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天空要塞
PHASE-1485【狙いたいのは顔】
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――さてさて、
「これで終わると思うなよ。その顔面をボコのボコにしないといけないからな!」
「こ、こっちが装備を手にした途端……冷静になったと思ったのに、ここでまた殺意を漲らせるね……」
「俺のパーティーメンバーに色目を使うのは許さん! お前みたいな下半身思考のヤツの毒牙から守らないといけないのが俺の務め!」
「仲間思いだね~」
格好良く言ってみても、俺の左肩に座るミルモンからの半眼による視線が、左頬にプスプスと刺さってくる。
相手の言うように仲間を思ってのことだから。
イケメンが軽い口調で女性陣に気軽に話しかけるってのが俺には出来ないから、嫉妬を通り越して殺意を抱いたということからの発言ってわけじゃないからね!
てなことで、
「有言実行。心と体――主に顔をボロ雑巾のようにしてくれる!」
「完全なる悪役の発言だよ……」
半眼に加えての呆れる口調を左耳から入れつつも、愛刀達を抜くことなく容易く終わらせてやりましょう!
「形成外科がこの世界にないことを悔やむがいい!」
「やなこった!」
声に力が漲ると同時に、ラズヴァートの胸元を目にして即座に察した俺はバックステップ。
先ほどまで立っていた場所に発生するのは竜巻。
よく目にする竜巻。
「アッパーテンペストだな」
「ご名答」
あのまま立ち続けていたら上空に打ち上げられていた。
首にかけている金のチェーンネックレスにはめ込まれた緑色のタリスマンは、風魔法を強化するようだな。
だとしても、
「シャルナほどじゃない」
「あの美人ハイエルフのことか? ならば上達のためにも手ほどきをしていただきたいね」
「そういったのは目の前の脅威に対処してから言うんだな!」
「確かにその通り!」
腹部に結構良いのを見舞ってやったのに以外と喋れるな。
ラフな恰好のようだけども、
「この要塞の主の側仕えの装備としては頼りなさそうに見えるけども、ただの生地じゃないようだな」
「まあね」
姿勢を正しつつ返してくる。
拳によるボディへの一撃はカウンターによるものだったから、かなりの威力だと思ったんだけどな。
「エアレーの革を鞣して作られた服なんでね」
「エアレー?」
「希少な動物」
と、短く教えてくれるのはシャルナ。
ここでもシャルナに代弁の礼を述べるラズヴァート。
「ひらひらしているけど、衝撃に対して反発するのが特徴でね。赤貧が顔から滲み出ている勇者では購入するのも難しいだろうね」
「こちとら公爵って立場だ! 王様に次いでデカい領地もっとるわい!」
「見かけによらないね」
「んだコラッ!」
「言葉づかいが王に次ぐ地位にいる者とは思えないね」
「じゃかあしぃ! 衝撃耐性がある装備だってんなら――」
「まあ、そうなるね」
抜かずに仕留めようと思ったが、即座に前言撤回からの抜刀。
二刀となれば、ヘラついた笑みが消えて口は一文字。
で、十文字からなる穂先が俺に狙いを定める。
「次は貫く」
「その前にその長い柄を斬り落としてタダの棒切れにしてやるさ」
「そこで命を取るといった表現をしないところが勇者ってところなんだろうな」
