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天空要塞
PHASE-1526【鉄扉の先】
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東側が厳重となれば――、
「東側の方に翼幻王がいるってことになるんですかね?」
「どうだろうな。歩哨や立哨は並の兵だったからな。大勢に守らせることで、東側に目を向けさせるミスリードとも考えられるし、西側のように精鋭ばかりでかためているのもミスリードを誘っているようにも思える」
「ここの主は掴み所がない性格のようですし」
「裏の裏を行くタイプのようだからな。可能ならば性格を知りたいよな」
「ですよね」
チラリとロマンドさんに拘束されているラズヴァートをゲッコーさんと二人して肩越しに見るも、
「へっ」
笑って舌を出してくるだけだった。
「いい根性だよ。だが余裕を見せたいならもっと表情はやわらいだものにしないとな」
ゲッコーさんから指摘を受ければ、出した舌を引っ込めてからの舌打ち。
迷うことなく俺達が道を進んで行くことに内心では焦っているようだ。
となれば、やはりこっちが本命か。
「お、階段を発見」
今までの壁や床、柱などと同じ白亜なつくりからなる石の階段。
ここでもチラリとラズヴァートを瞥見すれば、苦々しそうな表情に変わっていた。
その表情からして間違いないと確信したいけども、
「まずは上まで行ってみないとな!」
――駆け上がっていく。
白亜の階段は、幅の広い螺旋からなっている。
二階、三階につながる通路は存在せず、ひたすらに上へと向かって続いているだけ。
「要塞の主専用と信じたいな」
翼幻王の住まう部屋までの直通階段であれとロマンドさん。
こういった作りからしてそう信じたくなるよね。
「お、それっぽいのがいるな」
駆け上っていく俺達の前に現れるのは、ストームトルーバー? が、二人。
「ユーリ」
「了解ですドム」
駆けつつユーリさんが俺へとタブレットを手渡すと同時に、宙空からサプレッサーのついたハンドガン一丁を手にする。
実弾の入ったCZ75 SP-01ではなく麻酔銃であるグロック17。
麻酔銃、強者相手に効果の程は……。
と、俺が考えている中でゲッコーさんも同様のモノを手にし、二人同時にスライドを引けば、これまた同時に射撃。
立射ではなく走りながらの射撃であるというのに――、
「大したもんだ。どっちも一発だ」
走射とでも言うべき技法による射撃。
相手が構えるどころか、こちらへと誰何しようと口を開こうとすることも許さないまま頭部に命中。
「一発で素敵な夢の中」
階段の終わり。扉前に立っていたストームトルーバー? の二人は仲良く天井を見て眠りにつく。
――うむストームトルーパーなんだよな。
「お前のご同輩でいいんだよね?」
「ああ。いったい何をしたんだよ? ぐっすりと眠ってる」
麻酔銃によるヘッドショット。
ゲーム内ではボス戦や頭部全体を守っている敵兵以外なら頭に当たれば一発で即、眠りへと誘うことが出来る武器。
この世界でもそういった効果が発動するようだな。
いままでゲッコーさんが麻酔銃を使用してきた相手は、ここの面子に比べると遙かに格下の連中。
強者相手となると効果を発揮するのは難しいのでは? と、内心では思っていたけど、ストームトルーバークラスであってもヘッドショットなら一発で眠りに誘うことができるというのを知ることが出来た。
「ふむん」
「なに助平な顔で見てるんですかね!」
「コクリコ。扉向こうに聞こえるような大声を出さないように」
「トールが変な目で見るからですよ」
「そりゃ見ますよ」
眠る二人のストームトルーバーは女性。
しかもとびきり美人の二人。
背中にはラズヴァートと同じ白い翼があるからフェイレン族だろう。
白い翼のある雪肌の美人。
天からの使いと言われれば信じるよね。
ラズヴァートや他の男達が着ていたのは黒色に金の差し色。
いま目の前で眠っている女性二人は白色に赤の差し色。
