1,369 / 1,861
矮人と巨人
PHASE-1369【攻守に知能も秀でてる】
しおりを挟む
「まったく……加減をしろよ……。こんな狭い場所で使用するようなもんじゃねえよ……」
「ですから、こちらの強さを理解させて屈服させるのが一番いいと言っているでしょう。その為にはあれくらいしないと」
「あんな火力が直撃したら流石にタダではすまねえよ! 俺達も落盤の危険に晒されたかもしれないんだからな!」
こちらの味方にするって言ってるし、それを理解しているのになんで高火力なんだよ!
ベルのスパルタ思想にでも反映されたか? コクリコ。
「怒鳴るのは良いですが――トールの目は節穴ですか?」
「なにおう!」
とんでもない火力を放っておいて何を言うのかこの娘は!
「中々にやるようで……」
らしくない暗さを帯びたコクリコの声音。
炸裂魔法の生み出す爆煙の先では――、
「おう……」
悠然と鎌首をもたげた姿が見える。
登場時とほぼ変わっていない姿。
つまりは……、ノーダメージ。
爆煙が晴れて視界が良くなれば、エッジの効いたオレンジ色の複眼がこちらを凝視。
コクリコの放った三連発のポップフレアは、ご自慢の角から放った電撃をカーテン状に展開し、それを障壁にして防ぎきっていた。
「攻守共に利用できる便利な電撃に目が行きがちだけど、それを可能とするのは攻撃から防御に即、転向する高い知能だな」
生まれたての芋虫とは思えん。
「当然だ」
と、得意げなヤヤラッタ。
「流石は知勇の軍監殿の力を注いだだけはあるって事か」
「我に対する高評価は嬉しいものだ。だからこそお前たちには絶望であろうな」
「冗談」
「なに?」
「手心を加えるというハンデがあるから大変なだけで、絶望ではないな。こいつを絶望とか言ってたら、デミタス戦は死絶って言葉を使ってもいいくらいだ」
「仲間を褒めてもらえるのは誇らしいものだ」
声のトーンからして本当にそう思っているようだな。
「だが我々の生み出した存在も、十分に死絶という言葉を体現できるはずだがな」
実際、電撃を喰らえば並の連中なら昇天ルート間違いなしだけども。
「現状、防げているので問題なしです!」
代弁してコクリコが発せば、ファイヤーボールによる追撃を見舞う。
が、やはり電撃のカーテンで防いでくる。
防げば、次にはカーテンをそのまま放射状に降り注がせて攻撃に使用。
「まったく! デカい図体の割に、遠距離からの攻撃ばかりですね! もう少しその体を利用したらどうです」
「ならば期待に応えて、接近戦も楽しんでくれ」
コクリコの発言に対してヤヤラッタが続けば、その言葉に従うようにエビルレイダーが動き出す。
鋭利で無数の腹脚を忙しなく動かし、岩盤からなる地面を抉りつつの直進。
「ひぃ……」
と、ウネウネと動く腹脚にシャルナが気持ち悪さを感じて声を漏らす。
ベルもこの場にいたら、間違いなく似たような声を漏らしていただろうな。
でもって、この場にいなくてよかった。
気持ち悪いのが接近してくるという恐怖で、浄化の炎をなりふり構わず使用されたら、目の前のデッカい芋虫が瞬時に消滅していたことだろうからな。
「いでよ!」
ここでパロンズ氏が二メートルサイズのマッドゴーレムを俺達の隊伍の前に召喚し、迫ってくる巨大芋虫に挑ませるも――、
「足止めにもなりませんな……」
「気にしなくていいですよ。アレを止めるのは上位であるストーンゴーレムでも難しいでしょうからね」
重量と腹脚により瞬時に粉微塵にされてしまったマッドゴーレム。
てなわけで――、
「ゴロ丸!」
勾玉で地面をこするけども……、
「絶賛クールタイム!」
立て続けに二回の召喚をしているからか、三回目はまだ無理のようだった。
「出ないですね。どうします?」
俺の行動と結果を見て即座に問うてくるコクリコ。
「簡単。全員! 回避行動!」
言えば隊伍を崩して即、散開。
「おう!」
逃がしてやらないとばかりに、全員に向かって角から電撃を放ってくる。
「当たるなよ! 全力で躱すんだ! 防げるなら防いで!」
言われなくともと、頼りになるシャルナとタチアナの両人が、プロテクションを面々の前に展開してくれる。
単体攻撃の電撃と違って、全体攻撃の電撃は火力が低くなっているようで、一枚のプロテクションでも防ぐ事は可能。
――……なのだけども……。
「私のでは安心はしないでください」
と、タチアナが言うように、タチアナの展開するプロテクションは相殺するので精一杯といったところだった。
防げてるから十分なんだけどね。
「調子に乗りすぎですよ!」
お怒りのコクリコが疾駆しつつのファイヤーボール。
アドンとサムソンを自分の側から解き放ち、三方向からの包囲によるオールレンジ攻撃。
しかし攻守のバランスが素晴らしいエビルレイダーは、即座に電撃をカーテンのような形状に変化させて防いでくる。
「なんとも面倒くさいですね!」
簡単に防いでくるものだから、コクリコが苛立っている。
ここまでの連中は、オスカーとミッターによる底上げからの魔法が効果的だったけど、巨大芋虫の前ではそれが通用しない。
