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天空要塞
PHASE-1563【今度は箱形】
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「魔道具の類いですね?」
「名をトヨウケビメと言う。妾のお気に入りの一つ」
名前は教えてくれても、どういった効果があるのかは教えてくれない。
使用法からして、使用者の補助をするってところだろうけど。
動かない右腕の代わりとなればやっかいではある。
――とはいえ今更だ。
補助である魔道具に頼らないといけないくらいに、こちらは相手を追い込んでいる。
かなり弱体化している証拠だ。
ベルの浄化の炎による刺突は、えげつないくらいに相手の継戦能力を奪ってくれているね。
「さて、次はどういった攻撃を見せてくれるのかしら?」
弱体化しようとも余裕な態度と曇らない表情は流石としか言い様がないけど。
だがやはり、
「!? あっぶないわね!」
察知する判断力が鈍くなっている。
背後から忍び寄るユーリさんに気づくのが遅い。
ユーリさんの気配を殺しながらの接近が卓抜だとしても、ああも簡単に背後からの接近を許してしまうとはね。
勇者の仲間が陰湿なことで。と、毒を吐きつつも、小太刀による一振りをトヨウケビメと呼称した羽衣で受ける。
斬れることなく刃を受け止めれば、小太刀に絡みつく。
「ん!?」
即座に得物を手から離してバックステップ――しながら手にしたハンドガンを数発発射し、ベスティリスの追撃を牽制。
「この!」
ユーリさんを掩護するため俺も距離を詰め、ブレイズを刀身に纏った残火で斬撃。
これまた羽衣が主を守る。
オート機能とばかりに勝手に受け止めてくるね。
射撃は見えざる障壁。斬撃は羽衣。
新たなる防御手段だな。
そして、
「やりづらいですね」
「そうだね」
ユーリさんと合流して言葉を交わす。
「どの辺りが?」
ゲッコーさんからの質問に、二人して同様の説明をする。
羽衣自体には手応えがないのに、受け止めてくるから不思議な感覚に陥ってしまうと。
ユーリさん曰く、ドムの動きに似ているとのこと。
ドム――ゲッコーさんの水のような動きと類似。
つまりは掴み所がなく非常に捉えづらいということ。
そして耐久力も凄い。
俺の残火の火力では、羽衣は燃えないし斬れない。
ここはやはりベル。
――なのだが、追撃に動いてくれていない。
見れば、わずかだが肩で息をしている。
十全じゃないからな。
ベスティリスに対し、この戦いの間は問題なく炎を展開できるとは言っていたが、連続となれば流石にしんどいよな。
スカイフィッシュの時だって連続使用で辛そうだったし。
ベルにばかり頼れない。
やっかいな魔道具を使い始めてきたけども、反面、今まで使用しなかった物に頼らないといけないくらいには追い込んでいるのも事実。
「意地でもここで決めないとな!」
二振りの柄を強く握りつつ、
「当然ですとも」
俺の気持ちに続いてくれるのはコクリコ。
ここまで傍観していた事で溜まっていた鬱憤を晴らすとばかりに、
「ポップフレア」
――とは名ばかりの巨大な火球。
バーストフレアを思わせる火球がアドンとサムソンからも放たれ、三方から翼包囲の如くベスティリスへと向かう。
「この状態の妾に対し、なんと非情な攻撃。フロックエフェクト」
魔法の二重展開のやつだな。
「エアリアルリージョン」
と、継ぎ、初耳の魔法を発動。
でも既視感。
エアリアルスライスのような格子状の魔法が宙空に顕現。
違いは大きな箱形ということ。
箱の中に入るのは術者であるベスティリス。
格子状の箱形ってのもあって、牢屋を思わせる。
三つの火球がぶつかれば大きな爆発と衝撃。
