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驕った創造主
PHASE-1626【かさむ……】
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「では、お願いしたく。お礼はしますので」
言われれば、今までで一番大きい生唾を飲む音がエマエスから聞こえてくる。
より密着したからね。
谷間を強調するように見せつけてのお酌。
婀娜っぽくお礼と言われれば、どうしてもエロいことだと考えているようで、酒と妄想で顔が朱の盆のように真っ赤っかになっている。
――……羨ましい……。
今まではゴロ太たちのような人間ではない愛らしい者達に対して嫉妬をしていたが、ベルの色仕掛けを同じ人間で見せられれば、俺の嫉妬は大爆発しそうである。
「オルト」
「なんだおっ!」
「急に大声を出すなみっともない」
「ぬぅ……。なんだい?」
「礼の準備を頼む。案内役をしてもらうのだからな。それ相応の金銭が発生するものだ」
「あ、ああ。そうだな」
金銭と耳にすれば、エマエスの顔が残念なものになったのがはっきりと見て取れた。
想像していたお礼とは違ったようだな。
しな垂れた体で交渉されたら、そのけしからん体でのお礼だと誰もが思うよな。
ならばエマエスには、残念でありながらも期待を裏切らない額を提示しよう。
何よりもベルの婀娜っぽい姿を他人とのやり取りで見続けるのは我慢ならない。
その立ち位置を俺と入れ替わってほしい!
「では――これで案内役をお願いします」
巾着袋から出すのは円形金貨――五枚。
大奮発で五枚!
それをベルへと手渡せば、エマエスの前にスッと差し出す。
「……ええっ!? こんなに!」
「これは前払いです。案内の報酬として残り半分は後でお渡しします」
ええっ!? ――……これを声に出さなかった俺は偉いよ……。
「あなた方は一体……」
「た、ただの冒険者ですよ……」
スティミュラントの大瓶と、ベルのための装備。
これに案内料で円形金貨を前払いと後払いで計十枚。
合計で十五枚……か……。
日本円で百五十万円くらいを使用するわけか……。
車が買えるじゃない……。
あまりにも高額すぎて震えるぜ……。
実際エマエスの質問に声が震えたけども……。
これ経費で落とすこと出来ないかな……。
先生や爺様に頼めばなんとかなるかな……。
「で、この話に乗るのか乗らないのかどっちだ?」
「ガリオン。凄まない」
お宅に至近で問われれば、並のヤツならちびっちまうよ。
「ただ案内するだけでいいんですよね?」
「ええ、それ以外はないです」
なのにこれだけの報酬は明らかに怪しいとも思うよね。
「今後のことも考えての先行投資だと思っていただければ」
クルーグ商会との繋がりを持っておきたい。
だからそれを貴男にお願いしたいと考えております。と、エマエスへと伝える隣では、
「今後ともよしなに」
と、ベルがまたも体をしな垂れさせる。
「分かりました!」
上機嫌ですわ。
やっぱり最後は色仕掛けですわ……。
「エマエスは休みなく領内を二週間ほど行き来してきたんだ。二、三日は休みを貰えてんだろう?」
「今回は四日間の休みをもらいました」
「だったら明日にでも案内してやればいいんじゃねえか。そんなに貰えるなら休み返上でもいいくらいだろう。それだけありゃ豪遊できるぞ。俺っち羨ましいな」
「ですね!」
レギラスロウ氏の言い様にエマエスは上機嫌。
上手い具合に持ち上げてくれたな。レギラスロウ氏。
ヒゲに囲まれた口端を得意げに上げて俺を見てくる。
感謝である。
――しばらく楽しんでからお開き。
エマエスとは明日の朝、ここで合流ということになった。
「ミルモン」
「なんだい?」
「俺は用心深い男なんだ」
「任せておきなよ♪」
内容を伝えなくても問題ないとばかりにミルモンはサムズアップ。
「ハダン伯の邸宅までの道は分かるかな?」
「大通りから続く道だから問題ないよ。なにかあれば直ぐにでも邸宅に戻るさ。何も起こらないなら明日ここで」
そう言って俺の左肩から離れれば、
「では自分はこれで」
「明日の事も考えて梯子酒なんてせずに真っ直ぐに帰ることだ。こっちは前払いで大金を出しているからな。合流時間に間に合わないってことだけはやめてくれよな」
「は、はい!」
ガリオンの迫力あるお願いに上擦った声で返すエマエスは、素直に自分の家へと戻ると約束して俺達と別れる。
これに合わせてミルモンが羽をパタパタと動かしてエマエスの後をこっそりと追ってくれる。
もしエマエスが俺達の期待を裏切るようなら直ぐさまミルモンが俺達へと報告に戻ってくるという流れ。
そういった流れにならないよう、エマエスには期待したい。
「心配いらねえよ。あいつは真面目に仕事をする男だからな。俺っちもクルーグ商会は好きか嫌いかの二択なら後者を選ぶが、あいつには好感を持ってる。それくらい性格が良い」
「レギラスロウ氏の審美眼は確かですからね。信じますよ」
武具だけでなく、言葉の端々から推測する力も持ち合わせているからな。
「さて、どうするよ。エマエスには梯子酒はするなと言ったが、俺っち達は二件目と行くかい? 情報を手に入れるためにも他にも行ってみないとな」
予定としては場末の酒場まで行ってみようとは思っていたけど、エマエスに出会えたことでその辺はスキップしてもいい。
が、事がうまく進んだのはレギラスロウ氏あってのこと。
なので提案を受け入れて、お礼のための梯子酒といこう。
まあ、ハマードでの支払いは全部、俺がしたんだけどね……。
今回、出費がスゲえよ……。
言われれば、今までで一番大きい生唾を飲む音がエマエスから聞こえてくる。
より密着したからね。
谷間を強調するように見せつけてのお酌。
婀娜っぽくお礼と言われれば、どうしてもエロいことだと考えているようで、酒と妄想で顔が朱の盆のように真っ赤っかになっている。
――……羨ましい……。
今まではゴロ太たちのような人間ではない愛らしい者達に対して嫉妬をしていたが、ベルの色仕掛けを同じ人間で見せられれば、俺の嫉妬は大爆発しそうである。
「オルト」
「なんだおっ!」
「急に大声を出すなみっともない」
「ぬぅ……。なんだい?」
「礼の準備を頼む。案内役をしてもらうのだからな。それ相応の金銭が発生するものだ」
「あ、ああ。そうだな」
金銭と耳にすれば、エマエスの顔が残念なものになったのがはっきりと見て取れた。
想像していたお礼とは違ったようだな。
しな垂れた体で交渉されたら、そのけしからん体でのお礼だと誰もが思うよな。
ならばエマエスには、残念でありながらも期待を裏切らない額を提示しよう。
何よりもベルの婀娜っぽい姿を他人とのやり取りで見続けるのは我慢ならない。
その立ち位置を俺と入れ替わってほしい!
