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発展と鍛錬
PHASE-1235【ひもぉぉぉお!】
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「させませんよ」
鎌を思わせる、鋭く弧を描くランシェルの蹴撃。
対して黒のローファーの靴底へと目がけて木刀を打ち込んでの迎撃。
直ぐさまコルレオンへと狙いを定めて右の木刀にて一撃を――、
「あら!?」
打ち込めば見事に空を切る。
と、同時に重さに襲われる。
振り下ろした木刀が重くなったのかという錯覚を起こすも、木刀が重くなったわけではないのは直ぐに理解できた。
右腕にはコルレオンのモフモフな尻尾が巻き付いており、空中での姿勢制御の難を俺の腕を利用して解決していた。
恰好の的だと思ったんだけどな。
距離を取らずに宙を舞ったのは、俺への攻撃をまだ続けるためだったからか。
ドッセン・バーグの時はタイマンだったから距離を取ったんだろうが、今回は味方がいる状況だもんな。動きに変化があるのは当然か。
感心する中、その対象である逆さま状態のコルレオンと目が合えば、同時に俺へと向けて木剣で×の字を書く。
「いい攻撃だよ」
こちらの右を封じながらの攻撃に対し、左の籠手でなんとかしのぐ。
木刀の間合いよりも内側に入り込まれていると、迎撃や捌くってのは難しいね。
こういった時は小太刀サイズの木刀なんかが小回りが利いていいんだろうな。
などと頭の中で思いつつ、いつまでも右腕に尻尾を巻き付けられて居座り続けられるのもいやなので、
「離れないなら力尽くだ!」
脅すように発して、地面に向かって叩き付けるように動けば、
「せいっ!」
「ひょう!?」
させないと再びランシェルの蹴撃が頭部を狙ってくる。
身を屈めての情けない回避は本当にきわどかった……。
コルレオンはその間に俺から離れて構える。
こちらとしては追撃へと移行したかったのだ……が……。
まあ、なんか察してくれたのかコクリコとドッセン・バーグも足を止めてくれていた。
「お、お前ね……」
頭部に目がめての蹴撃により大きく広がるメイドのスカート。
しゃがんで回避したことで、その中身がはっきりと見えてしまった……。
力なくランシェルに口を開けば、
「あ!?」
急ぎスカートの中身を隠すように、広がるスカートをトンファーを握ったままの両手で押さえるランシェル。
そして頬を朱に染めている……。
――……この一連の流れで世界が止まったような感覚にとらわれる。
ギャラリーとなっている新人さん達――とくに男性陣からは嬉々とした声が上がった。
俺同様に中身が見えた連中がいたようだ。
美少女と思い込んでいるからの喜びなんだろうな。
喜びを表面に出す者もいれば、照れくさそうにしている者もいる。
この状況下でギャラリーを見渡せるだけの余裕があるからこそ、時が止まっているような感覚に陥ったんだろうな……。
本当に……さ…………。
「ランシェルよ……」
呆れ口調で名を発し、
「お前さ……」
継いでから少し間を取って――、
「…………なんで女性物なんだよ!」
と、当人に聞こえる音量にて怒号を飛ばす。
そこはせめてホットパンツとかであれぇ!
なんで純白の女性物なの……。
なんで両サイドを紐で結んでいるちょっとエッチなデザインからなる下着なの……。
いくら多様性が叫ばれる時代になっているとはいえ、正面から見せられた男の気持ちは分からんでしょうね!