「兄ちゃん、戦車は!」
「火力が高いからな」
「ああ、そうだね。命を奪っちゃダメだもんね……」
縛りプレイの相手としては、中々に難易度の高い相手だよな。
命を奪わないようにするには手心を加えないといけない。
そうなれば俺の愛刀二振りは斬れすぎるってのが問題なんだよな。
強すぎる武器ってのは、時として扱いに困るというもの。
まあ俺の場合――、
「鞘でも戦えるけどな!」
製作者のワック・ワックさんに隙はない。
残火の鞘も火龍の鱗からなる強度抜群のもの。
木刀のような使用法も可能なのがこの残火の良いところ。
残火を鞘へと収めるいつもの動作。
残火の鍔は俺の羽織るマントを真似て、六花をデザインしたもの。
鞘へと収めると、鍔が可動。
六花から蕾のような形状となり、鞘と刀を固定するというワックさん拘りのギミック。
切れ味抜群の得物から、打撃抜群の得物へと早変わり。
「徹底的にどつき回して、力関係を教え込んでやらぁ!」
言ってなんだが、俺もコクリコの事を言えないな。
「ですから、こちらの強さを理解させて屈服させるのが一番いいと言っているでしょう。その為にはあれくらいしないと」
「あんな火力が直撃したら流石にタダではすまねえよ! 俺達も落盤の危険に晒されたかもしれないんだからな!」
こちらの味方にするって言ってるし、それを理解しているのになんで高火力なんだよ!
ベルのスパルタ思想にでも反映されたか? コクリコ。
「怒鳴るのは良いですが――トールの目は節穴ですか?」
「なにおう!」
とんでもない火力を放っておいて何を言うのかこの娘は!
「中々にやるようで……」
らしくない暗さを帯びたコクリコの声音。
炸裂魔法の生み出す爆煙の先では――、
「おう……」
悠然と鎌首をもたげた姿が見える。
登場時とほぼ変わっていない姿。
つまりは……、ノーダメージ。
爆煙が晴れて視界が良くなれば、エッジの効いたオレンジ色の複眼がこちらを凝視。
コクリコの放った三連発のポップフレアは、ご自慢の角から放った電撃をカーテン状に展開し、それを障壁にして防ぎきっていた。
「攻守共に利用できる便利な電撃に目が行きがちだけど、それを可能とするのは攻撃から防御に即、転向する高い知能だな」
生まれたての芋虫とは思えん。
「当然だ」
と、得意げなヤヤラッタ。
「流石は知勇の軍監殿の力を注いだだけはあるって事か」
「我に対する高評価は嬉しいものだ。だからこそお前たちには絶望であろうな」
「冗談」
「なに?」
「手心を加えるというハンデがあるから大変なだけで、絶望ではないな。こいつを絶望とか言ってたら、デミタス戦は死絶って言葉を使ってもいいくらいだ」
「仲間を褒めてもらえるのは誇らしいものだ」
声のトーンからして本当にそう思っているようだな。
「だが我々の生み出した存在も、十分に死絶という言葉を体現できるはずだがな」
実際、電撃を喰らえば並の連中なら昇天ルート間違いなしだけども。
「現状、防げているので問題なしです!」
代弁してコクリコが発せば、ファイヤーボールによる追撃を見舞う。
が、やはり電撃のカーテンで防いでくる。
防げば、次にはカーテンをそのまま放射状に降り注がせて攻撃に使用。
「まったく! デカい図体の割に、遠距離からの攻撃ばかりですね! もう少しその体を利用したらどうです」
「ならば期待に応えて、接近戦も楽しんでくれ」
コクリコの発言に対してヤヤラッタが続けば、その言葉に従うようにエビルレイダーが動き出す。
鋭利で無数の腹脚を忙しなく動かし、岩盤からなる地面を抉りつつの直進。
「ひぃ……」
と、ウネウネと動く腹脚にシャルナが気持ち悪さを感じて声を漏らす。
ベルもこの場にいたら、間違いなく似たような声を漏らしていただろうな。
でもって、この場にいなくてよかった。
気持ち悪いのが接近してくるという恐怖で、浄化の炎をなりふり構わず使用されたら、目の前のデッカい芋虫が瞬時に消滅していたことだろうからな。
「いでよ!」
ここでパロンズ氏が二メートルサイズのマッドゴーレムを俺達の隊伍の前に召喚し、迫ってくる巨大芋虫に挑ませるも――、
「足止めにもなりませんな……」
「気にしなくていいですよ。アレを止めるのは上位であるストーンゴーレムでも難しいでしょうからね」
重量と腹脚により瞬時に粉微塵にされてしまったマッドゴーレム。
てなわけで――、
「ゴロ丸!」
勾玉で地面をこするけども……、
「絶賛クールタイム!」
立て続けに二回の召喚をしているからか、三回目はまだ無理のようだった。
「出ないですね。どうします?」
俺の行動と結果を見て即座に問うてくるコクリコ。
「簡単。全員! 回避行動!」
言えば隊伍を崩して即、散開。
「おう!」
逃がしてやらないとばかりに、全員に向かって角から電撃を放ってくる。
「当たるなよ! 全力で躱すんだ! 防げるなら防いで!」
言われなくともと、頼りになるシャルナとタチアナの両人が、プロテクションを面々の前に展開してくれる。
単体攻撃の電撃と違って、全体攻撃の電撃は火力が低くなっているようで、一枚のプロテクションでも防ぐ事は可能。
