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PHASE-1415【合同模擬戦】
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上機嫌のミルモンを見つつ、
「王都で二週間余暇を過ごせると考えるより、もう二週間しかないと思うべきなんでしょうね」
「ですね。何かをするには長いようでいて短い日数です。なので可能な事はやっておくべきでしょう」
と、ワックさんも同意見。
「では、俺達は次に行ってみます」
「じゃあね、勇者様♪」
「おう。ゴロ太もワックさんの手伝いを頑張るんだぞ」
「もちろんだよ♪」
「後、ベルの事も頼むぞ。次の冒険となるとベルにも参加してもらうからな。うんとあまえさせてやってくれ」
「わかったよ♪」
うむ、ゴロ太になりたい。
――。
「――あまえさせてやってくれ――なんだね」
「そうだぞ。ベルのゴロ太に対する愛情は依存に近いからな。ゴロ太があまえているんじゃなくて、ベルがあまえているんだ」
「まあ、何となく分かるけどね……」
可愛いものに目がなく、その可愛いものに興奮しながら接近してくる美人。
それを経験しているからこそ、ミルモンも理解しているといったところだ。
ワックさんの作業場を後にし、二人で会話をしつつ徒歩での移動。
ミルモンは改良された左肩部分の座り心地がよほど気に入ったのか、体を上下に動かしながらクッションの感触を楽しんでいた。
――修練場へと戻ってくれば、賑やかな声が上がっている。
訓練の為の裂帛ある声ではなく、談笑に近いものだった。
「楽しそうだね?」
「あっ会頭だ!」
「おい! 失礼だろ!」
と、黒色級の認識票をぶら下げた、コクリコと同年代くらいの少年二人に話しかける。
「賭け事が始まるんですよ」
「なぬ!? 賭け事とな!?」
「あ、はい!」
俺が驚きの声をあげるもんだから、二人ともそれに当てられて姿勢を真っ直ぐに伸ばす。
俺の知らないところでそういった事が行われているということは由々しきこと!
「賭け事とか誰が許可してんの!」
問い詰めるように二人に聞けば、
「副会頭が許可を出しています」
「あ、そうなの。先生が許可しているならいいか」
「全幅の信頼をよせてるね」
「当たり前だろ。俺達が自由に外で活動できるのも、偏に先生が内部で励んでくれているからこそだからな。その先生が許可を出してる時点で安心していい」
俺が先生に対する信頼を口にすれば、ミルモンは唇を尖らせる。
自分以上に信頼されている存在に対し、嫉妬しているようだった。
そんなミルモンの頭を撫でてあやしつつ、二人に説明を聞けば、破産しないようにという事だけは絶対のルールとしているようで、賭け事で破産した場合はギルドからの追放という重い罰則を科しており、皆、無理なく嗜む程度で賭け事を楽しんでいるという。
息抜きも大事だからな。楽しむ程度の賭け事なら問題ないな。
――……うん。ていうか、なんで俺は賭け事くらいで驚いてしまったのか……。
ギルドにおいて、賭け事の前例を作ったのは、そもそも俺じゃないか……。
俺とベルが戦った時、コクリコ達が賭け事をしてたよな……。
で、大層に稼いでいたな……。
勇者と従者の戦いってことで、俺の人気が高かったのを利用したコクリコがベルに賭けて儲けてたな~。
――……思い出してきたら無性にムカついてきた。
「あの……か、会頭……?」
苛立ったのが顔に出ていたようで、俺に不安そうに問うてくる黒色級の一人。
誤魔化すように嘘くさく咳を一つ打ってから、
「それで賭の内容は?」
と、問えば、
「はい、今回は殲滅戦による模擬戦です」
模擬戦か。
しかも殲滅戦。名称だけでもおっかなさが伝わってくる。
「ギルドメンバーが複数人で戦うってことかい?」
「違います。会頭の私兵が戦います」
