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ミルド領
PHASE-961【チート、見てるだけ!】
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「ヴゴォォォォォオ!」
「よっと」
右前足による一撃は袈裟斬りを彷彿させるもの。バックステップで回避しつつ、次の左による一撃を身を低くして躱し、前へと出て、
「オラ!」
胴体に炎を纏わせた一太刀。
三メートルほどある体の中心部分に、斬撃に沿って炎の線が書かれる。
「ヴァァァオ!」
「お?」
再びバックステップ。
炎の一太刀など意にも介さないと攻撃を続けてくる。
流石は体は熊だけあって、巨体に似合わず敏捷な動き。
俺へと迫り前足の爪による攻撃を連続で繰り出してくる。
「ん? おお!?」
繰り出す攻撃をしっかりと見切りつつ回避する最中、ウェアベアモドキの前足の爪に変化が現れた。
爪が伸びだし、途端にリーチのある攻撃へと変わった。
前足の計十本の爪は、長さが60㎝ほどまで伸びる。
ショートソードを十本振り回しているようだった。
「爪切りとしては高級だぞ」
ブレイズを纏う残火で迫る右前足の爪を迎撃。
「あらぁ!?」
ガギギギンッ! と、残火と接触すれば、五本の爪が音を連ねる。
ブレイズを纏った残火で斬れないって事は、魔法付与の爪ってことか。
スケイルマンの鱗は斬れたけど、爪に付与された魔法は鱗以上に強固な仕様のようだ。
――……いや、単純に俺が残火の力を十分に発揮できていないだけかもな。
ベルのレイピアはなんの付与もないのに、俺の残火以上の事をやってのけるからな。
俺でなくベルがコイツの相手をしていたら、簡単に爪を斬っていただろう。
まだまだ強さの頂きは見えない。が、いずれは見えるようにはなりたい。
反省と今後を考えつつ、しっかりと五爪の攻撃を受け止めれば、続けて左前足による一撃が横から迫る。
「だっしゃい!」
左から迫る横薙ぎに対し、手首部分に右足で蹴りを見舞う。
熊の膂力に加え、アンデッドが有するリミッターが外れた状態も相まって、ピリアで身体能力を向上させている俺の蹴りを受けながらも力任せに振り切ってくる。
そんな振り切る姿を俺は空中から観察。
横薙ぎの力を利用しての跳躍で距離を取った。
流石はこの研究所における頂点。
重い一撃とスピードは大したもの。
「ヴァオ!」
俺の着地点を見計らい、その地点に追撃。
距離を詰めての屈強な体と爪による――ものではなく。
人間の頭部が咆哮時のように大きく開口。
「ブレスも使用できるんだな」
見るからに毒だと分かる紫色のブレスを着地点一帯に吐き出す。
着地と同時にアクセル。
「ヴァ!?」
驚くことも出来るようで。
一気に距離を縮めて残火で袈裟斬りを見舞う。
しっかりと胴体部に刀傷を与える事が出来たんだけども、
「やっぱり頭を狙わないと倒せないな」
袈裟斬り部分から両断できていれば一気に相手を行動不能にまで追い込めたんだろうが、浅かった。
両前足を大きく振り、俺に距離を取らせるウェアベアモドキ。
動きが荒いのは、毒ブレスが効かないことでご立腹になったからか?
毒系の攻撃は地龍からもらった曲玉で無効化できるからね。
要所要所で活躍してくれる有り難いアイテムである。
「ヴォォォォォオ!」
咆哮を上げれば、ゴブリンゾンビ達がタゲ取りのコクリコから俺に標的を変更して飛びかかってくる。
スケイルマン同様の使役能力は当然あるわけだ。
イグニースを展開してシールドバッシュで叩き落としていく最中に、ウェアベアモドキが俺へと向かって驀地。
使役しているゴブリンゾンビの存在などお構いなし。
俺に襲いかかってくる眷属を踏みつぶし、爪で体を引き裂きながら接近してくる。
「こりゃコイツに仕留めさせた方がコクリコよりも早いかもな」
「聞こえてますよ」
と、すぐ背後から声が届く。
声だけでなく、爆発音と電撃音が景気よく耳朶に届く。
無双モードを一時中断して俺を掩護してくれるコクリコ。で、シャルナ、オムニガル、アビゲイルさんがコクリコを掩護。
チート三人、見てるだけ!