「命は取らないさ。ボロ雑巾のようにしてから主の場所を吐かせるからな」
「ボロ雑巾って言葉が好きなようで」
「言葉が好きなんじゃない。お前をそういった状態にすることが、たまらなく好きなんだよぉぉぉぉぉお!」
低音を利かせて言えば、目の前の相手よりもミルモンが変わらずの半眼で見てくる。
台詞がチンピラ然としているから、ほとほと呆れるしかないようだ。
「行くぜ!」
強気スマイルにて身を低くする構え。
開脚屈伸を思わせる姿勢。
そんな独特な姿勢から、
「ハッ!」
短く発してからの正面からの突撃。
パターンだな。
「速いけど、遅いんだよ」
槍の刺突で俺を驚かせたいんなら、
「高順氏くらいの一突きを体得してから挑んでこい!」
「誰だよ」
と、槍の間合いに入る直前に急停止。
悪そうに口角を上げる正面。
「トール、後ろだ!」
と、側面からのベルの声は警戒に染まったもの。
「ああ、そうかい!」
力量を調べるとは言っても、一騎討ちとは一言も口に出してなかったもんな。
ドズゥゥゥゥゥゥゥン! と、当たれば間違いなく致命傷を通り越して即死となる音が地面を揺らしながら響く。
「ガァァア!」
続けて攻撃が当たらなかった苛立ちもあるのか、耳を塞ぎたくなる鳴き声。
強烈な嘴による一刺しは俺へと見舞われることはなかったけども、俺が先ほどまで立っていた地面には大穴が出来ていた。
鳴き声を上げた嘴が閉じれば、鋭い嘴は顔に近い所まで土が付着。
目測で確認しても長さが三メートルはある嘴。
そんなのが巨体の質量を活かして利用されればやはり、
「即死だな」
「俺のも当たれば即死だぜ!」
快活良く上空から迫る一突きも躱してやる。
悔しそうな舌打ちに対して二刀の峰を見舞おうとするが、
「おう!?」
フッケバインが羽ばたきで生み出す突風に、攻撃の機会が阻害される。
逆にラズヴァートはその突風の流れを利用して飛翔し、俺から距離を取りつつ、
「ウインドランス」
と、しっかりと去り際に魔法を一発。
対してマナ・ケニタルにて切り払い。
「俺の強化した魔法を霧散させるか」
そっちも風魔法が得意なようだけど、これを与えてくれた我が可愛い二番弟子の国の面々も風魔法は得意だからな。
刀身に風の加護を与えてくれるルーンが刻まれた我が愛刀――マラ・ケニタル。
タリスマンで強化されていようが、並の風魔法なんて通用しない。
「これで終わると思うなよ。その顔面をボコのボコにしないといけないからな!」
「こ、こっちが装備を手にした途端……冷静になったと思ったのに、ここでまた殺意を漲らせるね……」
「俺のパーティーメンバーに色目を使うのは許さん! お前みたいな下半身思考のヤツの毒牙から守らないといけないのが俺の務め!」
「仲間思いだね~」
格好良く言ってみても、俺の左肩に座るミルモンからの半眼による視線が、左頬にプスプスと刺さってくる。
相手の言うように仲間を思ってのことだから。
イケメンが軽い口調で女性陣に気軽に話しかけるってのが俺には出来ないから、嫉妬を通り越して殺意を抱いたということからの発言ってわけじゃないからね!
てなことで、
「有言実行。心と体――主に顔をボロ雑巾のようにしてくれる!」
「完全なる悪役の発言だよ……」
半眼に加えての呆れる口調を左耳から入れつつも、愛刀達を抜くことなく容易く終わらせてやりましょう!
