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視線は南へ
PHASE-1771【隙間調整】
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――同じ過ちを繰り返すんだろうな~。
などとオタサーの姫ふたたび! みたいなセラの今後を考えていれば――、
テッテレー♪
「おっ! これまた久しぶりの音だな」
待ちに待ったレベルアップですよ。
ディスプレイに映し出される数字は――、
「81か! とうとう俺も80台に突入だな」
76から5も上がった。
間違いなくルルハリルだけの評価じゃないな。
天空要塞での翼幻王やクロウス氏たちとの戦闘が結果として出ている。
よし! 80台に突入したとなれば、俺も立派な上位クラスですよ。
これからも大いに励んでやろうじゃないか!
――。
ちょっとだけ気が晴れたのでベットから起き上がって一階へ――、
「どんな感じ?」
「オイラの愛刀が更なる切れ味になってしまったようだね」
ギムロンに研いでもらったばかりの淡く青白い輝きを発するクロモジを高らかに掲げながら、クロモジが次の獲物を欲している。と、格好つけている。
仕上がりに大満足のご様子。
「ありがとなギムロン」
「いいってことよ」
一階の食事処にて朝から強い酒気を纏わせているギムロン。
上から二番目の位階である青色級なんだからもっと範となる姿でいてほしいけども、これも含めてギムロンだからな。
「会頭もいよいよトールハンマーへと赴くんだな」
「まあな」
「こちらも戦えるだけの武具を生産し次第、南へと移動することになるだろうな」
「ギムロンだけでなくキュクロプス三兄弟も動いてくれるみたいだな」
「当たり前よ。あいつらがおらんと大きな作業も時間がかかるからな。前線となればワシ以上に輝く連中よ」
俺たちのような人間サイズだけでなく、大型生物も投入されるからね。
そうなるとそいつらの装備の製作とメンテナンスが必要になる。
となればアルゲース氏たちキュクロプス三兄弟の独擅場。
今は先生の乗るヒッポグリフにスピットワイバーン。竜騎兵のワイバーンたちの装備を新調しているという。
それ以外にも大型の攻城兵器や野戦で大軍に向けて使用するような兵器も製作。
人間やドワーフでは時間がかかるような大型兵器も、三兄弟ならちょっとしたプラモデル感覚で作れるんだろうな。
「総力戦だからの」
「おう。豪快に食べて飲んで英気を養って、前線の連中の生存率を高めてくれる装備を作ってくれ」
「任せとけ」
相変わらず頼りになるドワーフのおっさんである。
深皿に盛られたふかしたジャガイモを木のスプーンで豪快かつ繊細に潰し、そこへまんべんなく塩を振り、温めた牛乳をたっぷりとぶっかければ、これまた豪快に炙ったベーコンとチーズをぶち込んで豪快にかっ込む。
即席シチューのような料理を平らげれば、豪快にゲップ。
で、豪快に強い酒を酒瓶から一気に呷り、ここでもゲップ……。酒気を一帯に撒き散らせば、側で食事をしている他の面々の顔が渋いものになる。
苦情の視線を向けられても一切気にすることなく、釣りで使用するアンカーブイのような赤い玉で先端を纏めた灰色のヒゲを豪快にしごく。
全てが豪快。
でも繊細な技術。
豪快と繊細を併せ持つ最高の職人の一人。
最高の職人といえば、
「ロイル領にレギラスロウ氏ってドワーフがいたんだけどさ」
「おう、美姫から話は聞いとるし、会頭から購入してもらった装備の修繕も頼まれとる」
「え、そうなの!?」
ベルってば俺が買ってあげた装備を大事にしようとしているのか。
これは好感度がかなり高いからこその行動なんじゃなかろうか。
「エントの樹皮で作っとる鎧型のバーククロスは見事なもんだった」
「ギムロンが見てもそう思うか」
「おうよ!」
「尊敬しているギムロンにそう言ってもらえば、レギラスロウ氏もめちゃくちゃ喜んでいるだろうな」
「さっさとこっち側に連れて来させてくれや。仕事の出来る連中はどんだけいても足りねえ状況だからの」
「その辺は問題ないさ」
ロイル領では内相のタークさんが準備を整えている。
その中にはやり手の職人もだけど、ロイル領の商人達の協力もあるからな。
近いうち王都には多くのやり手たちが入り込んでくると言えば、負担が減って少しは楽が出来ると胴間声で大喜び。
それにしても、
「ベルが俺の買ってあげた装備を大事にしているとはね~」
嬉しすぎて体が勝手に小躍りばすっですばい。
「会頭よ。単純な話だがな」
「なんだ?」
言いにくそうに団子っ鼻を掻きつつ、
「これだけいい装備だからな。実力ある者が装備に困っているなら、これを使ってもらいたいって話よ」
――……。
「あぶぅ……」
「なんだその面白くないといった顔は……力抜けるぞ……」
なんだよ……。俺が買ってあげたから大事にしたいのかと思っていたのにさ。全くもって違う理由かよ……。
いやまあ、正しいですけども。
レギラスロウ氏の作った装備はとてもいい物だからな。
そこいらの装備よりも素晴らしいから活用しないとな。
うん、そうだよね……。
「実力ある存在に与えてほしいよ」
「まあ、ちょっといじらないといけないだろうけどな」
「そりゃそうだろう」
ギムロンと二人して笑う。
で、直ぐに胸元部分で山を作ってみせるギムロン。
あのお胸様に合わせたままで装備してしまえば、大抵の胸元がガバガバなってしまうからな。
例としてコクリコが装備したと仮定し、突きを受けたと想定すると、鎧と胸の格差による隙間の恩恵で致命傷を免れるってこともなきにしもあらず。
あれ? じゃあガバガバがいいのか? とは口には出さないですけどね。
などとオタサーの姫ふたたび! みたいなセラの今後を考えていれば――、
テッテレー♪
「おっ! これまた久しぶりの音だな」
待ちに待ったレベルアップですよ。
ディスプレイに映し出される数字は――、
「81か! とうとう俺も80台に突入だな」
76から5も上がった。
間違いなくルルハリルだけの評価じゃないな。
天空要塞での翼幻王やクロウス氏たちとの戦闘が結果として出ている。
よし! 80台に突入したとなれば、俺も立派な上位クラスですよ。
これからも大いに励んでやろうじゃないか!
