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驕った創造主
PHASE-1684【空飛ぶ小鬼】
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――地下へと続く階段は螺旋階段。
石造りの階段を下っていけば、現れるのはハンドルタイプの鉄扉。
なんだろうか、地下になるとこの扉がカイメラにとってのマストになるんですかね。
ハンドルを回し――ガチャンという音が鳴ったところで自分側へと引く。
扉の先は――、
「ここにもあるのか……」
扉の先の部屋には透明のカプセルが並んでおり、カプセル内には薄紫色の液体が入っていた。
ネポリスの時と同サイズの140㎝くらいのもの。
そして中身も存在している。
「これはゴブリンだな」
ゴブリンの子供が入っていた。
以前はゴブリンゾンビがいたけども、ここでもそういった存在を創り出しているようだな。
「救いようがねえな……」
アルスン翁がこの場にいたならエンレージMAXになっている光景だな。
ネポリスではマンティコアの子供――ミユキがカプセルの中に入っていたけども、ここはゴブリンばかりだな。
培養液の色がネポリスと一緒だから、状態維持の魔法であるメインテインが使用されていると考えていい。
死体なのか、生きたままここに閉じ込められているのか。
前者ならアンデッドからの解放。後者なら救い出さないといけない。
まずはカイメラの連中をしばき倒してからだな。
素人が無理にカプセルを操作すれば、取り返しがつかなくなるだろうからね。
捕らえたカイメラの奴等に操作させよう。
――カプセルの並ぶ部屋をぐるりと一周してから次へと続く扉の前で足を止め、
「次に行こう!」
実験体となっているゴブリン達を目にして低くなったテンションを無理矢理に上げるように快活良く声を出して扉を開く。
――……開く……。
「お? なんだ?」
「あれ~……」
開いた先では三人の私兵が兜を取り、楽な姿勢で思い思いにくつろいでいた。
椅子に座り、伸ばした足を行儀悪くテーブルへとのせている者。
ソファを独占して一人で横になっている者。
テーブルにのった足を意にも返さず、対面の席で軽食を楽しんでいる者。
「おう冒険者じゃねえか。なんでここいるんだ?」
軽食を口に運ぼうとした一人がそう問うてくる。
――わずかに生まれる静寂。
次には――、
「なんでここにいる!?」
手にした軽食をかなぐり捨てて無手となり、次の動作でショートソードの柄へと手を伸ばそうとするが、
「おらよっ!」
右ストレートが顔面直撃。
宙を舞う私兵。
ガリオンの容赦ない拳で宙を舞う一人をテーブルに足をのせる者。ソファで寝そべっている者が視線で追いかける。
目で追いかける表情は見る見ると強張ったものに変わり、居住まいを正して立ち上がろうとするも、それを許さないベルとジージーによる一撃で即テイクダウン。
二人の動きの速さたるや。
ガリオンが殴った私兵が床へと落下する前に戦闘不能にするんだからね。
「お前ね……もう少し手心ってのをだな……」
「殺してねえからいいだろうが」
一緒におっさんの波に挑んだってのもあるから親近感がある連中なんだけどな……。
「気にするな。カプセル部屋の隣室にいるような奴等だ。どういった事をやっているのか全容を知らないとしても、荷担しているということには違いない」
愛想のないベルの声音。
こういった事に関与しているとなれば、ベルが私兵に抱く好感度はめちゃくちゃ低いものだろうからな。
「まあ、仕方ないな」
とりあえずダウンした三人を床へと寝かせてから次へと移動。
今度は用心深く扉を開く。
「おお! スゲえな! ドワーフもビックリだ」
眼界に入ってくるのは通路ではなく吊り橋。
向こう側に繋がる唯一の道だ。
それ以外に道は無く、百メートルほどある橋以外は空堀のような構造。
――下を覗き見る。
アラムロス窟はダーダロス王の館に繋がる空堀と違って下が見える分、安心感はある。
まあ、落下すれば命を落とす高さではあるけどね。
「向こうの袂には見張りもいないみたいだし手早く渡ろう。誰も落ちる事はないだろうけど、油断せずに進もう」
「心配せずとも落ちたら落ちたで、空堀の底に叩き付けられる前に自分が救助します!」
「全力で頼らせてもらうよ」
ジージーという保険があるのはありがたい。
心に余裕が出来るからな。
全員の動きを確認できるように、ジージーには最後尾を歩いてもらい、非戦闘員であるワックさんにはジージーの前を歩いてもらう。
――吊り橋の造りは頑丈で、屈強な筋肉の持ち主に、フルプレートの亜人を含めた六人が歩いても揺れを感じさせない。
なんの不安も無く吊り橋の真ん中部分までくれば、
「トール殿」
最後尾のジージー。
声には緊張感が混じる。
「どうした?」
「この辺りにもマナ――ネイコスを感知できます」
「なるほど……つまりは……」
「ジャンパーですな」
この位置でのトラップジャンパーとか……。
「性格の悪さが滲み出ている配置だな!」
「だが上手くもある」
褒めつつも不愉快そうなベル。
俺たちのリアクションを待っていたとばかりに宙空に顕現した黒い亀裂。
中から出てくるのは――、
「ゴブリンが……空を飛んでいる」
「飛んでいますね。しかも自力で。ああいうのは初めて見ますよ」