――……難しいよ多様性……。
「目の前で見せられたら混乱しかないっての……」
ポツリと力ない独白。
本当に混乱しかない。
そこいらの女性が太刀打ち出来ないくらいに美少じ……整った顔立ちだからドキドキしてしまうんですよ。
「なんということでしょう。トール様に見られてしまいました……」
「やめろう! 照れるんじゃない!」
――そして時は動き出す。
目の前の存在に対して、様々な感情がごちゃごちゃに混ざり合っている俺。
それらを全てかなぐり捨てるような勢いで、両手にする木刀で攻めに転じる。
「精彩を欠いていますよ。まあ、分からなくはないですがね……」
背後からの声に背中が冷たくもなるが、俺がいまどういった感情なのかも理解してくれているのか、声には同情が混じっていた。
「ふん!」
ランシェルからターゲットを背後へと変更しての横薙ぎは、コクリコのワンドに防がれる。
「ドッセン」
「おうよ! 会頭お覚悟!」
おっさんがコクリコを飛び越えてから仕掛けてくる。
木剣による強烈な一振り――を受け止めれば、受け止めた木刀から腕を通じて、衝撃がしっかりと腰にまでガツンと届く。
「おらぁ!」
荒々しい声と共にバックラーによる渾身の左ストレートは体を反らして回避。
空を見上げる状態で次ぎに視界に入るのはコクリコの踵。
「ちぃ!」
さっきと同じようなコンビネーションだな。
腕を前に出してガードで対応しようとしたところで、
「ありゃ!?」
俺の体が無重力になったかのような感覚に襲われる。
見れば身を低くしたランシェルが、地面で円を描いている動き。
水面蹴りで俺の足が払われたといったところか。
似たようなコンビネーションだが、今回はこれにプラスアルファ……。
これが有るから包囲を脱するか、コルレオンとランシェルをダウンさせたかったんだがな……。
上手くいかねえな……。
「ランシェル。お見事――でっす!」
「でい!?」
踵落としを浮いた体で受ければ、浮いた体は強制的に地面へと叩き付けられる。
更にコクリコは振り下ろした一撃の勢いをそのまま活用し、縦に一回転して連続の踵落とし。
二度目のは加速も相まって強力な一撃だった……。
しかも二度目のはストンピングのおまけ付き……。
ダイレクトに胸部に二発も打ち込まれると、流石の火龍の鎧でも衝撃を受けてしまうな。
蹴撃と地面に挟まれての衝撃のサンドイッチ……。
この試合においてダメージらしいダメージを初めてくらった……。
いや……、衝撃のサンドイッチとなると、蹴撃と地面に挟まれた――ではなく、精神と肉体に受けたダメージによるものだな……。
特に前者。
――……両サイドが蝶々結びの女性用……。
――……純白の女性用…………。
鎌を思わせる、鋭く弧を描くランシェルの蹴撃。
対して黒のローファーの靴底へと目がけて木刀を打ち込んでの迎撃。
直ぐさまコルレオンへと狙いを定めて右の木刀にて一撃を――、
「あら!?」
打ち込めば見事に空を切る。
と、同時に重さに襲われる。
振り下ろした木刀が重くなったのかという錯覚を起こすも、木刀が重くなったわけではないのは直ぐに理解できた。
右腕にはコルレオンのモフモフな尻尾が巻き付いており、空中での姿勢制御の難を俺の腕を利用して解決していた。
恰好の的だと思ったんだけどな。
距離を取らずに宙を舞ったのは、俺への攻撃をまだ続けるためだったからか。
ドッセン・バーグの時はタイマンだったから距離を取ったんだろうが、今回は味方がいる状況だもんな。動きに変化があるのは当然か。
感心する中、その対象である逆さま状態のコルレオンと目が合えば、同時に俺へと向けて木剣で×の字を書く。
「いい攻撃だよ」
こちらの右を封じながらの攻撃に対し、左の籠手でなんとかしのぐ。
木刀の間合いよりも内側に入り込まれていると、迎撃や捌くってのは難しいね。
こういった時は小太刀サイズの木刀なんかが小回りが利いていいんだろうな。
などと頭の中で思いつつ、いつまでも右腕に尻尾を巻き付けられて居座り続けられるのもいやなので、
「離れないなら力尽くだ!」
脅すように発して、地面に向かって叩き付けるように動けば、
「せいっ!」
「ひょう!?」
させないと再びランシェルの蹴撃が頭部を狙ってくる。
身を屈めての情けない回避は本当にきわどかった……。
コルレオンはその間に俺から離れて構える。
こちらとしては追撃へと移行したかったのだ……が……。
まあ、なんか察してくれたのかコクリコとドッセン・バーグも足を止めてくれていた。
「お、お前ね……」
頭部に目がめての蹴撃により大きく広がるメイドのスカート。
しゃがんで回避したことで、その中身がはっきりと見えてしまった……。
力なくランシェルに口を開けば、
「あ!?」
急ぎスカートの中身を隠すように、広がるスカートをトンファーを握ったままの両手で押さえるランシェル。
そして頬を朱に染めている……。
――……この一連の流れで世界が止まったような感覚にとらわれる。
ギャラリーとなっている新人さん達――とくに男性陣からは嬉々とした声が上がった。
俺同様に中身が見えた連中がいたようだ。
美少女と思い込んでいるからの喜びなんだろうな。
喜びを表面に出す者もいれば、照れくさそうにしている者もいる。
この状況下でギャラリーを見渡せるだけの余裕があるからこそ、時が止まっているような感覚に陥ったんだろうな……。
本当に……さ…………。
「ランシェルよ……」
呆れ口調で名を発し、
「お前さ……」
継いでから少し間を取って――、
「…………なんで女性物なんだよ!」
と、当人に聞こえる音量にて怒号を飛ばす。
そこはせめてホットパンツとかであれぇ!
