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矮人と巨人
PHASE-1370【シンプルゆえに難しい】
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「といっても、あの電撃のカーテンを突破するのは難しいですよ。どうやって接近するんですか?」
「問題ないさコクリコ。だって向こうから接近してくれているからな」
「なんとお馬鹿な回答なのでしょう」
後衛職でありながら、誰よりも前衛に立つヤツには言われたくないよな。
「少しでも俺が接近しやすいように――」
「分かりましたよ。こちらで気を引いてあげますよ。本来なら私がそっちの役をやりたかったんですけどね」
それでもここぞで俺に譲ってくれるのはありがたいってもんだ。
譲ってもらった以上、失敗は許されないけども。
「じゃあ――仕掛ける!」
言って迫ってくるエビルレイダーに対して正面から驀地。
後方からは掩護の魔法名による快活の良い声が上がる。
シャルナとタチアナが俺の進行方向から迫ってくる電撃を遮るようにプロテクションで防ぎ、コクリコとパロンズ氏が魔法による掩護攻撃。
コルレオンはダメージを与えるのは難しくても、気をそらせるくらいは出来るだろうと、スリングショットによる援護射撃。
この掩護に、習志野か八王子の特生自衛隊にも参加してほしいところ。
メーサー戦車で参加してほしいところ。
となれば、オーバーキルになってしまうな。
などと思いつつ、
「アクセル」
防御担当とヘイト集め担当の面々に感謝を抱きつつ、正面へと向かって驀地する動きから、直角の高速横移動へと変更。
こちらを正面から捕捉する相手の視界から消えたところで、後方からの遠距離攻撃に対してエビルレイダーがそちらへと巨体を向けようとしたところで――、
「一気に攻める!」
側面から再度のアクセル。
鞘にて手癖ならぬ角癖の悪い角の根元にキツいのを叩き込んでやろう!
角を斬っても良いかもしれないけど、それが原因で死ぬって可能性もあるからな。
頭部を叩きすぎるのもよくないだろうから、角の根元をピンポイントで叩く!
「っと!」
「兄ちゃん!」
「いや~危なかったな……」
側面からの攻撃に対し、エビルレイダーは即対応してきた。
掩護攻撃によるヘイト集めで俺の方には注力しないと思ったけども、電撃を俺に向けて放ってきた。
かろうじて回避したけども、危うく焦がされるところだった。
「そうだよな。複眼だもんな」
人間なんかと違って視野は広いよな。
視野の広さを見誤ってしまった。
「こりゃ全方位を見渡せるだけの視野を持っていると考えた方がよさそうだな」
となれば、死角からの攻撃は不可能だと思わないとね。
――ならばその死角は作るしかない。
「タチアナ」
「ファイアフライ」
名前を発するだけで応じてくれるのはありがたい。
普段の面子と同じような連携を取ってくれるのは、それだけタチアナが数々の実戦で経験を積んできたという証拠だな。
自分を中心に照らしていた輝きをエビルレイダーの直上に顕現させる。
目の良さが仇となる強い輝きだ。
これで相手の視野を……、
「まったくダメだな……」
俺の動きに対応するように、芋虫の巨大な体は正面を俺へと向けてくる。
で――、
「ひぃ!」
鋭利な腹脚に負けない鋭利で長い尾角を振っての薙ぎ払い。
巨体の一振りで生み出される凶暴な風と轟音。
当たらずにすんだけど、風がこちらに届けば――直撃=死という想像を伝えてくる。
で、離れたところで追撃の電撃。
前面に展開するイグニースで対応。
プロテクションを破壊するだけあって威力は凄まじく、防いでも衝撃で後方へと下がらされる。
これに加えて炎の障壁から走る電撃が地面へと伝わり、俺の方にまで迫れば、
「あだだだだ……」
地面に走る電撃は威力減衰してはいるものの、足から体全体に伝わる痛みに自然と目元に涙が溜まってくる。
なんとか堪え忍んだところで、
「ミルモン」
「オイラはちょっと痺れただけ」
左肩に座っていたミルモンも電撃に襲われたようだが、俺よりダメージは少なかったようで安堵。
俺同様、目元には涙が溜まっていたけど。
雑嚢からハイポーションを取り出して一口飲み、ミルモンにも小瓶の口を向けて飲ませる。
電撃による体の痛みが直ぐに緩和。ミルモンも元気よく羽を動かして回復したことをアピールしてくる。
それにしても――、
「技のバリエーションが少ないくせに鬱陶しいな」
「シンプルだからこそ攻めにくいんじゃないかな」
左肩からの助言。
単純ゆえに強い――か。
巨体による攻撃と、単体と全体に防御も行える電撃。
この二バターンを巧みに扱う。
シンプルだからこそ攻めにくい。
「やるじゃないか。デカいだけでなく本当に頭がいいようだな。芋虫」
ますます仲間にした時に頼りになりそうだ。
「その為にもコクリコの言うように、力関係を分からせてやらないとな!」
再度のアクセル。
距離を詰めたところで、
「幻焔」
イグニースを使用しての目眩まし、
「――でもダメか」
ファイアフライの輝きとは違う俺の幻焔でも目を眩ませる事はなく、俺を捕捉してくる。
で、同様の物理と電撃による二段攻撃による反撃。
で、「あだだだだ……」と、同じ内容を口から漏らしてしまう俺。