ジージーでも見た事のない種類。
ここのことだから、まともな種類じゃないだろうけどね。
石造りの階段を下っていけば、現れるのはハンドルタイプの鉄扉。
なんだろうか、地下になるとこの扉がカイメラにとってのマストになるんですかね。
ハンドルを回し――ガチャンという音が鳴ったところで自分側へと引く。
扉の先は――、
「ここにもあるのか……」
扉の先の部屋には透明のカプセルが並んでおり、カプセル内には薄紫色の液体が入っていた。
ネポリスの時と同サイズの140㎝くらいのもの。
そして中身も存在している。
「これはゴブリンだな」
ゴブリンの子供が入っていた。
以前はゴブリンゾンビがいたけども、ここでもそういった存在を創り出しているようだな。
「救いようがねえな……」
アルスン翁がこの場にいたならエンレージMAXになっている光景だな。
ネポリスではマンティコアの子供――ミユキがカプセルの中に入っていたけども、ここはゴブリンばかりだな。
培養液の色がネポリスと一緒だから、状態維持の魔法であるメインテインが使用されていると考えていい。
死体なのか、生きたままここに閉じ込められているのか。
前者ならアンデッドからの解放。後者なら救い出さないといけない。
まずはカイメラの連中をしばき倒してからだな。
素人が無理にカプセルを操作すれば、取り返しがつかなくなるだろうからね。
捕らえたカイメラの奴等に操作させよう。
――カプセルの並ぶ部屋をぐるりと一周してから次へと続く扉の前で足を止め、
「次に行こう!」
実験体となっているゴブリン達を目にして低くなったテンションを無理矢理に上げるように快活良く声を出して扉を開く。
――……開く……。
「お? なんだ?」
「あれ~……」
開いた先では三人の私兵が兜を取り、楽な姿勢で思い思いにくつろいでいた。
椅子に座り、伸ばした足を行儀悪くテーブルへとのせている者。
ソファを独占して一人で横になっている者。
テーブルにのった足を意にも返さず、対面の席で軽食を楽しんでいる者。
「おう冒険者じゃねえか。なんでここいるんだ?」
軽食を口に運ぼうとした一人がそう問うてくる。
――わずかに生まれる静寂。
次には――、
「なんでここにいる!?」
手にした軽食をかなぐり捨てて無手となり、次の動作でショートソードの柄へと手を伸ばそうとするが、
「おらよっ!」
右ストレートが顔面直撃。
宙を舞う私兵。
ガリオンの容赦ない拳で宙を舞う一人をテーブルに足をのせる者。ソファで寝そべっている者が視線で追いかける。
目で追いかける表情は見る見ると強張ったものに変わり、居住まいを正して立ち上がろうとするも、それを許さないベルとジージーによる一撃で即テイクダウン。
二人の動きの速さたるや。
ガリオンが殴った私兵が床へと落下する前に戦闘不能にするんだからね。
「お前ね……もう少し手心ってのをだな……」
「殺してねえからいいだろうが」
一緒におっさんの波に挑んだってのもあるから親近感がある連中なんだけどな……。
「気にするな。カプセル部屋の隣室にいるような奴等だ。どういった事をやっているのか全容を知らないとしても、荷担しているということには違いない」
愛想のないベルの声音。
こういった事に関与しているとなれば、ベルが私兵に抱く好感度はめちゃくちゃ低いものだろうからな。
「まあ、仕方ないな」
とりあえずダウンした三人を床へと寝かせてから次へと移動。
今度は用心深く扉を開く。
「おお! スゲえな! ドワーフもビックリだ」
眼界に入ってくるのは通路ではなく吊り橋。
向こう側に繋がる唯一の道だ。
それ以外に道は無く、百メートルほどある橋以外は空堀のような構造。
――下を覗き見る。
アラムロス窟はダーダロス王の館に繋がる空堀と違って下が見える分、安心感はある。
まあ、落下すれば命を落とす高さではあるけどね。
「向こうの袂には見張りもいないみたいだし手早く渡ろう。誰も落ちる事はないだろうけど、油断せずに進もう」
「心配せずとも落ちたら落ちたで、空堀の底に叩き付けられる前に自分が救助します!」
「全力で頼らせてもらうよ」
ジージーという保険があるのはありがたい。
心に余裕が出来るからな。
全員の動きを確認できるように、ジージーには最後尾を歩いてもらい、非戦闘員であるワックさんにはジージーの前を歩いてもらう。
――吊り橋の造りは頑丈で、屈強な筋肉の持ち主に、フルプレートの亜人を含めた六人が歩いても揺れを感じさせない。
なんの不安も無く吊り橋の真ん中部分までくれば、
「トール殿」
最後尾のジージー。
声には緊張感が混じる。
「どうした?」
「この辺りにもマナ――ネイコスを感知できます」
「なるほど……つまりは……」
「ジャンパーですな」
この位置でのトラップジャンパーとか……。
「性格の悪さが滲み出ている配置だな!」
「だが上手くもある」
褒めつつも不愉快そうなベル。
俺たちのリアクションを待っていたとばかりに宙空に顕現した黒い亀裂。
中から出てくるのは――、
「ゴブリンが……空を飛んでいる」
「飛んでいますね。しかも自力で。ああいうのは初めて見ますよ」
ジージーでも見た事のない種類。
ここのことだから、まともな種類じゃないだろうけどね。
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