――……なのだけども……。
「私のでは安心はしないでください」
と、タチアナが言うように、タチアナの展開するプロテクションは相殺するので精一杯といったところだった。
防げてるから十分なんだけどね。
「調子に乗りすぎですよ!」
お怒りのコクリコが疾駆しつつのファイヤーボール。
アドンとサムソンを自分の側から解き放ち、三方向からの包囲によるオールレンジ攻撃。
しかし攻守のバランスが素晴らしいエビルレイダーは、即座に電撃をカーテンのような形状に変化させて防いでくる。
「なんとも面倒くさいですね!」
簡単に防いでくるものだから、コクリコが苛立っている。
ここまでの連中は、オスカーとミッターによる底上げからの魔法が効果的だったけど、巨大芋虫の前ではそれが通用しない。
「兄ちゃん、戦車は!」
「火力が高いからな」
「ああ、そうだね。命を奪っちゃダメだもんね……」
縛りプレイの相手としては、中々に難易度の高い相手だよな。
命を奪わないようにするには手心を加えないといけない。
そうなれば俺の愛刀二振りは斬れすぎるってのが問題なんだよな。
強すぎる武器ってのは、時として扱いに困るというもの。
まあ俺の場合――、
「鞘でも戦えるけどな!」
製作者のワック・ワックさんに隙はない。
残火の鞘も火龍の鱗からなる強度抜群のもの。
木刀のような使用法も可能なのがこの残火の良いところ。
残火を鞘へと収めるいつもの動作。
残火の鍔は俺の羽織るマントを真似て、六花をデザインしたもの。
鞘へと収めると、鍔が可動。
六花から蕾のような形状となり、鞘と刀を固定するというワックさん拘りのギミック。
切れ味抜群の得物から、打撃抜群の得物へと早変わり。
「徹底的にどつき回して、力関係を教え込んでやらぁ!」
言ってなんだが、俺もコクリコの事を言えないな。
1
あなたにおすすめの小説
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
貧弱の英雄
カタナヅキ
ファンタジー
この世界では誰もが生まれた時から「異能」と「レベル」呼ばれる能力を身に付けており、人々はレベルを上げて自分の能力を磨き、それに適した職業に就くのが当たり前だった。しかし、山奥で捨てられていたところを狩人に拾われ、後に「ナイ」と名付けられた少年は「貧弱」という異能の中でも異質な能力を身に付けていた。
貧弱の能力の効果は日付が変更される度に強制的にレベルがリセットされてしまい、生まれた時からナイは「レベル1」だった。どれだけ努力してレベルを上げようと日付変わる度にレベル1に戻ってしまい、レベルで上がった分の能力が低下してしまう。
自分の貧弱の技能に悲観する彼だったが、ある時にレベルを上昇させるときに身に付ける「SP」の存在を知る。これを使用すれば「技能」と呼ばれる様々な技術を身に付ける事を知り、レベルが毎日のようにリセットされる事を逆に利用して彼はSPを溜めて数々の技能を身に付け、落ちこぼれと呼んだ者達を見返すため、底辺から成り上がる――
※修正要請のコメントは対処後に削除します。
冷遇された聖女の結末
菜花
恋愛
異世界を救う聖女だと冷遇された毛利ラナ。けれど魔力慣らしの旅に出た途端に豹変する同行者達。彼らは同行者の一人のセレスティアを称えラナを貶める。知り合いもいない世界で心がすり減っていくラナ。彼女の迎える結末は――。
本編にプラスしていくつかのifルートがある長編。
カクヨムにも同じ作品を投稿しています。
異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。
もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。
異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。
ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。
残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、
同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、
追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、
清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……
異世界へ行って帰って来た
バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。
そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。
はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる