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トール師になる
PHASE-1088【難しっ!】
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「プロテクション」
と、シャルナが発すると同時に俺はラピッドで体を加速させ、一気に前に出る。
「トール!?」
驚くシャルナ。
なぜにイグニースを使用しないまま、飛んでくる魔法の方へと自ら突っ込んでいくのかといったところだろう。
「使うほどじゃないからな」
――なんて格好いいことを言ってみるけど実際は違う。
困れば直ぐに使用する癖を直したいからだ。
別段、自分の装備だから使用してもいいんだろうけども、弟子達も出来たことだし、どこに出しても恥ずかしくない師匠であるためにも地力を向上したい。
毎度の事だが、その為には自分の地力で解決することを心がけないといけない。
直ぐに魔法障壁に頼るのは地力の向上に繋がらないというのはマジョリカ戦で理解したしな。
あの時はコクリコにも困ったらイグニースに頼りすぎると苦言を呈されたし。
自身の動体視力と感覚をもっと研ぎ澄ませるためにも、頼らなくていい時には頼らないでいたい。
「もちろん本当に危険だったら使うから心配しなくていいぞ」
中位以上の攻撃魔法は流石はエルフってところだけど、そういったのは魔大陸で既に目にしているからな。
前方の相手に気を配りつつ、迫る多彩な魔法を最小限で回避していく。
まだまだ振り返る余裕はないので、
「もう一回言うけど、コイツ等に対して障壁は使うほどじゃねえ」
と、前方を見ながら後方のシャルナに継ぐ。
「生意気ぃ!」
同じ目線の高さとなったテイワイズが会話を聞いて更にお怒り。
エンレージMAXの更に向こうへと到達できたようだ。
そんな怒りの境地へ至ったテイワイズとの距離が剣戟の間合いとなれば、腰に佩いたロングソードを勢いよく抜剣し、斬りかかってくる。
剣の軌道は袈裟斬り。
剣身はシャルナと同じ素材。
つまりは――黒石英ってやつだな。
つまりは――業物だ。
「そいつを寄こせ」
と、一言発して深く潜り込む。
確か――、地面に落ちてる物を拾うような感じで右拳を滑らせながら――、
「突き上げる!」
「ぐぎぃ!?」
振り下ろされる剣よりも更に速く俺のサブマリンアッパーがテイワイズの顎に入る。
イケメンフェイスを残念フェイスに変えてやる気概で振り上げれば、顔が顎部分から半分ほど潰れたかのように見えた。
宙を舞うテイワイズを彩るようにキラキラとしたモノが一緒に舞う。
キラキラと舞っているのは――あいつの歯。
ドスンと音を立てて床に転がればピクリとも動かない。
「よかったな。これで歯を軋らせて摩耗する心配がなくなったぞ。それに偉いぞ。よくぶっ飛ばされる時に剣を手放したな」
俺はこれが欲しかったんだよ。
残火を抜刀した後に床に転がった黒石英のロングソードを左手に握る。
「うむ。二刀流である」
「貴男いきなり二刀とか大丈夫なの?」
振り方にスタイルも変わるからとリンが心配してくれる。
「大丈夫。こいつらで練習するから。さあ、我が新たなる愛剣――」
――ええっと――。黒いからエドワードと名付けよう。
「エドワードよ、力を示せ!」
愛剣に名前もつけたところで、
「さあ、来るヨロシ」
コクリコ、ギムロンコンビと比べれば数は多いが、
「脅威なんて感じねえな~」
ツカツカと一番密集しているところを見上げつつ歩む。
それだけで二階では後退り。
おいおいやめてよそんなリアクション。強いって勘違いしそうじゃねえか。
そうなると真の強者二人に怒られるんだよ。
なので油断はしない。
全体を見やり目が合えばエルフ達は後退りに加えて背を反らせる。
偉そうにしてた割りには実戦経験は少ないようだな。ルミナングスさんの部下とはやはり質が違う。
特に私兵の連中は主様と同様で態度は上からだけど、ちょっと力を見せつけられると途端に駄目になるようだ。
まさかの私兵を指揮するテイワイズがワンパンだったからね。
完全に戦いてしまって体はギクシャク。
