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天空要塞
PHASE-1460【呂律は回る】
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「次がトドメとなるのは物足りない。もっと苦しめて、苦痛に歪んだ首級を手にしたかったよ」
「なんだよ。もう決着がつくような言い回しだな」
「つくんだよ。お前も仲間と同じ状態になるのだ」
大きく翅を羽ばたかせれば、編隊にて再び俺へと迫る。
原因はまだ分からないが、このままダラダラとモスマンとの戦闘が長引くのはよろしくないというのは分かる。
となれば、
「早々に終わらせないといけないな」
「出来ない事は口にするな!」
編隊飛行から先ほど同様、まずは遠距離攻撃を放ちつつ接近。
「パターンだな」
なのでこちらも同様に迎撃。
「貴様の対応もパターンではないか。それに、そのパターンを崩せないから仲間が苦しんでいるわけなんだがな。そして直にお前も――な!」
含みのある発言からの蹴撃。
今度は残火とマラ・ケニタルの刃部分で受ける。
「おうっ!?」
ヒーターシールドがそうだったからな。当然、鉄靴にも魔法付与が施されているよな。
通常の斬撃だと斬れないか。
ブレイズ有りきで対処しようとしたところで、
「なんなのだ……貴様は?」
いきなりの質問は怪訝な声だった。
「何がだよ?」
「いや――ありえん」
「なんだよ!」
勝手に自己解決したようで、モスマンはひたすらに蹴撃を打ち込みつつ、一定の距離を取ったところでヴェノムショットを放ってくる。
「無駄!」
直ぐさまマスリリースで迎撃。
それは分かっているとばかりに距離を詰めての蹴りに加えて、
「おう!?」
ボフンッ! と、豪快な風切り音――と、例えるよりは風圧。
黒みがかった翅による羽ばたきは強力な拳打にも似ていた。
「足癖だけでなく翅癖も悪いようだ。斬ってやる!」
「御免こうむる」
「わっぷ!?」
鱗粉を舞わせて再び距離を取ってくる。
「汚えな!」
「失礼な小僧だ! 我が鱗粉を不浄と見るか!」
かけておいて逆ギレかよ。
それともモスマンという種族において、鱗粉は自慢するべきものなのかな?
ここで再び距離を取り、編隊を組み直して遠距離からちまちまと仕掛けてくるのを全て迎撃する中で、
「き、きも……ち、悪い……よ……」
「ミルモン!」
血色の良いいつもの顔からは想像がつかないほどに青ざめている。
羽も尻尾も弱々しく項垂れており、かろうじて左肩に備わった取っ手を握って耐えているが、それもやっとといったところ。
これは無理に動けばミルモンが落ちてしまう。
「コクリコ」
肩越しに見れば、
「まあ、なんとか……」
全くもってなんとかって状況じゃないな。
コクリコの表情もさっきより悪くなっている。
シャルナ――は、俺達が包囲されないように上方の連中を防いでくれている。
「悪いがミルモンを頼めるか」
「も、問題ないですよ……」
弱ったミルモンをコクリコに託すも、そのコクリコもへたり込んで動けない状況。
原因はなにか――、
「そら!」
「チィッ!」
考える暇を与えないようにモスマンが編隊から飛び出して再び接近戦。
「よく耐える!」
「どうも」
この狭い通路での戦いも大分、慣れたきた。
足捌きを普段よりも小刻みにし、最小限の動きで対処。
樹上戦闘の経験も活きているな。
反面、
「しかし……なぜだ!」
と、モスマンは納得がいかないとばかりに声を荒げる。
蹴撃を捌くことに対して――ってわけじゃないよな。
それなら別の攻撃方法を繰り出してくるだろう。
距離を取ってのヴェノムショットに接近戦。
パターンではあるが、そのパターンに自信を持っているのが伝わってくる。