――。
ちょっとだけ気が晴れたのでベットから起き上がって一階へ――、
「どんな感じ?」
「オイラの愛刀が更なる切れ味になってしまったようだね」
ギムロンに研いでもらったばかりの淡く青白い輝きを発するクロモジを高らかに掲げながら、クロモジが次の獲物を欲している。と、格好つけている。
仕上がりに大満足のご様子。
「ありがとなギムロン」
「いいってことよ」
一階の食事処にて朝から強い酒気を纏わせているギムロン。
上から二番目の位階である青色級なんだからもっと範となる姿でいてほしいけども、これも含めてギムロンだからな。
「会頭もいよいよトールハンマーへと赴くんだな」
「まあな」
「こちらも戦えるだけの武具を生産し次第、南へと移動することになるだろうな」
「ギムロンだけでなくキュクロプス三兄弟も動いてくれるみたいだな」
「当たり前よ。あいつらがおらんと大きな作業も時間がかかるからな。前線となればワシ以上に輝く連中よ」
俺たちのような人間サイズだけでなく、大型生物も投入されるからね。
そうなるとそいつらの装備の製作とメンテナンスが必要になる。
となればアルゲース氏たちキュクロプス三兄弟の独擅場。
今は先生の乗るヒッポグリフにスピットワイバーン。竜騎兵のワイバーンたちの装備を新調しているという。
それ以外にも大型の攻城兵器や野戦で大軍に向けて使用するような兵器も製作。
人間やドワーフでは時間がかかるような大型兵器も、三兄弟ならちょっとしたプラモデル感覚で作れるんだろうな。
「総力戦だからの」
「おう。豪快に食べて飲んで英気を養って、前線の連中の生存率を高めてくれる装備を作ってくれ」
「任せとけ」
相変わらず頼りになるドワーフのおっさんである。
深皿に盛られたふかしたジャガイモを木のスプーンで豪快かつ繊細に潰し、そこへまんべんなく塩を振り、温めた牛乳をたっぷりとぶっかければ、これまた豪快に炙ったベーコンとチーズをぶち込んで豪快にかっ込む。
即席シチューのような料理を平らげれば、豪快にゲップ。
で、豪快に強い酒を酒瓶から一気に呷り、ここでもゲップ……。酒気を一帯に撒き散らせば、側で食事をしている他の面々の顔が渋いものになる。
苦情の視線を向けられても一切気にすることなく、釣りで使用するアンカーブイのような赤い玉で先端を纏めた灰色のヒゲを豪快にしごく。
全てが豪快。
でも繊細な技術。
豪快と繊細を併せ持つ最高の職人の一人。
最高の職人といえば、
「ロイル領にレギラスロウ氏ってドワーフがいたんだけどさ」
「おう、美姫から話は聞いとるし、会頭から購入してもらった装備の修繕も頼まれとる」
「え、そうなの!?」
ベルってば俺が買ってあげた装備を大事にしようとしているのか。
これは好感度がかなり高いからこその行動なんじゃなかろうか。
「エントの樹皮で作っとる鎧型のバーククロスは見事なもんだった」
「ギムロンが見てもそう思うか」
「おうよ!」
「尊敬しているギムロンにそう言ってもらえば、レギラスロウ氏もめちゃくちゃ喜んでいるだろうな」
「さっさとこっち側に連れて来させてくれや。仕事の出来る連中はどんだけいても足りねえ状況だからの」
「その辺は問題ないさ」
ロイル領では内相のタークさんが準備を整えている。
その中にはやり手の職人もだけど、ロイル領の商人達の協力もあるからな。
近いうち王都には多くのやり手たちが入り込んでくると言えば、負担が減って少しは楽が出来ると胴間声で大喜び。
それにしても、
「ベルが俺の買ってあげた装備を大事にしているとはね~」
嬉しすぎて体が勝手に小躍りばすっですばい。
「会頭よ。単純な話だがな」
「なんだ?」
言いにくそうに団子っ鼻を掻きつつ、
「これだけいい装備だからな。実力ある者が装備に困っているなら、これを使ってもらいたいって話よ」
――……。
「あぶぅ……」
「なんだその面白くないといった顔は……力抜けるぞ……」
なんだよ……。俺が買ってあげたから大事にしたいのかと思っていたのにさ。全くもって違う理由かよ……。
いやまあ、正しいですけども。
レギラスロウ氏の作った装備はとてもいい物だからな。
そこいらの装備よりも素晴らしいから活用しないとな。
うん、そうだよね……。
「実力ある存在に与えてほしいよ」
「まあ、ちょっといじらないといけないだろうけどな」
「そりゃそうだろう」
ギムロンと二人して笑う。
で、直ぐに胸元部分で山を作ってみせるギムロン。
あのお胸様に合わせたままで装備してしまえば、大抵の胸元がガバガバなってしまうからな。
例としてコクリコが装備したと仮定し、突きを受けたと想定すると、鎧と胸の格差による隙間の恩恵で致命傷を免れるってこともなきにしもあらず。
あれ? じゃあガバガバがいいのか? とは口には出さないですけどね。
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