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天空要塞
PHASE-1511【やっぱ強いね】
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「知らねえぞ……」
確実にお前たちはあの方を怒らせた。と、ラズヴァートの表情は引きつり、血の気を失ったものに変わる。
俺達と一緒にいるから、自分まで巻き添えを食らうかもしれないという恐怖があるようだな。
こいつがこんなリアクションになるってことは、目の前の四メートルサイズはかなりやばい相手のようだ。
「許可もなく外殻であるルドルクナスを突破し、この地へと踏み入った闖入者を断罪するのは当然だが、我が血筋を耳にしても敬うという態度にならなかった事の方が罪としては大きい。敬えば苦痛なき死を与えるつもりだったが仕方ない。死に顔は惨たらしいモノとなるだろうな」
「そうはならねえよ。こちとら今以上の自分を目指しているからな。悪神のなんちゃって血筋の可能性があるようなのが相手となれば、成長の糧としては申し分ない。お宅にはロイター板になってもらう」
「分かった。不敬罪にて処す! 偉大なる血統であるアンラ・マンユ・クロースである我――アドゥサル・タタザリが手ずから力を振るい、本日を勇者の命日としてやろう!」
「来るぞ勇者」
「了解!」
「おう!?」
ルインリーダーに返答し身構えたところで、困惑からなる声を出しながらエルダーが吹き飛ばされる。
先ほどまでエルダーが立っていた場所には、代わりにアドゥサルと名乗った悪神の近縁が立つ。
瞬時にしてやり手であるエルダーの間合いに入り込んで吹き飛ばすか。
偉大なる血統とか言うだけあって強いな。
「まずは不浄なるスケルトンを一体!」
自らの拳をこちらへと見せつけ、強者然とした笑みを向けてくる。
右の腰には手斧がぶら下がったまま。見せつけてくる拳による拳打だったか。
今の一撃を見切れなかった。
「確認もせずに仕留めた気分になるのは三流の証拠」
「ほう。そこいらのスケルトンとは違うか」
後方からの声。
ペリースを靡かせながら佇むエルダー。
「無事ですか」
問えば、
「そもそもが死者なので無事かという発言もどうかと思うが。活動できるという事なら問題はない」
と、返ってくる。
素直に無事ってだけ返してくればいいのに。
「我が拳打に咄嗟に反応し、シールドで防いだか。俊足からの我が一撃に対応するとなれば、かなりの技量を有しているスケルトンのようだな」
「称賛、素直に受けよう」
「アンデッド風情がいっぱしに返事をする」
「防げたから口も無事だっただけだ。防げたからな」
「防御を強調してくるか。つまりは我が拳打など意にも介さないと、暗に馬鹿にしていると受け取っていいかな?」
「そちらの判断に委ねよう」
「アンデッドが!」
「お怒りのところ悪いけども、隙だらけだぞ!」
苛立った語気へと変化するアドゥサルの巨体へと目がけて残火による横一文字。
「なんの!」
漆黒のガントレットは横幅が広く、籠手よりもバックラーのようなシールドといったデザイン。
こちらの刃を簡単に受け止めてくるところから、鎧は魔法付与が施された代物だというのが分かる。
上位の連中と戦う経験が多くなればなるほど、そういった装備が当然になってくるね。
「勇者!」
ルインリーダーの切羽詰まった声を聞くと同時に、
「ぐぅ!」
俺の体が宙を舞う。
腹部に走る鈍痛と共に……。
呼吸がままならない状況だけども、焦りはない。
一撃をもらっただけでパニックになるほど経験は浅くないからね! 俺!