チート三人、見てるだけ!! 大事なことだから心で二回叫んだ。
チート三人はともかく、他の皆が頑張ってくれているお陰で眷属に意識をしなくていい。
目の前から二足歩行で突進してくる相手にだけ意識を集中できる。
「四足で走った方が速いんじゃねえか? まあバランスを崩しやすいから二足の方がこっちはありがたいけど」
ピーカブースタイルにてイグニースを前面に配置し、体ごとぶつかるつもりでシールドバッシュ。
炎の盾を振り回す両腕にぶつかれば、巨体が衝撃で仰け反ってくれる。
続けて跳躍から蹴りを顔面に見舞えば、体躯に似合わない人間の頭が靴底に合わせて歪む。
歪む頭部を踏み台にして高い位置から――、
「そいや!」
唐竹割りにて頭部を狙うが、仰け反りながらも前足の爪によって防いでくる。
「まだまだ」
シールドバッシュから斬撃に繋げつつイグニースを集束させての――、
「弱烈火!」
がらんどうになっている腹部に叩き込めば、仰け反ってバランスが後ろに傾いていたこともあってか、爆発の威力で後方へと吹き飛んでくれる。
シールドバッシュから跳躍と蹴り。唐竹割りの斬撃を実行しながら弱とはいえ烈火を打ち込めた。
イグニースを集束させる為には集中力が必要だけど、別動作の中でコレが出来るようになっているのは大きい。
連撃のバリエーションも増えるというもの。
「よっと」
右前足による一撃は袈裟斬りを彷彿させるもの。バックステップで回避しつつ、次の左による一撃を身を低くして躱し、前へと出て、
「オラ!」
胴体に炎を纏わせた一太刀。
三メートルほどある体の中心部分に、斬撃に沿って炎の線が書かれる。
「ヴァァァオ!」
「お?」
再びバックステップ。
炎の一太刀など意にも介さないと攻撃を続けてくる。
流石は体は熊だけあって、巨体に似合わず敏捷な動き。
俺へと迫り前足の爪による攻撃を連続で繰り出してくる。
「ん? おお!?」
繰り出す攻撃をしっかりと見切りつつ回避する最中、ウェアベアモドキの前足の爪に変化が現れた。
爪が伸びだし、途端にリーチのある攻撃へと変わった。
前足の計十本の爪は、長さが60㎝ほどまで伸びる。
ショートソードを十本振り回しているようだった。
「爪切りとしては高級だぞ」
ブレイズを纏う残火で迫る右前足の爪を迎撃。
「あらぁ!?」
ガギギギンッ! と、残火と接触すれば、五本の爪が音を連ねる。
ブレイズを纏った残火で斬れないって事は、魔法付与の爪ってことか。
スケイルマンの鱗は斬れたけど、爪に付与された魔法は鱗以上に強固な仕様のようだ。
――……いや、単純に俺が残火の力を十分に発揮できていないだけかもな。
ベルのレイピアはなんの付与もないのに、俺の残火以上の事をやってのけるからな。
俺でなくベルがコイツの相手をしていたら、簡単に爪を斬っていただろう。
まだまだ強さの頂きは見えない。が、いずれは見えるようにはなりたい。
反省と今後を考えつつ、しっかりと五爪の攻撃を受け止めれば、続けて左前足による一撃が横から迫る。
「だっしゃい!」
左から迫る横薙ぎに対し、手首部分に右足で蹴りを見舞う。
熊の膂力に加え、アンデッドが有するリミッターが外れた状態も相まって、ピリアで身体能力を向上させている俺の蹴りを受けながらも力任せに振り切ってくる。
そんな振り切る姿を俺は空中から観察。
横薙ぎの力を利用しての跳躍で距離を取った。
流石はこの研究所における頂点。
重い一撃とスピードは大したもの。
「ヴァオ!」
俺の着地点を見計らい、その地点に追撃。
距離を詰めての屈強な体と爪による――ものではなく。
人間の頭部が咆哮時のように大きく開口。
「ブレスも使用できるんだな」
見るからに毒だと分かる紫色のブレスを着地点一帯に吐き出す。
着地と同時にアクセル。
「ヴァ!?」
驚くことも出来るようで。
一気に距離を縮めて残火で袈裟斬りを見舞う。
しっかりと胴体部に刀傷を与える事が出来たんだけども、
「やっぱり頭を狙わないと倒せないな」
袈裟斬り部分から両断できていれば一気に相手を行動不能にまで追い込めたんだろうが、浅かった。
両前足を大きく振り、俺に距離を取らせるウェアベアモドキ。
動きが荒いのは、毒ブレスが効かないことでご立腹になったからか?
毒系の攻撃は地龍からもらった曲玉で無効化できるからね。
要所要所で活躍してくれる有り難いアイテムである。
「ヴォォォォォオ!」
咆哮を上げれば、ゴブリンゾンビ達がタゲ取りのコクリコから俺に標的を変更して飛びかかってくる。
スケイルマン同様の使役能力は当然あるわけだ。
イグニースを展開してシールドバッシュで叩き落としていく最中に、ウェアベアモドキが俺へと向かって驀地。
使役しているゴブリンゾンビの存在などお構いなし。
俺に襲いかかってくる眷属を踏みつぶし、爪で体を引き裂きながら接近してくる。
「こりゃコイツに仕留めさせた方がコクリコよりも早いかもな」
「聞こえてますよ」
と、すぐ背後から声が届く。
声だけでなく、爆発音と電撃音が景気よく耳朶に届く。
無双モードを一時中断して俺を掩護してくれるコクリコ。で、シャルナ、オムニガル、アビゲイルさんがコクリコを掩護。
チート三人、見てるだけ!
チート三人、見てるだけ!! 大事なことだから心で二回叫んだ。
チート三人はともかく、他の皆が頑張ってくれているお陰で眷属に意識をしなくていい。
目の前から二足歩行で突進してくる相手にだけ意識を集中できる。
「四足で走った方が速いんじゃねえか? まあバランスを崩しやすいから二足の方がこっちはありがたいけど」
ピーカブースタイルにてイグニースを前面に配置し、体ごとぶつかるつもりでシールドバッシュ。
炎の盾を振り回す両腕にぶつかれば、巨体が衝撃で仰け反ってくれる。
続けて跳躍から蹴りを顔面に見舞えば、体躯に似合わない人間の頭が靴底に合わせて歪む。
歪む頭部を踏み台にして高い位置から――、
「そいや!」
唐竹割りにて頭部を狙うが、仰け反りながらも前足の爪によって防いでくる。
「まだまだ」
シールドバッシュから斬撃に繋げつつイグニースを集束させての――、
「弱烈火!」
がらんどうになっている腹部に叩き込めば、仰け反ってバランスが後ろに傾いていたこともあってか、爆発の威力で後方へと吹き飛んでくれる。
シールドバッシュから跳躍と蹴り。唐竹割りの斬撃を実行しながら弱とはいえ烈火を打ち込めた。
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連撃のバリエーションも増えるというもの。
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