こちらの体の芯にまで伝わってくる振動。
連鎖爆発する中で、破裂した火球が飛び散り闘技場の白い床へと降り注げば、触れた部分が赤熱。
コクリコの魔法の中で、ここまで火力の高いのも初めて見る。
練りに練って新たなる装身具も使用したからこその高火力。
なのだが――、
「手負いであろうともこの差」
口惜しそうなコクリコ。
「並のヤツなら今ので蒸発してもおかしくない火力だったんだけどな」
「並じゃないですからね。悔しいものです。これだけの力を使用しても相手には届かないのですから」
「それは俺も一緒だ。まだまだ俺達は発展途上。それだけ伸びしろもある!」
「そうですね!」
「語り合うのはいいが、どうするのだ?」
「どうしようかベル」
こうやって語り合っている時点で、俺とコクリコには打つ手無しってことなんすよ……。
疲れが見えるベルに頼るのはよろしくないが、それでも決定打となる火力となれば、この中だとベルしかいないのも事実。
俺の思いを汲み取ってくれたのか、ベルは浄化の炎をレイピアへと纏わせて、
「はっ!」
小気味よく振れば、火球となって放たれる浄化の炎。
無理をさせて申し訳ない……。
「ほう」
次には感心の息をベルが漏らす。
「今回のは魔法剣の時よりも強度があるみたいだな」
「そのようだ」
炎を受けるも問題なし――ではないが形は残る。
浄化の炎が触れた部分に穴は空いたが、その部分を直ぐさま補うように周囲が修復。
「一箇所が壊れれば、直ぐに補填する術式みたいだ」
「しかもご丁寧に二重による防御ときたもんだ」
と、ゲッコーさん。
ユーリさんは「意味は無いだろう」と言いつつも、宙空からRPG-7を取り出し、背後確認の後――発射。
「効果なし。流石はファンタジー世界だ」
と、感想を述べる。
コクリコの練りに練ったポップフレアだけでなく、ベルの炎が決定打にならない時点で、目の前のアレの破壊、突破難易度は極端に高い……。
ここにきて引き籠もりですか……。翼幻王殿……。
「名をトヨウケビメと言う。妾のお気に入りの一つ」
名前は教えてくれても、どういった効果があるのかは教えてくれない。
使用法からして、使用者の補助をするってところだろうけど。
動かない右腕の代わりとなればやっかいではある。
――とはいえ今更だ。
補助である魔道具に頼らないといけないくらいに、こちらは相手を追い込んでいる。
かなり弱体化している証拠だ。
ベルの浄化の炎による刺突は、えげつないくらいに相手の継戦能力を奪ってくれているね。
「さて、次はどういった攻撃を見せてくれるのかしら?」
弱体化しようとも余裕な態度と曇らない表情は流石としか言い様がないけど。
だがやはり、
「!? あっぶないわね!」
察知する判断力が鈍くなっている。
背後から忍び寄るユーリさんに気づくのが遅い。
ユーリさんの気配を殺しながらの接近が卓抜だとしても、ああも簡単に背後からの接近を許してしまうとはね。
勇者の仲間が陰湿なことで。と、毒を吐きつつも、小太刀による一振りをトヨウケビメと呼称した羽衣で受ける。
斬れることなく刃を受け止めれば、小太刀に絡みつく。
「ん!?」
即座に得物を手から離してバックステップ――しながら手にしたハンドガンを数発発射し、ベスティリスの追撃を牽制。
「この!」
ユーリさんを掩護するため俺も距離を詰め、ブレイズを刀身に纏った残火で斬撃。
これまた羽衣が主を守る。
オート機能とばかりに勝手に受け止めてくるね。
射撃は見えざる障壁。斬撃は羽衣。
新たなる防御手段だな。
そして、
「やりづらいですね」
「そうだね」
ユーリさんと合流して言葉を交わす。
「どの辺りが?」
ゲッコーさんからの質問に、二人して同様の説明をする。
羽衣自体には手応えがないのに、受け止めてくるから不思議な感覚に陥ってしまうと。
