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矮人と巨人
PHASE-1399【ユーフォリア】
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――――。
「何とも最後は締まりませんでしたね」
「そう言うなよ。これも縁を深めるためだからな」
「酒だけで深まる縁とは何とも単純ですよね」
毒づくコクリコにパロンズ氏は申し訳なさそうな笑みを浮かべていた。
現在、皆して語り合っている場所は――ギャルゲー主人公の家の中。
ミズーリを湖に召喚し、酒をアラムロス窟のドワーフさん達に運ばせ、要塞兵達にも食糧を運んでもらい、そのまま俺達は王都への帰還の途に就く。
途上での宿泊の時間は、今までと違ってまったりとしたもの。
サイズが理由でキュクロプス三兄弟とエビルレイダーは野宿という事になってしまって申し訳ないのだけども、三兄弟は自由の身になり、広々とした外の世界に出ることが出来たことで、それを堪能できるから野宿でも大歓迎と言ってくれた。
――夕食を済ませたリビングでは、穏やかな時間が流れる。
「なんか久しぶりにゆっくりできたよ」
ソファに寝転がって背伸びをするシャルナの目は微睡んだもの。
緊張することなくゆったりと過ごせる空間のお陰か、皆だらけている。
コルレオンとミルモンは既に夢の中で、二人揃ってソファで体を丸めて眠っている。
パロンズ氏は手酌で酒を楽しみ、タチアナもその横で紅茶を堪能。
コクリコは――ずっと食べている。
うむ――。安息の時を堪能できている。
戦闘に身を置く時間から解放される事のなんと幸せなことか。
高順氏を中心とした方々が要塞で常に励んでいる事を考えると不遜な考えでもあるから、口に出すことは憚られるので心の中だけで思わせていただく。
森でのアジャイルセンチピードに始まり、カクエン。
ヤヤラッタにミノタウロス。
ハルダームにオーク。
最終戦のヤヤラッタとその麾下に加えてのエビルレイダー戦。
それを終えての要塞防衛戦。
――……連戦が過ぎる…………。
戦いから解放された幸せを少しは感じても許されるくらいには、今回も励んだと自負したい。
それに休める時には休めるようにメリハリもつけとかないとな。
目線を上へと向ける。向けた先には天井があるだけなんだけども、その先にあるであろう天空要塞を幻視する。
見たことないから雲に包まれた球体をイメージして。
そこへと赴けば、今まで以上の死闘が待っているんだろうな。
なんたって次の相手となるのは三爪痕の一角である翼幻王。
これまで相手にしてきた者達と比べものにならない難敵となるだろう。
デミタスよりも強いんだろうからな。
だが必ず勝つ! 幹部の一角程度に勝てないとなれば、魔王を倒すなんて不可能だからな。
それに戦闘となればこちらも情報を得られる。
翼幻王の実力が分かれば、同じ幹部である残りの二人の力も推し量る事が可能だろうからな。
その為にもベストコンディションで天空要塞には挑まないとな。
エビルレイダーが成虫になるために要する約二週間は、修練だけでなく休息にも利用させてもらおう。
――食事を終えてシャワーを使用。ギャルゲー主人公の部屋にあるベッドで横になったところで――テッテレー♪
「おう!?」
リラックスした状態で、甲高い音が突如として室内に響けば、どうしても驚きのリアクションをとってしまうね。
しかし――、毎度の事ながら俺が一人になったところを見計らったかのようにレベルアップの報告が入ってくるよな。
「どれどれ」
プレイギアに表示されるレベルは――、
「76か。2アップだな」
74から76。
数字においての評価としては少ない上がりだけども、今回、相手にした面々は強者ではあったけども、デミタスと比べると実力は劣っていたからな。
正直、レベルアップの音を聴くことがないと思ってもいたから、2アップしていたことが嬉しい。
さて、レベルアップ音は耳にした。
――どう出る? セラよ。
ピコーン♪
「ほうほう、やはりメールを送ってきましたな」
最近はオタサーの姫みたいな立ち位置になって俺との連絡を蔑ろにしていたのに、レベルアップに合わせてメールを送ってきましたな。
――これは間違いなく俺が思っている展開のようだ。
メール内容が事務的か、そうじゃないか――。
{レベルアップおめでとう! 今はゆっくりとしているところかしら? 少し話しをしない?}
お! なんか余裕のある文体だな。
余裕がありすぎて余裕がないように見受けられる文体だ。
間違いなく後者だな。事務的ではないと見るべきだ。
――揺さぶってみるか。
{ありがとう。ゆっくりとしているところだけど、明日も早いからもう寝るところさ。じゃあ、おやすみ}
ピコーン♪
ほほう。なんとも素早い返しだな。
送って直ぐの返信。
セラのやつ。やはり余裕はないようだな。
{まあまあ、少し話しでもしましょうよ!}
メールの文面から分かってくるセラの現在の状況を考えてしまうと、なんか多幸感に近いものを覚えてしまう。
結局は俺がいないとダメなんだな。という男としての優越感が心底から勢いよく湧き上がってくるよ。
フッ――しかたねえな。
「やあやあ、セラさん。お久しぶりですね~」
『トールさん。そんな堅苦しい挨拶は抜きでいきましょうよ』
なんて言いながら。随分と低姿勢だな。
その声音と口調に俺は気分がよくなっていく。
「で、どうする? ゲームするかい?」
『もちろん!』
ほう、するんですか。
「で、一緒にゲームしてたであろう、セラを囲っていたメンズはどうしたのかな?」