「へ? 私兵って事は――ラルゴやリーバイ達って事かな?」
「そうです。対戦相手はゴブリンの騎獣隊です」
「マジで!?」
ラルゴたち私兵による騎兵と、アルスン翁に一般教養と訓練をお願いした、エルフの国の周辺で生活していたゴブリンとミストウルフたちの連携による騎獣隊。
その二組による合同演習が行われるという。
殲滅戦にてどちらかが全滅するまでの演習とのこと。
「そんな事をやるんだ。知らなかったよ」
「会頭は主に外で活躍していますからね。こういった模擬戦は結構あるんですよ」
今回のような騎兵と騎獣の戦いは初めてらしいけど、俺の私兵と王都兵による歩兵の模擬戦なんかは結構あるそうだ。
王都付近で野外訓練をしているのは聞いていたけど、こういったこともやってるんだな。
「それで――何処で模擬戦があるんだい? 騎兵の戦いだろ。この修練場が広いとはいえ、もっと広いフィールドがほしいよね?」
俺の左肩からの質問に、二人は北側防御壁と木壁の間を利用して行われると説明。
「本格的な騎兵戦だな」
「50対50と数に上限を定めた限定戦となってます」
「それは楽しみだな」
「時間があるなら会頭も見に行きませんか?」
「行かせてもらうよ」
ラルゴ達。そしてアルスン翁に任せているゴブリン達がどれだけ成長しているのかは見ておきたい。
――。
「祭りのようだな」
露天商までいる。
「大人数による演習ですからね」
黒色級の二人――ルッチとカルエスの誘導で北門を潜って木壁との境である場所まで足を運ぶ。
前者であるルッチが俺の主な話し相手になってくれた。
カルエスは俺に対して緊張しているみたいで、挙動はギクシャク。打ち解けるには時間がかかりそうだ。
俺程度でそんなにしゃちこ張るようじゃ、実戦では体を思うように動かせなくなるよ。
「せっかくの模擬戦だからな。二人も賭けるだけでなく、見て学ばないとね」
「「はい」」
素直な返事を耳にする中で、こちらへと近づいてくる蹄鉄の音。
音の方向に目を向ければ、見慣れた装備を纏った数騎の騎馬がこちらへと近づいくる。
「王都で二週間余暇を過ごせると考えるより、もう二週間しかないと思うべきなんでしょうね」
「ですね。何かをするには長いようでいて短い日数です。なので可能な事はやっておくべきでしょう」
と、ワックさんも同意見。
「では、俺達は次に行ってみます」
「じゃあね、勇者様♪」
「おう。ゴロ太もワックさんの手伝いを頑張るんだぞ」
「もちろんだよ♪」
「後、ベルの事も頼むぞ。次の冒険となるとベルにも参加してもらうからな。うんとあまえさせてやってくれ」
「わかったよ♪」
うむ、ゴロ太になりたい。
――。
「――あまえさせてやってくれ――なんだね」
「そうだぞ。ベルのゴロ太に対する愛情は依存に近いからな。ゴロ太があまえているんじゃなくて、ベルがあまえているんだ」
「まあ、何となく分かるけどね……」
可愛いものに目がなく、その可愛いものに興奮しながら接近してくる美人。
それを経験しているからこそ、ミルモンも理解しているといったところだ。
ワックさんの作業場を後にし、二人で会話をしつつ徒歩での移動。
ミルモンは改良された左肩部分の座り心地がよほど気に入ったのか、体を上下に動かしながらクッションの感触を楽しんでいた。
――修練場へと戻ってくれば、賑やかな声が上がっている。
訓練の為の裂帛ある声ではなく、談笑に近いものだった。
「楽しそうだね?」
「あっ会頭だ!」
「おい! 失礼だろ!」
と、黒色級の認識票をぶら下げた、コクリコと同年代くらいの少年二人に話しかける。
「賭け事が始まるんですよ」
「なぬ!? 賭け事とな!?」
「あ、はい!」
俺が驚きの声をあげるもんだから、二人ともそれに当てられて姿勢を真っ直ぐに伸ばす。
俺の知らないところでそういった事が行われているということは由々しきこと!