ユーリさん曰く、ドムの動きに似ているとのこと。
ドム――ゲッコーさんの水のような動きと類似。
つまりは掴み所がなく非常に捉えづらいということ。
そして耐久力も凄い。
俺の残火の火力では、羽衣は燃えないし斬れない。
ここはやはりベル。
――なのだが、追撃に動いてくれていない。
見れば、わずかだが肩で息をしている。
十全じゃないからな。
ベスティリスに対し、この戦いの間は問題なく炎を展開できるとは言っていたが、連続となれば流石にしんどいよな。
スカイフィッシュの時だって連続使用で辛そうだったし。
ベルにばかり頼れない。
やっかいな魔道具を使い始めてきたけども、反面、今まで使用しなかった物に頼らないといけないくらいには追い込んでいるのも事実。
「意地でもここで決めないとな!」
二振りの柄を強く握りつつ、
「当然ですとも」
俺の気持ちに続いてくれるのはコクリコ。
ここまで傍観していた事で溜まっていた鬱憤を晴らすとばかりに、
「ポップフレア」
――とは名ばかりの巨大な火球。
バーストフレアを思わせる火球がアドンとサムソンからも放たれ、三方から翼包囲の如くベスティリスへと向かう。
「この状態の妾に対し、なんと非情な攻撃。フロックエフェクト」
魔法の二重展開のやつだな。
「エアリアルリージョン」
と、継ぎ、初耳の魔法を発動。
でも既視感。
エアリアルスライスのような格子状の魔法が宙空に顕現。
違いは大きな箱形ということ。
箱の中に入るのは術者であるベスティリス。
格子状の箱形ってのもあって、牢屋を思わせる。
三つの火球がぶつかれば大きな爆発と衝撃。
こちらの体の芯にまで伝わってくる振動。
連鎖爆発する中で、破裂した火球が飛び散り闘技場の白い床へと降り注げば、触れた部分が赤熱。
コクリコの魔法の中で、ここまで火力の高いのも初めて見る。
練りに練って新たなる装身具も使用したからこその高火力。
なのだが――、
「手負いであろうともこの差」
口惜しそうなコクリコ。
「並のヤツなら今ので蒸発してもおかしくない火力だったんだけどな」
「並じゃないですからね。悔しいものです。これだけの力を使用しても相手には届かないのですから」
「それは俺も一緒だ。まだまだ俺達は発展途上。それだけ伸びしろもある!」
「そうですね!」
「語り合うのはいいが、どうするのだ?」
「どうしようかベル」
こうやって語り合っている時点で、俺とコクリコには打つ手無しってことなんすよ……。
疲れが見えるベルに頼るのはよろしくないが、それでも決定打となる火力となれば、この中だとベルしかいないのも事実。
俺の思いを汲み取ってくれたのか、ベルは浄化の炎をレイピアへと纏わせて、
「はっ!」
小気味よく振れば、火球となって放たれる浄化の炎。
無理をさせて申し訳ない……。
「ほう」
次には感心の息をベルが漏らす。
「今回のは魔法剣の時よりも強度があるみたいだな」
「そのようだ」
炎を受けるも問題なし――ではないが形は残る。
浄化の炎が触れた部分に穴は空いたが、その部分を直ぐさま補うように周囲が修復。
「一箇所が壊れれば、直ぐに補填する術式みたいだ」
「しかもご丁寧に二重による防御ときたもんだ」
と、ゲッコーさん。
ユーリさんは「意味は無いだろう」と言いつつも、宙空からRPG-7を取り出し、背後確認の後――発射。
「効果なし。流石はファンタジー世界だ」
と、感想を述べる。
コクリコの練りに練ったポップフレアだけでなく、ベルの炎が決定打にならない時点で、目の前のアレの破壊、突破難易度は極端に高い……。
ここにきて引き籠もりですか……。翼幻王殿……。
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