なんで純白の女性物なの……。
なんで両サイドを紐で結んでいるちょっとエッチなデザインからなる下着なの……。
いくら多様性が叫ばれる時代になっているとはいえ、正面から見せられた男の気持ちは分からんでしょうね!
――……難しいよ多様性……。
「目の前で見せられたら混乱しかないっての……」
ポツリと力ない独白。
本当に混乱しかない。
そこいらの女性が太刀打ち出来ないくらいに美少じ……整った顔立ちだからドキドキしてしまうんですよ。
「なんということでしょう。トール様に見られてしまいました……」
「やめろう! 照れるんじゃない!」
――そして時は動き出す。
目の前の存在に対して、様々な感情がごちゃごちゃに混ざり合っている俺。
それらを全てかなぐり捨てるような勢いで、両手にする木刀で攻めに転じる。
「精彩を欠いていますよ。まあ、分からなくはないですがね……」
背後からの声に背中が冷たくもなるが、俺がいまどういった感情なのかも理解してくれているのか、声には同情が混じっていた。
「ふん!」
ランシェルからターゲットを背後へと変更しての横薙ぎは、コクリコのワンドに防がれる。
「ドッセン」
「おうよ! 会頭お覚悟!」
おっさんがコクリコを飛び越えてから仕掛けてくる。
木剣による強烈な一振り――を受け止めれば、受け止めた木刀から腕を通じて、衝撃がしっかりと腰にまでガツンと届く。
「おらぁ!」
荒々しい声と共にバックラーによる渾身の左ストレートは体を反らして回避。
空を見上げる状態で次ぎに視界に入るのはコクリコの踵。
「ちぃ!」
さっきと同じようなコンビネーションだな。
腕を前に出してガードで対応しようとしたところで、
「ありゃ!?」
俺の体が無重力になったかのような感覚に襲われる。
見れば身を低くしたランシェルが、地面で円を描いている動き。
水面蹴りで俺の足が払われたといったところか。
似たようなコンビネーションだが、今回はこれにプラスアルファ……。
これが有るから包囲を脱するか、コルレオンとランシェルをダウンさせたかったんだがな……。
上手くいかねえな……。
「ランシェル。お見事――でっす!」
「でい!?」
踵落としを浮いた体で受ければ、浮いた体は強制的に地面へと叩き付けられる。
更にコクリコは振り下ろした一撃の勢いをそのまま活用し、縦に一回転して連続の踵落とし。
二度目のは加速も相まって強力な一撃だった……。
しかも二度目のはストンピングのおまけ付き……。
ダイレクトに胸部に二発も打ち込まれると、流石の火龍の鎧でも衝撃を受けてしまうな。
蹴撃と地面に挟まれての衝撃のサンドイッチ……。
この試合においてダメージらしいダメージを初めてくらった……。
いや……、衝撃のサンドイッチとなると、蹴撃と地面に挟まれた――ではなく、精神と肉体に受けたダメージによるものだな……。
特に前者。
――……両サイドが蝶々結びの女性用……。
――……純白の女性用…………。
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