まあ――、
「その隙を見逃してやるほど緩い戦いは経験してないよ」
アクセルを使うほどでもない。
ラピッドにて階段の手すりを蹴っていき、二階で密集している通路へと着地。
「ふんす!」
間髪入れずに力任せに残火とエドワードで二の字を書く。
いつもなら横一文字だが、二振りからなる刀剣で目についた私兵を吹き飛ばす。
地力向上ピリアのストレンクスンと、肉体強化ピリアのインクリーズの併用。
手にする二振りは両手持ち用だが、両ピリアの恩恵で二刀流でも問題ない。
立て続けに私兵たちを叩き伏せていく。
「ほら骨折はしただろうけど命に問題はないんだ。降伏しないなら回復して立って戦え」
打ち込む時、残火は返して峰打ち。両刃であるエドワードは、インパクト時に剣身の面部分を利用しての叩き付け。
動けるのもいるけど、気を失って戦闘不能なのもいる。
「臆するな!」
一人が発して魔法を放てば、堰を切るように残りの連中が魔法と接近を同時に仕掛けてくる。
「アマチュアめ」
魔法を放つと同時に動くんじゃねえよ。しかも狭い通路で。
せっかく接近のために動き出した連中の足が、仲間の魔法範囲に入りたくないから止まったぞ。
「こういった狭い場所ではタイミング合わせて動けよ。平野じゃねえんだ。一足で接近出来る時点で足止めたら的なんだよ」
接近戦を仕掛けようとしたエルフ達に立て続けに攻撃を加えていく。
「――ふむん。弱い」
つい本音が出てしまう。
これなら一人で訪問しても問題なかったかもしれない。
しかし、二刀による攻撃を自在に繰り出すのは当たり前だが難しい。
一朝一夕で習得ってわけにはいかないな。
チート系作品だとなんの苦労もなく完成されたステータスやスキルによって、色々な武器を自在に扱えたりするけど、そんな力を持っていない俺は苦労する。
どうしても左右の腕の振りが連動してしまう。
初手の二の字を書くのがよい証拠。
結局は一刀で振っているのと変わらない。
いや……、両手持ちじゃない分、一撃の威力が落ちているから弱体化しているのと一緒だな。
もっと左右で違う動きをしないとな。変則的な連続攻撃が出来るのが二刀流の強味なんだから。
と、シャルナが発すると同時に俺はラピッドで体を加速させ、一気に前に出る。
「トール!?」
驚くシャルナ。
なぜにイグニースを使用しないまま、飛んでくる魔法の方へと自ら突っ込んでいくのかといったところだろう。
「使うほどじゃないからな」
――なんて格好いいことを言ってみるけど実際は違う。
困れば直ぐに使用する癖を直したいからだ。
別段、自分の装備だから使用してもいいんだろうけども、弟子達も出来たことだし、どこに出しても恥ずかしくない師匠であるためにも地力を向上したい。
毎度の事だが、その為には自分の地力で解決することを心がけないといけない。
直ぐに魔法障壁に頼るのは地力の向上に繋がらないというのはマジョリカ戦で理解したしな。
あの時はコクリコにも困ったらイグニースに頼りすぎると苦言を呈されたし。
自身の動体視力と感覚をもっと研ぎ澄ませるためにも、頼らなくていい時には頼らないでいたい。
「もちろん本当に危険だったら使うから心配しなくていいぞ」
中位以上の攻撃魔法は流石はエルフってところだけど、そういったのは魔大陸で既に目にしているからな。
前方の相手に気を配りつつ、迫る多彩な魔法を最小限で回避していく。
まだまだ振り返る余裕はないので、
「もう一回言うけど、コイツ等に対して障壁は使うほどじゃねえ」
と、前方を見ながら後方のシャルナに継ぐ。
「生意気ぃ!」
同じ目線の高さとなったテイワイズが会話を聞いて更にお怒り。
エンレージMAXの更に向こうへと到達できたようだ。
そんな怒りの境地へ至ったテイワイズとの距離が剣戟の間合いとなれば、腰に佩いたロングソードを勢いよく抜剣し、斬りかかってくる。
剣の軌道は袈裟斬り。
剣身はシャルナと同じ素材。
つまりは――黒石英ってやつだな。
つまりは――業物だ。
「そいつを寄こせ」
と、一言発して深く潜り込む。
確か――、地面に落ちてる物を拾うような感じで右拳を滑らせながら――、
