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新公爵
PHASE-903【素晴らしい返し】
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「一人は男爵。一人は――」
「大方この町の商人の代表みたいなもんだろう」
「悪銭商人の代表ってしたほうがいいと思いますよ」
「そうだな。真っ当な商人に失礼だな。さてどうする」
集音マイクを宙空に仕舞いつつ俺に問うてくる。
「ここまでくれば後は――決まってるじゃないですか」
「派手にか?」
「はい」
頷けば、証拠は押さえたからいいかといった判断のようで、ゲッコーさんは口角を上げる。
「成敗ですね」
ようやくカイルが大暴れ出来ると嬉々とした表情。
早いところ中に突撃して倒したいという強い思いで瞳を輝かせている。
礼儀はしっかりしているけど、やはりそこは冒険者。血の気は多い。
「そんじゃ――」
先頭に立ってから、
「お邪魔しますよ」
蹴り破るなどということはせず、ノブに手をかけて普通に入室。
「何者だ!?」
突然の来訪者に声を荒げるのは、俺達に屋敷を提供した人物。
屋敷を提供した時は、懐に入ってくるのが上手そうな笑顔を湛えていたけども、ここでは高圧的な表情でこちらを睨んでくる。
一緒にいる商人風の男は驚いて固まっている分、男爵よりも小心者だな。
長テーブルに対面して座っていた二人が立ち上がったところで、
「余の顔を見忘れたか?」
と、ベタベタな返しをする俺。
「なに? 余だと?」
と、男爵も誰だといった感じで首を傾げつつ見てくる辺り、以外と分かってるな。
再放送をテレビで見てた時はどんだけ忘れられてんだよ将軍。なんて毎度ツッコんでいたけども、アレがあるからこその――、
「……あっ! こ、ここ公爵様!?」
てなぐあいな落差がいいんですよ。
男爵が慌てて片膝をつけば、商人もそれに続くところも既視感があるというもの。
「随分とよからぬ話をしていたな。レンキドール男爵」
「それは……あの、ですね……」
「弁解が思い浮かばないなら大人しく罰を受けるんだな」
――…………。
反応が返ってこないね。
うつむいて固まってるよ。
――……この沈黙。観念したというよりは――、
「最早これまで」
おお! ベタベタの良い返しだな。
「公爵様とて構わぬ。お手向かい致しますぞ!」
――完璧だよ。男爵。
満点だよ満点。
「いや、そもそも公爵様のお顔を忘れてしまいました。いかんせん平凡な顔でしたからね」
「やかましい!」
減点となる一言だな。
さっきまで良い流れだったのに!
「となれば偽物が戯れ言を語っているとも考えられる。いや、きっとそうだ。侵入者である! 出会え! 出会えい!!」
悪役台詞のオンパレードだよ。
とりあえず全部いれてみましたってのが伝わってくるね。
平凡って発言以外は本当に素晴らしかったのにな。
わらわらと別の扉から現れるのは傭兵と兵士たち。
しっかりと腰に佩いた刀剣の柄に手を添えての待機。
こいつらも存外わかってるな。
「公爵様の名をかたる乱心者とその仲間達である。斬って捨てよ」
を合図として、一斉に鞘から勢いをつけて刀剣を抜ききり構える。
「愚か者め。恥をしれい」
反面こっちはゆっくりと残火を鞘ごと腰から外して構えるスタイル。
本来だったら峰に返してから構えるけども、俺の場合は鞘だからな。
そこは真似できなかった。
相対する者たちを見渡しつつ、
「斬って候」
実際は打擲。
「大方この町の商人の代表みたいなもんだろう」
「悪銭商人の代表ってしたほうがいいと思いますよ」
「そうだな。真っ当な商人に失礼だな。さてどうする」
集音マイクを宙空に仕舞いつつ俺に問うてくる。
「ここまでくれば後は――決まってるじゃないですか」
「派手にか?」
「はい」
頷けば、証拠は押さえたからいいかといった判断のようで、ゲッコーさんは口角を上げる。
「成敗ですね」
ようやくカイルが大暴れ出来ると嬉々とした表情。
早いところ中に突撃して倒したいという強い思いで瞳を輝かせている。
礼儀はしっかりしているけど、やはりそこは冒険者。血の気は多い。
「そんじゃ――」
先頭に立ってから、
「お邪魔しますよ」
蹴り破るなどということはせず、ノブに手をかけて普通に入室。
「何者だ!?」
突然の来訪者に声を荒げるのは、俺達に屋敷を提供した人物。
屋敷を提供した時は、懐に入ってくるのが上手そうな笑顔を湛えていたけども、ここでは高圧的な表情でこちらを睨んでくる。
一緒にいる商人風の男は驚いて固まっている分、男爵よりも小心者だな。
長テーブルに対面して座っていた二人が立ち上がったところで、
「余の顔を見忘れたか?」
と、ベタベタな返しをする俺。
「なに? 余だと?」
と、男爵も誰だといった感じで首を傾げつつ見てくる辺り、以外と分かってるな。
再放送をテレビで見てた時はどんだけ忘れられてんだよ将軍。なんて毎度ツッコんでいたけども、アレがあるからこその――、
「……あっ! こ、ここ公爵様!?」
てなぐあいな落差がいいんですよ。
男爵が慌てて片膝をつけば、商人もそれに続くところも既視感があるというもの。
「随分とよからぬ話をしていたな。レンキドール男爵」
「それは……あの、ですね……」
「弁解が思い浮かばないなら大人しく罰を受けるんだな」
――…………。
反応が返ってこないね。
うつむいて固まってるよ。
――……この沈黙。観念したというよりは――、
「最早これまで」
おお! ベタベタの良い返しだな。
「公爵様とて構わぬ。お手向かい致しますぞ!」
――完璧だよ。男爵。
満点だよ満点。
「いや、そもそも公爵様のお顔を忘れてしまいました。いかんせん平凡な顔でしたからね」
「やかましい!」
減点となる一言だな。
さっきまで良い流れだったのに!
「となれば偽物が戯れ言を語っているとも考えられる。いや、きっとそうだ。侵入者である! 出会え! 出会えい!!」
悪役台詞のオンパレードだよ。
とりあえず全部いれてみましたってのが伝わってくるね。
平凡って発言以外は本当に素晴らしかったのにな。
わらわらと別の扉から現れるのは傭兵と兵士たち。
しっかりと腰に佩いた刀剣の柄に手を添えての待機。
こいつらも存外わかってるな。
「公爵様の名をかたる乱心者とその仲間達である。斬って捨てよ」
を合図として、一斉に鞘から勢いをつけて刀剣を抜ききり構える。
「愚か者め。恥をしれい」
反面こっちはゆっくりと残火を鞘ごと腰から外して構えるスタイル。
本来だったら峰に返してから構えるけども、俺の場合は鞘だからな。
そこは真似できなかった。
相対する者たちを見渡しつつ、
「斬って候」
実際は打擲。
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