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驕った創造主
PHASE-1641【相部屋でチュウチュウ】
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「さっさと部屋割りを決めようぜ。懐の具合だってある。二人一部屋ってのはいいけど、可能なら予算をもっと絞りたいとも思っている!」
語末に保険を入れる。
ガリオンに誘導してもらい、俺とベルが相部屋に――!
――…………。
――……。
「おお! 最上階ともなれば、製造所の高い防御壁と同じ目線になりますな! 目をこらせば立哨も見えます」
「ああ、うん……」
四階建ての宿屋。
最上階である四階のバルコニーから見える風景は、目的である製造所の防御壁の壁上まで見る事ができる。
ビジョンを使用すれば、立哨が鼻をほじっているところだって見えるってもんだ……。
――……ジージーの言うとおりよく見える……。
――……うん……ジージー……。
――……なんでジージー!
相部屋はジージー!
聖杯よ! こんなの俺が叶えたい願望じゃない!
チキショウ……。あの受付の女性――良い仕事をしやがる……。
俺、ベル、ワックさん、ガリオン、ジージー。
これにゲストであるルーフェンスさんとエマエス。
この七人となれば二人一部屋だと一人あまるのは想定していた。
本来のジェントル遠坂ならば、余った一部屋を女性の為の個室にしても良いと考えるけども、ベルと相部屋になりたいという強い情念はジェントルをビーストにする。
だからこそ三人一部屋を俺サイドのガリオンに提案してもらい、部屋数を減らして節約しようという体での人数あわせを画策していたのに……。
無念……。そうはならじ……。
「フロントの人、ちゃんとミルモンをカウントしてくるんだもんな~……」
小人種ですがお一人はお一人。って、ちゃんとカウントしてくるんだもの……。
結果、ベルはミルモンと相部屋……。
「あの目敏い受付さん、将来まちがいなく出世するね」
「おお、トール殿にそう言われるならば間違いないでしょうな!」
「あ、うん……」
ようやく開放されたとばかりに人が装備するグレートヘルムの二倍ほどの大きさがあるソレを外し、素顔まる出しのジージーが語ってくるという室内。
トラウマは克服したが、完全と言われればそうではない。
なのに二人っきりとか……。
辛いものがあります……。
部屋割りの結果は――俺、ジージー。
ベル、ミルモン。
ガリオン、ワックさん。
ルーフェンスさん、エマエス。
まあなんだろうか……。当然と言えば当然の部屋割りだよな……。
これで良かったんだと言い聞かせよう。
むしろベルと相部屋になれば、間違いなく下手こいて好感度を下げるだけだからな。
――……うん……。切り替えていこう。
「いや~常在戦闘を心がけておりますが、やはり装備から解放される一時というのは有り難いですな!」
「あ、そうだね」
「さあトール殿も! この町で最高位の宿屋と言うだけあって、用意されている飲み物は良いものです」
手渡してくれるのはエード。
有り難くはあるが……、手渡してくれながらレイピアを思わせる口吻で、グラスに注がれたエードをチュウチュウしないでいただきたい……。
頭の両脇にある複眼で、俺を凝視しながらチュウチュウしないでいただきたい……。
怖かとです……。
「明日はどういった行動で?」
「あ、ああ。そうだな~。エマエスと一緒にまずは製造所に行ってみる」
企業スパイ的なのが原因で警戒が強まっているから大人数で行けば、いらぬ刺激を与えるかもしれないので、パーティーを代表して俺だけで行くと伝える。
「一人ですと不測の事態の時、何かと面倒となるでしょう。自分も供をしますが」
「いや、警戒が強まっているとなれば、こちらの顔を覚えられるのも困るからね」
もし事が起こった場合、目立つ者がいれば記憶される。
ジージーは大きなグレートヘルムが特徴。
ガリオンは強面で直ぐに相手にメンチをきる。
ベルは綺麗すぎて誰でも覚えてしまう。
ワックさんはいいとしても非戦闘員だからな。
ここは皆と比べて特徴がない俺だけで動くと説明。
自分で説明してて悲しくなってくるけども……。
「ですがトール殿の装備は目立ちますよ」
「そこは地味な恰好でいかせてもらうさ。その時は装備の見張りを頼むよ」
「お任せいただきたい!」
やる気に充ち満ちているのはいいけど、セミフェイスの急接近はやめていただきたい……。
死んだ時の記憶がフラッシュバックするから……。
――。
一夜を過ごして通路にて皆と合流。
「ミルモン」
「なんだい?」
「相部屋は過ごしやすかったか?」
「うん。いつもと違って姉ちゃんがピリついていたけどね……」
「そうか……」
ミルモンと相部屋であってもテンションが上がるってのはないか。
堪えてはくれても、焦燥はどうしても隠しきれないようだな。
ゴロ太がどういった状況にあるか分からない以上、ベルの心中は穏やかではない。
――一階へと移動し、ラウンジにて朝食をとる。
部屋でもいいけども、皆して話しをしたいからここが選ばれた。
「――とまあジージーとは昨晩、話しをしたんだけど、どうだろうか? 忌憚のない意見をお願いする」
「いいのではないか。私は問題ない」
ベルがそう肯定すれば、他の面子も肯定してくれる。
ガリオンだけ強面で記憶されるって部分が引っかかったようだけども、直ぐさま俺を見て「まあ、平凡な方がいいよな」と、小馬鹿にしてくる。
「平凡だからこそ出来る事もあるってもんだ」
余裕を見せて返しつつ、
「エマエスさん、案内をお願いしますね」
「分かりました」
高額の報酬だけでなく、普段なら泊まることも出来ない豪華な宿屋の代金まで出して貰っているので、気合いを入れて案内しますと言ってくれる。
ならば代金分、遠慮無く頼らせていただこう。
語末に保険を入れる。
ガリオンに誘導してもらい、俺とベルが相部屋に――!