「突き上げる!」
「ぐぎぃ!?」
振り下ろされる剣よりも更に速く俺のサブマリンアッパーがテイワイズの顎に入る。
イケメンフェイスを残念フェイスに変えてやる気概で振り上げれば、顔が顎部分から半分ほど潰れたかのように見えた。
宙を舞うテイワイズを彩るようにキラキラとしたモノが一緒に舞う。
キラキラと舞っているのは――あいつの歯。
ドスンと音を立てて床に転がればピクリとも動かない。
「よかったな。これで歯を軋らせて摩耗する心配がなくなったぞ。それに偉いぞ。よくぶっ飛ばされる時に剣を手放したな」
俺はこれが欲しかったんだよ。
残火を抜刀した後に床に転がった黒石英のロングソードを左手に握る。
「うむ。二刀流である」
「貴男いきなり二刀とか大丈夫なの?」
振り方にスタイルも変わるからとリンが心配してくれる。
「大丈夫。こいつらで練習するから。さあ、我が新たなる愛剣――」
――ええっと――。黒いからエドワードと名付けよう。
「エドワードよ、力を示せ!」
愛剣に名前もつけたところで、
「さあ、来るヨロシ」
コクリコ、ギムロンコンビと比べれば数は多いが、
「脅威なんて感じねえな~」
ツカツカと一番密集しているところを見上げつつ歩む。
それだけで二階では後退り。
おいおいやめてよそんなリアクション。強いって勘違いしそうじゃねえか。
そうなると真の強者二人に怒られるんだよ。
なので油断はしない。
全体を見やり目が合えばエルフ達は後退りに加えて背を反らせる。
偉そうにしてた割りには実戦経験は少ないようだな。ルミナングスさんの部下とはやはり質が違う。
特に私兵の連中は主様と同様で態度は上からだけど、ちょっと力を見せつけられると途端に駄目になるようだ。
まさかの私兵を指揮するテイワイズがワンパンだったからね。
完全に戦いてしまって体はギクシャク。
まあ――、
「その隙を見逃してやるほど緩い戦いは経験してないよ」
アクセルを使うほどでもない。
ラピッドにて階段の手すりを蹴っていき、二階で密集している通路へと着地。
「ふんす!」
間髪入れずに力任せに残火とエドワードで二の字を書く。
いつもなら横一文字だが、二振りからなる刀剣で目についた私兵を吹き飛ばす。
地力向上ピリアのストレンクスンと、肉体強化ピリアのインクリーズの併用。
手にする二振りは両手持ち用だが、両ピリアの恩恵で二刀流でも問題ない。
立て続けに私兵たちを叩き伏せていく。
「ほら骨折はしただろうけど命に問題はないんだ。降伏しないなら回復して立って戦え」
打ち込む時、残火は返して峰打ち。両刃であるエドワードは、インパクト時に剣身の面部分を利用しての叩き付け。
動けるのもいるけど、気を失って戦闘不能なのもいる。
「臆するな!」
一人が発して魔法を放てば、堰を切るように残りの連中が魔法と接近を同時に仕掛けてくる。
「アマチュアめ」
魔法を放つと同時に動くんじゃねえよ。しかも狭い通路で。
せっかく接近のために動き出した連中の足が、仲間の魔法範囲に入りたくないから止まったぞ。
「こういった狭い場所ではタイミング合わせて動けよ。平野じゃねえんだ。一足で接近出来る時点で足止めたら的なんだよ」
接近戦を仕掛けようとしたエルフ達に立て続けに攻撃を加えていく。
「――ふむん。弱い」
つい本音が出てしまう。
これなら一人で訪問しても問題なかったかもしれない。
しかし、二刀による攻撃を自在に繰り出すのは当たり前だが難しい。
一朝一夕で習得ってわけにはいかないな。
チート系作品だとなんの苦労もなく完成されたステータスやスキルによって、色々な武器を自在に扱えたりするけど、そんな力を持っていない俺は苦労する。
どうしても左右の腕の振りが連動してしまう。
初手の二の字を書くのがよい証拠。
結局は一刀で振っているのと変わらない。
いや……、両手持ちじゃない分、一撃の威力が落ちているから弱体化しているのと一緒だな。
もっと左右で違う動きをしないとな。変則的な連続攻撃が出来るのが二刀流の強味なんだから。
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