「では――これで案内役をお願いします」
巾着袋から出すのは円形金貨――五枚。
大奮発で五枚!
それをベルへと手渡せば、エマエスの前にスッと差し出す。
「……ええっ!? こんなに!」
「これは前払いです。案内の報酬として残り半分は後でお渡しします」
ええっ!? ――……これを声に出さなかった俺は偉いよ……。
「あなた方は一体……」
「た、ただの冒険者ですよ……」
スティミュラントの大瓶と、ベルのための装備。
これに案内料で円形金貨を前払いと後払いで計十枚。
合計で十五枚……か……。
日本円で百五十万円くらいを使用するわけか……。
車が買えるじゃない……。
あまりにも高額すぎて震えるぜ……。
実際エマエスの質問に声が震えたけども……。
これ経費で落とすこと出来ないかな……。
先生や爺様に頼めばなんとかなるかな……。
「で、この話に乗るのか乗らないのかどっちだ?」
「ガリオン。凄まない」
お宅に至近で問われれば、並のヤツならちびっちまうよ。
「ただ案内するだけでいいんですよね?」
「ええ、それ以外はないです」
なのにこれだけの報酬は明らかに怪しいとも思うよね。
「今後のことも考えての先行投資だと思っていただければ」
クルーグ商会との繋がりを持っておきたい。
だからそれを貴男にお願いしたいと考えております。と、エマエスへと伝える隣では、
「今後ともよしなに」
と、ベルがまたも体をしな垂れさせる。
「分かりました!」
上機嫌ですわ。
やっぱり最後は色仕掛けですわ……。
「エマエスは休みなく領内を二週間ほど行き来してきたんだ。二、三日は休みを貰えてんだろう?」
「今回は四日間の休みをもらいました」
「だったら明日にでも案内してやればいいんじゃねえか。そんなに貰えるなら休み返上でもいいくらいだろう。それだけありゃ豪遊できるぞ。俺っち羨ましいな」
「ですね!」
レギラスロウ氏の言い様にエマエスは上機嫌。
上手い具合に持ち上げてくれたな。レギラスロウ氏。
ヒゲに囲まれた口端を得意げに上げて俺を見てくる。
感謝である。
――しばらく楽しんでからお開き。
エマエスとは明日の朝、ここで合流ということになった。
「ミルモン」
「なんだい?」
「俺は用心深い男なんだ」
「任せておきなよ♪」
内容を伝えなくても問題ないとばかりにミルモンはサムズアップ。
「ハダン伯の邸宅までの道は分かるかな?」
「大通りから続く道だから問題ないよ。なにかあれば直ぐにでも邸宅に戻るさ。何も起こらないなら明日ここで」
そう言って俺の左肩から離れれば、
「では自分はこれで」
「明日の事も考えて梯子酒なんてせずに真っ直ぐに帰ることだ。こっちは前払いで大金を出しているからな。合流時間に間に合わないってことだけはやめてくれよな」
「は、はい!」
ガリオンの迫力あるお願いに上擦った声で返すエマエスは、素直に自分の家へと戻ると約束して俺達と別れる。
これに合わせてミルモンが羽をパタパタと動かしてエマエスの後をこっそりと追ってくれる。
もしエマエスが俺達の期待を裏切るようなら直ぐさまミルモンが俺達へと報告に戻ってくるという流れ。
そういった流れにならないよう、エマエスには期待したい。
「心配いらねえよ。あいつは真面目に仕事をする男だからな。俺っちもクルーグ商会は好きか嫌いかの二択なら後者を選ぶが、あいつには好感を持ってる。それくらい性格が良い」
「レギラスロウ氏の審美眼は確かですからね。信じますよ」
武具だけでなく、言葉の端々から推測する力も持ち合わせているからな。
「さて、どうするよ。エマエスには梯子酒はするなと言ったが、俺っち達は二件目と行くかい? 情報を手に入れるためにも他にも行ってみないとな」
予定としては場末の酒場まで行ってみようとは思っていたけど、エマエスに出会えたことでその辺はスキップしてもいい。
が、事がうまく進んだのはレギラスロウ氏あってのこと。
なので提案を受け入れて、お礼のための梯子酒といこう。
まあ、ハマードでの支払いは全部、俺がしたんだけどね……。
今回、出費がスゲえよ……。
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