『あ、あ……。それは……』
はたして正にだな。
「何とも最後は締まりませんでしたね」
「そう言うなよ。これも縁を深めるためだからな」
「酒だけで深まる縁とは何とも単純ですよね」
毒づくコクリコにパロンズ氏は申し訳なさそうな笑みを浮かべていた。
現在、皆して語り合っている場所は――ギャルゲー主人公の家の中。
ミズーリを湖に召喚し、酒をアラムロス窟のドワーフさん達に運ばせ、要塞兵達にも食糧を運んでもらい、そのまま俺達は王都への帰還の途に就く。
途上での宿泊の時間は、今までと違ってまったりとしたもの。
サイズが理由でキュクロプス三兄弟とエビルレイダーは野宿という事になってしまって申し訳ないのだけども、三兄弟は自由の身になり、広々とした外の世界に出ることが出来たことで、それを堪能できるから野宿でも大歓迎と言ってくれた。
――夕食を済ませたリビングでは、穏やかな時間が流れる。
「なんか久しぶりにゆっくりできたよ」
ソファに寝転がって背伸びをするシャルナの目は微睡んだもの。
緊張することなくゆったりと過ごせる空間のお陰か、皆だらけている。
コルレオンとミルモンは既に夢の中で、二人揃ってソファで体を丸めて眠っている。
パロンズ氏は手酌で酒を楽しみ、タチアナもその横で紅茶を堪能。
コクリコは――ずっと食べている。
うむ――。安息の時を堪能できている。
戦闘に身を置く時間から解放される事のなんと幸せなことか。
高順氏を中心とした方々が要塞で常に励んでいる事を考えると不遜な考えでもあるから、口に出すことは憚られるので心の中だけで思わせていただく。
森でのアジャイルセンチピードに始まり、カクエン。
ヤヤラッタにミノタウロス。
ハルダームにオーク。
最終戦のヤヤラッタとその麾下に加えてのエビルレイダー戦。
それを終えての要塞防衛戦。
――……連戦が過ぎる…………。
戦いから解放された幸せを少しは感じても許されるくらいには、今回も励んだと自負したい。
それに休める時には休めるようにメリハリもつけとかないとな。
目線を上へと向ける。向けた先には天井があるだけなんだけども、その先にあるであろう天空要塞を幻視する。
見たことないから雲に包まれた球体をイメージして。
そこへと赴けば、今まで以上の死闘が待っているんだろうな。
なんたって次の相手となるのは三爪痕の一角である翼幻王。
これまで相手にしてきた者達と比べものにならない難敵となるだろう。
デミタスよりも強いんだろうからな。
だが必ず勝つ! 幹部の一角程度に勝てないとなれば、魔王を倒すなんて不可能だからな。
それに戦闘となればこちらも情報を得られる。
翼幻王の実力が分かれば、同じ幹部である残りの二人の力も推し量る事が可能だろうからな。
その為にもベストコンディションで天空要塞には挑まないとな。
エビルレイダーが成虫になるために要する約二週間は、修練だけでなく休息にも利用させてもらおう。
――食事を終えてシャワーを使用。ギャルゲー主人公の部屋にあるベッドで横になったところで――テッテレー♪
「おう!?」
リラックスした状態で、甲高い音が突如として室内に響けば、どうしても驚きのリアクションをとってしまうね。
しかし――、毎度の事ながら俺が一人になったところを見計らったかのようにレベルアップの報告が入ってくるよな。
「どれどれ」
プレイギアに表示されるレベルは――、
「76か。2アップだな」
74から76。
数字においての評価としては少ない上がりだけども、今回、相手にした面々は強者ではあったけども、デミタスと比べると実力は劣っていたからな。
正直、レベルアップの音を聴くことがないと思ってもいたから、2アップしていたことが嬉しい。
さて、レベルアップ音は耳にした。
――どう出る? セラよ。
ピコーン♪
「ほうほう、やはりメールを送ってきましたな」
最近はオタサーの姫みたいな立ち位置になって俺との連絡を蔑ろにしていたのに、レベルアップに合わせてメールを送ってきましたな。
――これは間違いなく俺が思っている展開のようだ。
メール内容が事務的か、そうじゃないか――。
{レベルアップおめでとう! 今はゆっくりとしているところかしら? 少し話しをしない?}
お! なんか余裕のある文体だな。
余裕がありすぎて余裕がないように見受けられる文体だ。
間違いなく後者だな。事務的ではないと見るべきだ。
――揺さぶってみるか。
{ありがとう。ゆっくりとしているところだけど、明日も早いからもう寝るところさ。じゃあ、おやすみ}
ピコーン♪
ほほう。なんとも素早い返しだな。
送って直ぐの返信。
セラのやつ。やはり余裕はないようだな。
{まあまあ、少し話しでもしましょうよ!}
メールの文面から分かってくるセラの現在の状況を考えてしまうと、なんか多幸感に近いものを覚えてしまう。
結局は俺がいないとダメなんだな。という男としての優越感が心底から勢いよく湧き上がってくるよ。
フッ――しかたねえな。
「やあやあ、セラさん。お久しぶりですね~」
『トールさん。そんな堅苦しい挨拶は抜きでいきましょうよ』
なんて言いながら。随分と低姿勢だな。
その声音と口調に俺は気分がよくなっていく。
「で、どうする? ゲームするかい?」
『もちろん!』
ほう、するんですか。
「で、一緒にゲームしてたであろう、セラを囲っていたメンズはどうしたのかな?」
『あ、あ……。それは……』
はたして正にだな。
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