「形成外科がこの世界にないことを悔やむがいい!」
「やなこった!」
声に力が漲ると同時に、ラズヴァートの胸元を目にして即座に察した俺はバックステップ。
先ほどまで立っていた場所に発生するのは竜巻。
よく目にする竜巻。
「アッパーテンペストだな」
「ご名答」
あのまま立ち続けていたら上空に打ち上げられていた。
首にかけている金のチェーンネックレスにはめ込まれた緑色のタリスマンは、風魔法を強化するようだな。
だとしても、
「シャルナほどじゃない」
「あの美人ハイエルフのことか? ならば上達のためにも手ほどきをしていただきたいね」
「そういったのは目の前の脅威に対処してから言うんだな!」
「確かにその通り!」
腹部に結構良いのを見舞ってやったのに以外と喋れるな。
ラフな恰好のようだけども、
「この要塞の主の側仕えの装備としては頼りなさそうに見えるけども、ただの生地じゃないようだな」
「まあね」
姿勢を正しつつ返してくる。
拳によるボディへの一撃はカウンターによるものだったから、かなりの威力だと思ったんだけどな。
「エアレーの革を鞣して作られた服なんでね」
「エアレー?」
「希少な動物」
と、短く教えてくれるのはシャルナ。
ここでもシャルナに代弁の礼を述べるラズヴァート。
「ひらひらしているけど、衝撃に対して反発するのが特徴でね。赤貧が顔から滲み出ている勇者では購入するのも難しいだろうね」
「こちとら公爵って立場だ! 王様に次いでデカい領地もっとるわい!」
「見かけによらないね」
「んだコラッ!」
「言葉づかいが王に次ぐ地位にいる者とは思えないね」
「じゃかあしぃ! 衝撃耐性がある装備だってんなら――」
「まあ、そうなるね」
抜かずに仕留めようと思ったが、即座に前言撤回からの抜刀。
二刀となれば、ヘラついた笑みが消えて口は一文字。
で、十文字からなる穂先が俺に狙いを定める。
「次は貫く」
「その前にその長い柄を斬り落としてタダの棒切れにしてやるさ」
「そこで命を取るといった表現をしないところが勇者ってところなんだろうな」
「命は取らないさ。ボロ雑巾のようにしてから主の場所を吐かせるからな」
「ボロ雑巾って言葉が好きなようで」
「言葉が好きなんじゃない。お前をそういった状態にすることが、たまらなく好きなんだよぉぉぉぉぉお!」
低音を利かせて言えば、目の前の相手よりもミルモンが変わらずの半眼で見てくる。
台詞がチンピラ然としているから、ほとほと呆れるしかないようだ。
「行くぜ!」
強気スマイルにて身を低くする構え。
開脚屈伸を思わせる姿勢。
そんな独特な姿勢から、
「ハッ!」
短く発してからの正面からの突撃。
パターンだな。
「速いけど、遅いんだよ」
槍の刺突で俺を驚かせたいんなら、
「高順氏くらいの一突きを体得してから挑んでこい!」
「誰だよ」
と、槍の間合いに入る直前に急停止。
悪そうに口角を上げる正面。
「トール、後ろだ!」
と、側面からのベルの声は警戒に染まったもの。
「ああ、そうかい!」
力量を調べるとは言っても、一騎討ちとは一言も口に出してなかったもんな。
ドズゥゥゥゥゥゥゥン! と、当たれば間違いなく致命傷を通り越して即死となる音が地面を揺らしながら響く。
「ガァァア!」
続けて攻撃が当たらなかった苛立ちもあるのか、耳を塞ぎたくなる鳴き声。
強烈な嘴による一刺しは俺へと見舞われることはなかったけども、俺が先ほどまで立っていた地面には大穴が出来ていた。
鳴き声を上げた嘴が閉じれば、鋭い嘴は顔に近い所まで土が付着。
目測で確認しても長さが三メートルはある嘴。
そんなのが巨体の質量を活かして利用されればやはり、
「即死だな」
「俺のも当たれば即死だぜ!」
快活良く上空から迫る一突きも躱してやる。
悔しそうな舌打ちに対して二刀の峰を見舞おうとするが、
「おう!?」
フッケバインが羽ばたきで生み出す突風に、攻撃の機会が阻害される。
逆にラズヴァートはその突風の流れを利用して飛翔し、俺から距離を取りつつ、
「ウインドランス」
と、しっかりと去り際に魔法を一発。
対してマナ・ケニタルにて切り払い。
「俺の強化した魔法を霧散させるか」
そっちも風魔法が得意なようだけど、これを与えてくれた我が可愛い二番弟子の国の面々も風魔法は得意だからな。
刀身に風の加護を与えてくれるルーンが刻まれた我が愛刀――マラ・ケニタル。
タリスマンで強化されていようが、並の風魔法なんて通用しない。
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