心底で自分に活を入れつつ、鈍痛を感じながらも冷静に空中で呼吸を整えてから宙空へと着地。
ピルグリムによるプロテクションによるフォロー。
足場用だけでなく、俺の前面にも展開してくれる。
感謝しつつ、足場に立ってダメージを確認。
左腹部に鈍痛は走るが――、
「問題はないな……」
「言うわりに顔は苦痛に歪んでいるがな!」
「おわっふ!?」
障壁が展開されていない俺の頭上を取ってくれば、羽を一度羽ばたかせての急降下。
そのまま右腰から取り出した手斧を振り下ろしてくる。
躱せば足場となったプロテクションが――、
「砕けるか……」
魔法に物理。それらを防いでくれる障壁を容易く一撃で破壊する膂力。
「逃がすものか!」
羽を羽ばたかせれば直ぐさま俺の目の前。
強者でデカい体躯。
威圧感はハンパじゃない。
これに加えて速いときてる。
「強いんだな」
「何を今更!」
「イグニース」
宙に浮いた状態で正面から迫ってくるアドゥサルに対し、炎の障壁を顕現させる。
「叩き割ってくれる」
ステータスを力に全振りしてんのかと言わんばかりの手斧の一振り。
前面に展開した炎の障壁に叩き付けてくる。
「ぬぅぅ!」
「ほう。アンデッドのプロテクションよりはよく練られている」
かろうじて防いだものの、
「だぁ!?」
またも襲われる側面からの衝撃で、俺の体は床へと強制的に吹き飛ばされる。
――……床が近づく中で、
「あだ!?」
これまた衝撃。
原因はルインリーダーのシールドバッシュ……。
ゴロゴロと転がるも、五体は有り難いことに無事。
床に直接たたき付けられるよりも、勢いを殺してくれた横からのシールドバッシュのお陰で死に体だけは回避できたってところだね……。
――……痛いのには変わらないけど……。
まあ、痛いと思える程度で済んだことに感謝だ。
「危機一髪だな」
「助かりましたよ」
ルインリーダーへと返すと同時に雑嚢からハイポーションを取り出し――呷る。
戦闘開始して即座にポーションを消費せられるとはね。
決して油断しているわけじゃない。
先手を取りたかったけど、逆に攻められた……。
やっぱ幹部となれば強い。
確実にお前たちはあの方を怒らせた。と、ラズヴァートの表情は引きつり、血の気を失ったものに変わる。
俺達と一緒にいるから、自分まで巻き添えを食らうかもしれないという恐怖があるようだな。
こいつがこんなリアクションになるってことは、目の前の四メートルサイズはかなりやばい相手のようだ。
「許可もなく外殻であるルドルクナスを突破し、この地へと踏み入った闖入者を断罪するのは当然だが、我が血筋を耳にしても敬うという態度にならなかった事の方が罪としては大きい。敬えば苦痛なき死を与えるつもりだったが仕方ない。死に顔は惨たらしいモノとなるだろうな」
「そうはならねえよ。こちとら今以上の自分を目指しているからな。悪神のなんちゃって血筋の可能性があるようなのが相手となれば、成長の糧としては申し分ない。お宅にはロイター板になってもらう」
「分かった。不敬罪にて処す! 偉大なる血統であるアンラ・マンユ・クロースである我――アドゥサル・タタザリが手ずから力を振るい、本日を勇者の命日としてやろう!」
「来るぞ勇者」
「了解!」
「おう!?」
ルインリーダーに返答し身構えたところで、困惑からなる声を出しながらエルダーが吹き飛ばされる。
先ほどまでエルダーが立っていた場所には、代わりにアドゥサルと名乗った悪神の近縁が立つ。
瞬時にしてやり手であるエルダーの間合いに入り込んで吹き飛ばすか。
偉大なる血統とか言うだけあって強いな。
「まずは不浄なるスケルトンを一体!」
自らの拳をこちらへと見せつけ、強者然とした笑みを向けてくる。
右の腰には手斧がぶら下がったまま。見せつけてくる拳による拳打だったか。
今の一撃を見切れなかった。