こっちが手数の多い攻撃で仕掛けるのに対し、単純な攻守で戦ってくるエビルレイダー。
ミルモンの言うように、シンプルだからこそ攻めにくい。
「問題ないさコクリコ。だって向こうから接近してくれているからな」
「なんとお馬鹿な回答なのでしょう」
後衛職でありながら、誰よりも前衛に立つヤツには言われたくないよな。
「少しでも俺が接近しやすいように――」
「分かりましたよ。こちらで気を引いてあげますよ。本来なら私がそっちの役をやりたかったんですけどね」
それでもここぞで俺に譲ってくれるのはありがたいってもんだ。
譲ってもらった以上、失敗は許されないけども。
「じゃあ――仕掛ける!」
言って迫ってくるエビルレイダーに対して正面から驀地。
後方からは掩護の魔法名による快活の良い声が上がる。
シャルナとタチアナが俺の進行方向から迫ってくる電撃を遮るようにプロテクションで防ぎ、コクリコとパロンズ氏が魔法による掩護攻撃。
コルレオンはダメージを与えるのは難しくても、気をそらせるくらいは出来るだろうと、スリングショットによる援護射撃。
この掩護に、習志野か八王子の特生自衛隊にも参加してほしいところ。
メーサー戦車で参加してほしいところ。
となれば、オーバーキルになってしまうな。
などと思いつつ、
「アクセル」
防御担当とヘイト集め担当の面々に感謝を抱きつつ、正面へと向かって驀地する動きから、直角の高速横移動へと変更。
こちらを正面から捕捉する相手の視界から消えたところで、後方からの遠距離攻撃に対してエビルレイダーがそちらへと巨体を向けようとしたところで――、
「一気に攻める!」
側面から再度のアクセル。
鞘にて手癖ならぬ角癖の悪い角の根元にキツいのを叩き込んでやろう!
角を斬っても良いかもしれないけど、それが原因で死ぬって可能性もあるからな。
頭部を叩きすぎるのもよくないだろうから、角の根元をピンポイントで叩く!
「っと!」
「兄ちゃん!」
「いや~危なかったな……」
側面からの攻撃に対し、エビルレイダーは即対応してきた。
掩護攻撃によるヘイト集めで俺の方には注力しないと思ったけども、電撃を俺に向けて放ってきた。
かろうじて回避したけども、危うく焦がされるところだった。
「そうだよな。複眼だもんな」
人間なんかと違って視野は広いよな。
視野の広さを見誤ってしまった。
「こりゃ全方位を見渡せるだけの視野を持っていると考えた方がよさそうだな」
となれば、死角からの攻撃は不可能だと思わないとね。
――ならばその死角は作るしかない。
「タチアナ」
「ファイアフライ」
名前を発するだけで応じてくれるのはありがたい。
普段の面子と同じような連携を取ってくれるのは、それだけタチアナが数々の実戦で経験を積んできたという証拠だな。
自分を中心に照らしていた輝きをエビルレイダーの直上に顕現させる。
目の良さが仇となる強い輝きだ。
これで相手の視野を……、
「まったくダメだな……」
俺の動きに対応するように、芋虫の巨大な体は正面を俺へと向けてくる。
で――、
「ひぃ!」
鋭利な腹脚に負けない鋭利で長い尾角を振っての薙ぎ払い。
巨体の一振りで生み出される凶暴な風と轟音。
当たらずにすんだけど、風がこちらに届けば――直撃=死という想像を伝えてくる。
で、離れたところで追撃の電撃。
前面に展開するイグニースで対応。
プロテクションを破壊するだけあって威力は凄まじく、防いでも衝撃で後方へと下がらされる。
これに加えて炎の障壁から走る電撃が地面へと伝わり、俺の方にまで迫れば、
「あだだだだ……」
地面に走る電撃は威力減衰してはいるものの、足から体全体に伝わる痛みに自然と目元に涙が溜まってくる。
なんとか堪え忍んだところで、
「ミルモン」
「オイラはちょっと痺れただけ」
左肩に座っていたミルモンも電撃に襲われたようだが、俺よりダメージは少なかったようで安堵。
俺同様、目元には涙が溜まっていたけど。
雑嚢からハイポーションを取り出して一口飲み、ミルモンにも小瓶の口を向けて飲ませる。
電撃による体の痛みが直ぐに緩和。ミルモンも元気よく羽を動かして回復したことをアピールしてくる。
それにしても――、
「技のバリエーションが少ないくせに鬱陶しいな」
「シンプルだからこそ攻めにくいんじゃないかな」
左肩からの助言。
単純ゆえに強い――か。
巨体による攻撃と、単体と全体に防御も行える電撃。
この二バターンを巧みに扱う。
シンプルだからこそ攻めにくい。
「やるじゃないか。デカいだけでなく本当に頭がいいようだな。芋虫」
ますます仲間にした時に頼りになりそうだ。
「その為にもコクリコの言うように、力関係を分からせてやらないとな!」
再度のアクセル。
距離を詰めたところで、
「幻焔」
イグニースを使用しての目眩まし、
「――でもダメか」
ファイアフライの輝きとは違う俺の幻焔でも目を眩ませる事はなく、俺を捕捉してくる。
で、同様の物理と電撃による二段攻撃による反撃。
で、「あだだだだ……」と、同じ内容を口から漏らしてしまう俺。
こっちが手数の多い攻撃で仕掛けるのに対し、単純な攻守で戦ってくるエビルレイダー。
ミルモンの言うように、シンプルだからこそ攻めにくい。
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