭しく片膝をついての礼をするのは征北騎士団団長のヨハン。
俺が公爵となった時点でヨハンたち征北騎士団は俺の直属の騎士団となった。
今までは馬鹿息子が暫定公爵みたいな立場で好き勝手していたけど、
「前の奴に比べればストレスは少ないと思うよ」
「理解しております」
「ただこれからは、魔王軍との戦いで命を落とすことになるかもしれないけどね」
「騎士としての本懐を遂げられる場に立たせていただくことが幸せですので」
傭兵団のせいで軽んじられてたからな。
ようやく自分たちがいるべき場所に戻ってきたという喜びがあるのか、騎士団の表情は総じて明るいものだ。
騎士としての尊厳を奪われ、溜まりに溜まった鬱憤を吐き出してやりますと意気揚々。
「にしても――」
全周囲を見渡す。
脳裏に浮かぶ単語は――、強い。
この安心感は凄いね。
最初の頃なんて魔王軍と戦う時は三桁の兵数だったってのに、今では万を超え、しかも精強。
これで更にミルド領を完全に支配下に置けば、魔王軍と正面からぶつかれるだけの力を得ることも出来るだろう。
それ以外にもローマンコンクリートのような材料も手に入るからな。
王都の城壁と外周の木壁の強化に、最前線の要塞となるトールハンマーの強化にも繋がる。
攻城戦において魔王軍からの驚異を軽減させることが可能になるのは喜ばしいし、南伐となればトールハンマーから南下して拠点建設も進められることになる。
拠点構築時、成形が簡便で堅牢な壁を築けるコンクリートは最高の素材として大活躍してくれるはずだ。
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