だからこそ、それが通用しないことにご立腹――ではなく焦燥感を漂わせているようだ。
となると、このパターンがモスマンにとって必勝に繋がる戦法なんだろう。
コクリコとミルモンがこうなっている原因はモスマンだと考えて間違いない。
二人が変調をきたしたところでモスマンは得意げに語り始めたからな。
となれば原因は一つ。
「鱗粉か」
――で、
「毒か!」
継いで発しつつ、直ぐさま雑嚢から取り出すのは二本のアンチドーテ。
「飲めコクリコ。で、ミルモンにも飲ませてやってくれ」
モスマンを警戒しつつ腰を落としてコクリコの目の前に置く。
「助かります……」
準備は大事だな。
「誇るだけあるようだな。鱗粉自体が武器になるんだから。そら接近して鱗粉を撒き散らしたいわけだ」
遠距離からはヴェノムショット。そして接近の蹴撃と共に毒鱗粉を撒く。
これで対象を毒状態にし、弱体化させてから猛禽の爪を模した鉄靴で仕留めるってのがモスマンの必勝パターンなんだな。
飛行で俺達から一定の距離をとって戦っているシャルナは鱗粉の範囲外だから平気なわけだ。
「タネが分かればしれたもの。ってね」
「よくもそこまで饒舌に話せるものだ!」
「呂律が回ってなくて残念だったな」
「なめるなよ小僧!」
「初めてのタイプと相対する時はまずは警戒。そこは反省だ」
「あの世でやってろ!」
俺もそうだし。毒をくらった二人もそう。
だが――、
「それはお宅も一緒。ウインドスラッシュ!」
パターンの蹴撃。
俺の斜め上方から迫るそれを残火でいなし、
「プラトゥーンリーパー!」
マラ・ケニタルの刀身から放たずに纏わせたウインドスラッシュをここで解き放つ。
複数の風の刃がモスマンを包囲して斬りつける。
自慢の翅をマラ・ケニタルの刀身と、解き放った風の刃でズタズタに切り裂けば、飛翔する力を失う。
「ギィィィィィィィィィィィイッ!」
俺達が立つ通路にかろうじて着地すれば、激痛に襲われるモスマンは歯ぎしりに似た声を上げた。
「なんだよ。もう決着がつくような言い回しだな」
「つくんだよ。お前も仲間と同じ状態になるのだ」
大きく翅を羽ばたかせれば、編隊にて再び俺へと迫る。
原因はまだ分からないが、このままダラダラとモスマンとの戦闘が長引くのはよろしくないというのは分かる。
となれば、
「早々に終わらせないといけないな」
「出来ない事は口にするな!」
編隊飛行から先ほど同様、まずは遠距離攻撃を放ちつつ接近。
「パターンだな」
なのでこちらも同様に迎撃。
「貴様の対応もパターンではないか。それに、そのパターンを崩せないから仲間が苦しんでいるわけなんだがな。そして直にお前も――な!」
含みのある発言からの蹴撃。
今度は残火とマラ・ケニタルの刃部分で受ける。
「おうっ!?」
ヒーターシールドがそうだったからな。当然、鉄靴にも魔法付与が施されているよな。
通常の斬撃だと斬れないか。
ブレイズ有りきで対処しようとしたところで、
「なんなのだ……貴様は?」
いきなりの質問は怪訝な声だった。
「何がだよ?」
「いや――ありえん」
「なんだよ!」
勝手に自己解決したようで、モスマンはひたすらに蹴撃を打ち込みつつ、一定の距離を取ったところでヴェノムショットを放ってくる。
「無駄!」
直ぐさまマスリリースで迎撃。
それは分かっているとばかりに距離を詰めての蹴りに加えて、
「おう!?」
ボフンッ! と、豪快な風切り音――と、例えるよりは風圧。
黒みがかった翅による羽ばたきは強力な拳打にも似ていた。
「足癖だけでなく翅癖も悪いようだ。斬ってやる!」
「御免こうむる」
「わっぷ!?」
鱗粉を舞わせて再び距離を取ってくる。
「汚えな!」
「失礼な小僧だ! 我が鱗粉を不浄と見るか!」
かけておいて逆ギレかよ。
それともモスマンという種族において、鱗粉は自慢するべきものなのかな?