「賭け事とか誰が許可してんの!」
問い詰めるように二人に聞けば、
「副会頭が許可を出しています」
「あ、そうなの。先生が許可しているならいいか」
「全幅の信頼をよせてるね」
「当たり前だろ。俺達が自由に外で活動できるのも、偏に先生が内部で励んでくれているからこそだからな。その先生が許可を出してる時点で安心していい」
俺が先生に対する信頼を口にすれば、ミルモンは唇を尖らせる。
自分以上に信頼されている存在に対し、嫉妬しているようだった。
そんなミルモンの頭を撫でてあやしつつ、二人に説明を聞けば、破産しないようにという事だけは絶対のルールとしているようで、賭け事で破産した場合はギルドからの追放という重い罰則を科しており、皆、無理なく嗜む程度で賭け事を楽しんでいるという。
息抜きも大事だからな。楽しむ程度の賭け事なら問題ないな。
――……うん。ていうか、なんで俺は賭け事くらいで驚いてしまったのか……。
ギルドにおいて、賭け事の前例を作ったのは、そもそも俺じゃないか……。
俺とベルが戦った時、コクリコ達が賭け事をしてたよな……。
で、大層に稼いでいたな……。
勇者と従者の戦いってことで、俺の人気が高かったのを利用したコクリコがベルに賭けて儲けてたな~。
――……思い出してきたら無性にムカついてきた。
「あの……か、会頭……?」
苛立ったのが顔に出ていたようで、俺に不安そうに問うてくる黒色級の一人。
誤魔化すように嘘くさく咳を一つ打ってから、
「それで賭の内容は?」
と、問えば、
「はい、今回は殲滅戦による模擬戦です」
模擬戦か。
しかも殲滅戦。名称だけでもおっかなさが伝わってくる。
「ギルドメンバーが複数人で戦うってことかい?」
「違います。会頭の私兵が戦います」
「へ? 私兵って事は――ラルゴやリーバイ達って事かな?」
「そうです。対戦相手はゴブリンの騎獣隊です」
「マジで!?」
ラルゴたち私兵による騎兵と、アルスン翁に一般教養と訓練をお願いした、エルフの国の周辺で生活していたゴブリンとミストウルフたちの連携による騎獣隊。
その二組による合同演習が行われるという。
殲滅戦にてどちらかが全滅するまでの演習とのこと。
「そんな事をやるんだ。知らなかったよ」
「会頭は主に外で活躍していますからね。こういった模擬戦は結構あるんですよ」
今回のような騎兵と騎獣の戦いは初めてらしいけど、俺の私兵と王都兵による歩兵の模擬戦なんかは結構あるそうだ。
王都付近で野外訓練をしているのは聞いていたけど、こういったこともやってるんだな。
「それで――何処で模擬戦があるんだい? 騎兵の戦いだろ。この修練場が広いとはいえ、もっと広いフィールドがほしいよね?」
俺の左肩からの質問に、二人は北側防御壁と木壁の間を利用して行われると説明。
「本格的な騎兵戦だな」
「50対50と数に上限を定めた限定戦となってます」
「それは楽しみだな」
「時間があるなら会頭も見に行きませんか?」
「行かせてもらうよ」
ラルゴ達。そしてアルスン翁に任せているゴブリン達がどれだけ成長しているのかは見ておきたい。
――。
「祭りのようだな」
露天商までいる。
「大人数による演習ですからね」
黒色級の二人――ルッチとカルエスの誘導で北門を潜って木壁との境である場所まで足を運ぶ。
前者であるルッチが俺の主な話し相手になってくれた。
カルエスは俺に対して緊張しているみたいで、挙動はギクシャク。打ち解けるには時間がかかりそうだ。
俺程度でそんなにしゃちこ張るようじゃ、実戦では体を思うように動かせなくなるよ。
「せっかくの模擬戦だからな。二人も賭けるだけでなく、見て学ばないとね」
「「はい」」
素直な返事を耳にする中で、こちらへと近づいてくる蹄鉄の音。
音の方向に目を向ければ、見慣れた装備を纏った数騎の騎馬がこちらへと近づいくる。
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