色は違うが、服のデザインはまったく一緒。
「男女で服の色が違うってことでいいのか?」
「そうだ」
「なるほど」
しかし、
「胸元がはだけそうですね」
「まったくだな」
「紳士としては隠してあげないといけませんね」
俺、ゲッコーさん、ユーリさんが思ったことを述べれば、
「紳士的な発言のようですが、三人とも声は残念すぎますね。邪な考えしか浮かんでいませんよ」
「ソンナバカナ」
「マッタクダ」
「エエ、ホントウニ」
「トールを筆頭に片言!」
ご立腹のコクリコ。
でも仕方ないじゃないか。
寝ている二人が美しすぎるんだから。
しかもそんな美人の胸元がはだけてるんだもの。
「これから扉を開いて先に行くってのに余裕な事だな」
「女大好きなお前だけど、ストームトルーバー内でボッチみたいだから、この美人さん達にも相手にはされてないんだろうな」
「今そんな話はしてねえよ! 余裕かよ!」
ムキになる辺り、俺の発言は的を射ていたようだな。
ま、ラズヴァートの言うことは正しいけどね。
――この要塞にて目にしてきた扉と目の前の扉は違う。
美しいといった感想が真っ先に思い浮かぶつくりだ。
黒塗りの鉄扉には、金銀を利用したエングレービングが施されている。
有翼たちが住まう場所でもあるからか、エングレービングは翼からなる。
金銀の翼が折り重なることで、花や葉を象ったデザイン。
「さあ、行こうか」
馬鹿みたいなやり取りをしていたが、俺の一言で皆、真剣な顔つきに切り替わる。
この先にいる相手との戦闘となれば、苦戦は必至。
ベルとミルモン。シャルナとリンとまだ合流していない状況下で翼幻王との戦いとなるかもしれない。
――……。
「皆が合流するまで待つ?」
「何を言っているのやら! よいしょ!」
そんな事はしなくていいとばかりに、コクリコが黒塗りの鉄扉を押し開いていく。
重々しい鉄扉からは、軋み音も金属特有の劈くような音も一切生じず、ただただ静かに開く。
この奥にいる者の耳障りにならないような工夫がほどこされているのかな?
鉄扉の開閉一つにも気を遣わなければならない存在が、この先にいるということになりそうだな。
「東側の方に翼幻王がいるってことになるんですかね?」
「どうだろうな。歩哨や立哨は並の兵だったからな。大勢に守らせることで、東側に目を向けさせるミスリードとも考えられるし、西側のように精鋭ばかりでかためているのもミスリードを誘っているようにも思える」
「ここの主は掴み所がない性格のようですし」
「裏の裏を行くタイプのようだからな。可能ならば性格を知りたいよな」
「ですよね」
チラリとロマンドさんに拘束されているラズヴァートをゲッコーさんと二人して肩越しに見るも、
「へっ」
笑って舌を出してくるだけだった。
「いい根性だよ。だが余裕を見せたいならもっと表情はやわらいだものにしないとな」
ゲッコーさんから指摘を受ければ、出した舌を引っ込めてからの舌打ち。
迷うことなく俺達が道を進んで行くことに内心では焦っているようだ。
となれば、やはりこっちが本命か。
「お、階段を発見」
今までの壁や床、柱などと同じ白亜なつくりからなる石の階段。
ここでもチラリとラズヴァートを瞥見すれば、苦々しそうな表情に変わっていた。
その表情からして間違いないと確信したいけども、
「まずは上まで行ってみないとな!」
――駆け上がっていく。
白亜の階段は、幅の広い螺旋からなっている。
二階、三階につながる通路は存在せず、ひたすらに上へと向かって続いているだけ。
「要塞の主専用と信じたいな」
翼幻王の住まう部屋までの直通階段であれとロマンドさん。
こういった作りからしてそう信じたくなるよね。
「お、それっぽいのがいるな」
駆け上っていく俺達の前に現れるのは、ストームトルーバー? が、二人。
「ユーリ」
「了解ですドム」
駆けつつユーリさんが俺へとタブレットを手渡すと同時に、宙空からサプレッサーのついたハンドガン一丁を手にする。
実弾の入ったCZ75 SP-01ではなく麻酔銃であるグロック17。