ここで再び距離を取り、編隊を組み直して遠距離からちまちまと仕掛けてくるのを全て迎撃する中で、
「き、きも……ち、悪い……よ……」
「ミルモン!」
血色の良いいつもの顔からは想像がつかないほどに青ざめている。
羽も尻尾も弱々しく項垂れており、かろうじて左肩に備わった取っ手を握って耐えているが、それもやっとといったところ。
これは無理に動けばミルモンが落ちてしまう。
「コクリコ」
肩越しに見れば、
「まあ、なんとか……」
全くもってなんとかって状況じゃないな。
コクリコの表情もさっきより悪くなっている。
シャルナ――は、俺達が包囲されないように上方の連中を防いでくれている。
「悪いがミルモンを頼めるか」
「も、問題ないですよ……」
弱ったミルモンをコクリコに託すも、そのコクリコもへたり込んで動けない状況。
原因はなにか――、
「そら!」
「チィッ!」
考える暇を与えないようにモスマンが編隊から飛び出して再び接近戦。
「よく耐える!」
「どうも」
この狭い通路での戦いも大分、慣れたきた。
足捌きを普段よりも小刻みにし、最小限の動きで対処。
樹上戦闘の経験も活きているな。
反面、
「しかし……なぜだ!」
と、モスマンは納得がいかないとばかりに声を荒げる。
蹴撃を捌くことに対して――ってわけじゃないよな。
それなら別の攻撃方法を繰り出してくるだろう。
距離を取ってのヴェノムショットに接近戦。
パターンではあるが、そのパターンに自信を持っているのが伝わってくる。
だからこそ、それが通用しないことにご立腹――ではなく焦燥感を漂わせているようだ。
となると、このパターンがモスマンにとって必勝に繋がる戦法なんだろう。
コクリコとミルモンがこうなっている原因はモスマンだと考えて間違いない。
二人が変調をきたしたところでモスマンは得意げに語り始めたからな。
となれば原因は一つ。
「鱗粉か」
――で、
「毒か!」
継いで発しつつ、直ぐさま雑嚢から取り出すのは二本のアンチドーテ。
「飲めコクリコ。で、ミルモンにも飲ませてやってくれ」
モスマンを警戒しつつ腰を落としてコクリコの目の前に置く。
「助かります……」
準備は大事だな。
「誇るだけあるようだな。鱗粉自体が武器になるんだから。そら接近して鱗粉を撒き散らしたいわけだ」
遠距離からはヴェノムショット。そして接近の蹴撃と共に毒鱗粉を撒く。
これで対象を毒状態にし、弱体化させてから猛禽の爪を模した鉄靴で仕留めるってのがモスマンの必勝パターンなんだな。
飛行で俺達から一定の距離をとって戦っているシャルナは鱗粉の範囲外だから平気なわけだ。
「タネが分かればしれたもの。ってね」
「よくもそこまで饒舌に話せるものだ!」
「呂律が回ってなくて残念だったな」
「なめるなよ小僧!」
「初めてのタイプと相対する時はまずは警戒。そこは反省だ」
「あの世でやってろ!」
俺もそうだし。毒をくらった二人もそう。
だが――、
「それはお宅も一緒。ウインドスラッシュ!」
パターンの蹴撃。
俺の斜め上方から迫るそれを残火でいなし、
「プラトゥーンリーパー!」
マラ・ケニタルの刀身から放たずに纏わせたウインドスラッシュをここで解き放つ。
複数の風の刃がモスマンを包囲して斬りつける。
自慢の翅をマラ・ケニタルの刀身と、解き放った風の刃でズタズタに切り裂けば、飛翔する力を失う。
「ギィィィィィィィィィィィイッ!」
俺達が立つ通路にかろうじて着地すれば、激痛に襲われるモスマンは歯ぎしりに似た声を上げた。
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