――…………。
――……。
「おお! 最上階ともなれば、製造所の高い防御壁と同じ目線になりますな! 目をこらせば立哨も見えます」
「ああ、うん……」
四階建ての宿屋。
最上階である四階のバルコニーから見える風景は、目的である製造所の防御壁の壁上まで見る事ができる。
ビジョンを使用すれば、立哨が鼻をほじっているところだって見えるってもんだ……。
――……ジージーの言うとおりよく見える……。
――……うん……ジージー……。
――……なんでジージー!
相部屋はジージー!
聖杯よ! こんなの俺が叶えたい願望じゃない!
チキショウ……。あの受付の女性――良い仕事をしやがる……。
俺、ベル、ワックさん、ガリオン、ジージー。
これにゲストであるルーフェンスさんとエマエス。
この七人となれば二人一部屋だと一人あまるのは想定していた。
本来のジェントル遠坂ならば、余った一部屋を女性の為の個室にしても良いと考えるけども、ベルと相部屋になりたいという強い情念はジェントルをビーストにする。
だからこそ三人一部屋を俺サイドのガリオンに提案してもらい、部屋数を減らして節約しようという体での人数あわせを画策していたのに……。
無念……。そうはならじ……。
「フロントの人、ちゃんとミルモンをカウントしてくるんだもんな~……」
小人種ですがお一人はお一人。って、ちゃんとカウントしてくるんだもの……。
結果、ベルはミルモンと相部屋……。
「あの目敏い受付さん、将来まちがいなく出世するね」
「おお、トール殿にそう言われるならば間違いないでしょうな!」
「あ、うん……」
ようやく開放されたとばかりに人が装備するグレートヘルムの二倍ほどの大きさがあるソレを外し、素顔まる出しのジージーが語ってくるという室内。
トラウマは克服したが、完全と言われればそうではない。
なのに二人っきりとか……。
辛いものがあります……。
部屋割りの結果は――俺、ジージー。
ベル、ミルモン。
ガリオン、ワックさん。
ルーフェンスさん、エマエス。
まあなんだろうか……。当然と言えば当然の部屋割りだよな……。
これで良かったんだと言い聞かせよう。
むしろベルと相部屋になれば、間違いなく下手こいて好感度を下げるだけだからな。
――……うん……。切り替えていこう。
「いや~常在戦闘を心がけておりますが、やはり装備から解放される一時というのは有り難いですな!」
「あ、そうだね」
「さあトール殿も! この町で最高位の宿屋と言うだけあって、用意されている飲み物は良いものです」
手渡してくれるのはエード。
有り難くはあるが……、手渡してくれながらレイピアを思わせる口吻で、グラスに注がれたエードをチュウチュウしないでいただきたい……。
頭の両脇にある複眼で、俺を凝視しながらチュウチュウしないでいただきたい……。
怖かとです……。
「明日はどういった行動で?」
「あ、ああ。そうだな~。エマエスと一緒にまずは製造所に行ってみる」
企業スパイ的なのが原因で警戒が強まっているから大人数で行けば、いらぬ刺激を与えるかもしれないので、パーティーを代表して俺だけで行くと伝える。
「一人ですと不測の事態の時、何かと面倒となるでしょう。自分も供をしますが」
「いや、警戒が強まっているとなれば、こちらの顔を覚えられるのも困るからね」
もし事が起こった場合、目立つ者がいれば記憶される。
ジージーは大きなグレートヘルムが特徴。
ガリオンは強面で直ぐに相手にメンチをきる。
ベルは綺麗すぎて誰でも覚えてしまう。
ワックさんはいいとしても非戦闘員だからな。
ここは皆と比べて特徴がない俺だけで動くと説明。
自分で説明してて悲しくなってくるけども……。
「ですがトール殿の装備は目立ちますよ」
「そこは地味な恰好でいかせてもらうさ。その時は装備の見張りを頼むよ」
「お任せいただきたい!」
やる気に充ち満ちているのはいいけど、セミフェイスの急接近はやめていただきたい……。
死んだ時の記憶がフラッシュバックするから……。
――。
一夜を過ごして通路にて皆と合流。
「ミルモン」
「なんだい?」
「相部屋は過ごしやすかったか?」
「うん。いつもと違って姉ちゃんがピリついていたけどね……」
「そうか……」
ミルモンと相部屋であってもテンションが上がるってのはないか。
堪えてはくれても、焦燥はどうしても隠しきれないようだな。
ゴロ太がどういった状況にあるか分からない以上、ベルの心中は穏やかではない。
――一階へと移動し、ラウンジにて朝食をとる。
部屋でもいいけども、皆して話しをしたいからここが選ばれた。
「――とまあジージーとは昨晩、話しをしたんだけど、どうだろうか? 忌憚のない意見をお願いする」
「いいのではないか。私は問題ない」
ベルがそう肯定すれば、他の面子も肯定してくれる。
ガリオンだけ強面で記憶されるって部分が引っかかったようだけども、直ぐさま俺を見て「まあ、平凡な方がいいよな」と、小馬鹿にしてくる。
「平凡だからこそ出来る事もあるってもんだ」
余裕を見せて返しつつ、
「エマエスさん、案内をお願いしますね」
「分かりました」
高額の報酬だけでなく、普段なら泊まることも出来ない豪華な宿屋の代金まで出して貰っているので、気合いを入れて案内しますと言ってくれる。
ならば代金分、遠慮無く頼らせていただこう。
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