麻酔銃、強者相手に効果の程は……。
と、俺が考えている中でゲッコーさんも同様のモノを手にし、二人同時にスライドを引けば、これまた同時に射撃。
立射ではなく走りながらの射撃であるというのに――、
「大したもんだ。どっちも一発だ」
走射とでも言うべき技法による射撃。
相手が構えるどころか、こちらへと誰何しようと口を開こうとすることも許さないまま頭部に命中。
「一発で素敵な夢の中」
階段の終わり。扉前に立っていたストームトルーバー? の二人は仲良く天井を見て眠りにつく。
――うむストームトルーパーなんだよな。
「お前のご同輩でいいんだよね?」
「ああ。いったい何をしたんだよ? ぐっすりと眠ってる」
麻酔銃によるヘッドショット。
ゲーム内ではボス戦や頭部全体を守っている敵兵以外なら頭に当たれば一発で即、眠りへと誘うことが出来る武器。
この世界でもそういった効果が発動するようだな。
いままでゲッコーさんが麻酔銃を使用してきた相手は、ここの面子に比べると遙かに格下の連中。
強者相手となると効果を発揮するのは難しいのでは? と、内心では思っていたけど、ストームトルーバークラスであってもヘッドショットなら一発で眠りに誘うことができるというのを知ることが出来た。
「ふむん」
「なに助平な顔で見てるんですかね!」
「コクリコ。扉向こうに聞こえるような大声を出さないように」
「トールが変な目で見るからですよ」
「そりゃ見ますよ」
眠る二人のストームトルーバーは女性。
しかもとびきり美人の二人。
背中にはラズヴァートと同じ白い翼があるからフェイレン族だろう。
白い翼のある雪肌の美人。
天からの使いと言われれば信じるよね。
ラズヴァートや他の男達が着ていたのは黒色に金の差し色。
いま目の前で眠っている女性二人は白色に赤の差し色。
色は違うが、服のデザインはまったく一緒。
「男女で服の色が違うってことでいいのか?」
「そうだ」
「なるほど」
しかし、
「胸元がはだけそうですね」
「まったくだな」
「紳士としては隠してあげないといけませんね」
俺、ゲッコーさん、ユーリさんが思ったことを述べれば、
「紳士的な発言のようですが、三人とも声は残念すぎますね。邪な考えしか浮かんでいませんよ」
「ソンナバカナ」
「マッタクダ」
「エエ、ホントウニ」
「トールを筆頭に片言!」
ご立腹のコクリコ。
でも仕方ないじゃないか。
寝ている二人が美しすぎるんだから。
しかもそんな美人の胸元がはだけてるんだもの。
「これから扉を開いて先に行くってのに余裕な事だな」
「女大好きなお前だけど、ストームトルーバー内でボッチみたいだから、この美人さん達にも相手にはされてないんだろうな」
「今そんな話はしてねえよ! 余裕かよ!」
ムキになる辺り、俺の発言は的を射ていたようだな。
ま、ラズヴァートの言うことは正しいけどね。
――この要塞にて目にしてきた扉と目の前の扉は違う。
美しいといった感想が真っ先に思い浮かぶつくりだ。
黒塗りの鉄扉には、金銀を利用したエングレービングが施されている。
有翼たちが住まう場所でもあるからか、エングレービングは翼からなる。
金銀の翼が折り重なることで、花や葉を象ったデザイン。
「さあ、行こうか」
馬鹿みたいなやり取りをしていたが、俺の一言で皆、真剣な顔つきに切り替わる。
この先にいる相手との戦闘となれば、苦戦は必至。
ベルとミルモン。シャルナとリンとまだ合流していない状況下で翼幻王との戦いとなるかもしれない。
――……。
「皆が合流するまで待つ?」
「何を言っているのやら! よいしょ!」
そんな事はしなくていいとばかりに、コクリコが黒塗りの鉄扉を押し開いていく。
重々しい鉄扉からは、軋み音も金属特有の劈くような音も一切生じず、ただただ静かに開く。
この奥にいる者の耳障りにならないような工夫がほどこされているのかな?
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