「確認もせずに仕留めた気分になるのは三流の証拠」
「ほう。そこいらのスケルトンとは違うか」
後方からの声。
ペリースを靡かせながら佇むエルダー。
「無事ですか」
問えば、
「そもそもが死者なので無事かという発言もどうかと思うが。活動できるという事なら問題はない」
と、返ってくる。
素直に無事ってだけ返してくればいいのに。
「我が拳打に咄嗟に反応し、シールドで防いだか。俊足からの我が一撃に対応するとなれば、かなりの技量を有しているスケルトンのようだな」
「称賛、素直に受けよう」
「アンデッド風情がいっぱしに返事をする」
「防げたから口も無事だっただけだ。防げたからな」
「防御を強調してくるか。つまりは我が拳打など意にも介さないと、暗に馬鹿にしていると受け取っていいかな?」
「そちらの判断に委ねよう」
「アンデッドが!」
「お怒りのところ悪いけども、隙だらけだぞ!」
苛立った語気へと変化するアドゥサルの巨体へと目がけて残火による横一文字。
「なんの!」
漆黒のガントレットは横幅が広く、籠手よりもバックラーのようなシールドといったデザイン。
こちらの刃を簡単に受け止めてくるところから、鎧は魔法付与が施された代物だというのが分かる。
上位の連中と戦う経験が多くなればなるほど、そういった装備が当然になってくるね。
「勇者!」
ルインリーダーの切羽詰まった声を聞くと同時に、
「ぐぅ!」
俺の体が宙を舞う。
腹部に走る鈍痛と共に……。
呼吸がままならない状況だけども、焦りはない。
一撃をもらっただけでパニックになるほど経験は浅くないからね! 俺!
心底で自分に活を入れつつ、鈍痛を感じながらも冷静に空中で呼吸を整えてから宙空へと着地。
ピルグリムによるプロテクションによるフォロー。
足場用だけでなく、俺の前面にも展開してくれる。
感謝しつつ、足場に立ってダメージを確認。
左腹部に鈍痛は走るが――、
「問題はないな……」
「言うわりに顔は苦痛に歪んでいるがな!」
「おわっふ!?」
障壁が展開されていない俺の頭上を取ってくれば、羽を一度羽ばたかせての急降下。
そのまま右腰から取り出した手斧を振り下ろしてくる。
躱せば足場となったプロテクションが――、
「砕けるか……」
魔法に物理。それらを防いでくれる障壁を容易く一撃で破壊する膂力。
「逃がすものか!」
羽を羽ばたかせれば直ぐさま俺の目の前。
強者でデカい体躯。
威圧感はハンパじゃない。
これに加えて速いときてる。
「強いんだな」
「何を今更!」
「イグニース」
宙に浮いた状態で正面から迫ってくるアドゥサルに対し、炎の障壁を顕現させる。
「叩き割ってくれる」
ステータスを力に全振りしてんのかと言わんばかりの手斧の一振り。
前面に展開した炎の障壁に叩き付けてくる。
「ぬぅぅ!」
「ほう。アンデッドのプロテクションよりはよく練られている」
かろうじて防いだものの、
「だぁ!?」
またも襲われる側面からの衝撃で、俺の体は床へと強制的に吹き飛ばされる。
――……床が近づく中で、
「あだ!?」
これまた衝撃。
原因はルインリーダーのシールドバッシュ……。
ゴロゴロと転がるも、五体は有り難いことに無事。
床に直接たたき付けられるよりも、勢いを殺してくれた横からのシールドバッシュのお陰で死に体だけは回避できたってところだね……。
――……痛いのには変わらないけど……。
まあ、痛いと思える程度で済んだことに感謝だ。
「危機一髪だな」
「助かりましたよ」
ルインリーダーへと返すと同時に雑嚢からハイポーションを取り出し――呷る。
戦闘開始して即座にポーションを消費せられるとはね。
決して油断しているわけじゃない。
先手を取りたかったけど、逆に攻められた……。
やっぱ幹部となれば強い。
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