異世界冒険記『ストレージ・ドミニオン』

FOX4

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驕った創造主

PHASE-1606【一癖あるパーティー】

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 分からないなら、その部分を理解するためにも――、

「ロイル領に行かないとね」

「では行こうか」

「おうよ」
 いつも以上に気合いの入っている最強さん。
 ゴロ太を目当てとしている者達が俺達に敵対しようものなら、悉くがベルによってしばき倒されることになるだろうな。
 
 しかし、南伐の前となれば、やはり休息を与えてあげたいという思いもある。

「我が新たなる力を見せてやりましょう!」
 息巻くコクリコだけども、

「今回、コクリコとシャルナ。ゲッコーさんは休みで。あとリンも」

「なんですとぉぉぉぉぉぉぉおぅぅうおぃぃぃぃぃぃいっ!」
 スゲえ気迫……。
 血走った目での咆哮は、魔王でも逃げ出しそうだな……。
 美少女が台無し……。
 せっかくベスティリスに賜った羽衣を使用する機会があるかもしれないというのに、それを実行できないのは納得がいかない! と、コクリコが俺に食い下がってくる。

「ゴロ太を救いたい気持ちは、皆、同じなんですからね!」

「それは分かってるよ。でも、天空要塞からの連戦となれば体力はともかく、精神面がしんどいからな。南伐のためにも英気を養ってほしい」

「そんなの関係ないよ!」
 シャルナも食い下がってくる。
 正直、戦闘となれば火力がかなり高くなったコクリコの魔法も必要だし、ハイスペックでバランスが取れているシャルナの存在も必要。
 何よりヒーラーとしては最高クラスだからな。
 リンも同様だ。
 でも、だからこそ。

「南では瘴気の浄化が始まっている。当然、蹂躙王ベヘモトサイドもそれには気づいている。となれば?」

「――となれば、我々の圧倒的な力がトールハンマーで必要になる可能性もある」

「その通りだコクリコ」
 可能ならば高順氏に加えてゲッコーさん。コクリコ、シャルナ、リンにはトールハンマーで待機しておいてほしい旨を伝える。
 大軍勢が攻めてきても、この面子が高順氏と一緒になって先頭に立ってくれれば、それだけで率いられる兵達の志気が高まり、それがそのまま強さに直結する。
 可能ならば動かせるS級さん達も南に拠点を移してもらいたい。

「でもさ。トールとベルの二人だけで行動とか大丈夫なのかな?」
 何を心配する必要があるのかな? シャルナよ。

「大丈夫だよ。なにかあっても対応できる」

「いや、そうじゃないんだけど」
 ――? なんなの? 薄色の金糸の如き髪を指でクルクルといじってますけども。

「問題はないシャルナ殿。このジージー・シックヒッカ! トール殿の射手としてシャルナ殿に恥じぬ働きをしますので!」

「いや……まあ、うん。二人っきりじゃないのならいいのかな~」

「なんだよそれ。そもそも二人だけで行動じゃないぞ。ミルモンもいれば、ジージーが言うように頼らせてもらう。ベスティリスとも約束しているからな。ワックさんも参加するからね。でもって――」
 良いタイミングでの入室だな。

「俺もか?」

「そうだよガリオン」

「俺は東側に挨拶へ行くために、お前等の乗り物を足として利用したいだけなんだがな」

「タダで移動できるとは思わないことだな。なにかあった時には頼らせてもらうから。その鍛え抜かれた技と体に」

「俺は外交担当だと言っているだろう」

「外交担当が戦闘用の筋肉維持をするわけないだろう。明らかに常在戦場ってのが伝わってくるんだよ」

「従者をつれずに行動しているからな。なにかあった時に一人で対応できるくらいには鍛えてんだよ」

「じゃあ更に強くなったであろう鋼鬼の力に期待しよう。頼むぞ、期待を裏切らないでくれよ。お前のオーラアーマーの最上位互換を経験しているからね。ちょっと強くなっただけじゃ俺の度肝は抜けないからな」

「――ほお」
 ご自慢のオーラアーマーに触れてやれば、右目の目つきが変わる。
 これは頼りになりそうだ。

「ガリオン殿と言ったか。共にトール殿の為に励もう!」

「励むかよこのデカ頭。俺は俺のやりたいようにやるだけだ」
 語末の発言が完全に仲間になるタイプの言い様なんだよね。
 ガリオン――デミタスみたいな言い方をするヤツだ。

「休息を堪能しつつ、王都とトールハンマーの方を頼みます」

「任された」
 代表してゲッコーさん。
 コクリコとシャルナはまだ納得がいっていないようだけども、やはり南伐の開始前に相手が出て来る可能性もあるからか、そちらにも重きを置かなければならないというのは理解しているようで、しぶしぶだけど首肯で返してくれる。
 
 リンに至っては、ようやくゆっく出来るとばかりに、ソファで背中を伸ばしてリラックス状態。
 しぶしぶな二人もこのくらい余裕があればいいんだけどな。
 
 俺とベル、ミルモンが休息を取れない分、メインメンバーの四人には休息を堪能してもらおう。
 下手したら俺たち以上に過酷なことになるかもしれないけど……。

 ――再び修練場。

 流石というべきか、厩舎の修繕がほぼ終了している。
 人一人で運ぶのが無理なサイズは、キュクロプス三兄弟が簡単に運んでくれるし、そのまま手先の器用さを活かして修繕作業にも携わってくれる。
 ギムロンやパロンズ氏も参加。
 ギルドの中でもトップにいる職人達が参加してくれているんだ。そりゃ直ぐ終わるよな。
 
 ワックさんの話だと、自分が留守にする間は、正にいま目の前で修繕に励んでくれている面々が、ワックさんが責任者となっている作業場の責任者代理を務めてくれるそうだ。
 安心して任せられるね。

「じゃあ、ツッカーヴァッテ。帰還して直ぐで申し訳ないけど、また移動を頼むよ」

「キュュュュュン」
 問題なしとばかりに短い翅を羽ばたかせてやる気を見せてくれる。
 で、いつもみたいに翅の外側を地面へとつけてタラップ代わりにしてくれるので、その厚意にて背中へと乗ったところで、

「公爵様!」
 修練場へと馬で駆けてくるのは――ハダン伯。
 後方には四騎の護衛。
 先生に刺々しく言われたからか、少ない護衛になっていた。
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