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胎動
PHASE-07
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「魔王が、妹様なのですか?」
グラドさん、驚きを隠せないまま質問。
そりゃそうだ、邪神とはいえ、神だもの。その神の妹が魔王とは、ひっちゃかめっちゃかじゃないか。
『いや~あれ!? え~そう……あぁぁ、ふ~ん。魔王なの…………おっかしいな~戦女神だったのにな~何で……魔王?』
語尾に進むにつれて、声のトーンが落ちていくのが容易に分かる。
でもこれ――、まずいよな。
「ロールさん、これ復活を完全に阻止しましょう」
耳打ちをしてしまった。いい匂いだった。こんな状況でそう思える僕は、変態の素質があるのだと気付いた。
だがしかし、これはよくない。兄妹となれば、結託する可能性もある。そうなればパワーバランスの均衡が崩れてしまう。
勇者サイドに頑張ってもらうことで、今の王政が続く。平地の行き届いた人生を送ることを旨とする僕には現状がありがたい。
まあ、不死王さんの実例もあるから、魔王さんが統治者になっても問題はないだろうけども、それは魔王さん限定で考えるのであって、この邪神は条約さえ壊してしまいそうだ。
これは、ようない。ようないぞ!
阻止せねば、平地の行き届いた生活を送るためにも!
「ちょっといいですか」
挙手の僕。
『なんだ?』
あら、グラドさんに発言しようと思ったら、邪神が返してきたよ。これはあれかな? 精神的に混乱しているのかな。さっきまで相手にもしなかった僕に口を開くなんて。
「もし、復活した場合、連合は駄目ですよ。絶対にです。それが出来ないなら復活は認めません」
怖いけど、ここで釘を刺さなきゃ、後々が面倒だからね。
とにかく平地の行き届いた人生。下手したら、ここで終わるかも知れない人生。
――うん。なんか韻を踏んでる感じになっている。
『だれが手など結ぶか!』
「「「予想外の返答」」」
それに、整備局員、三名で応えて、なぜと首を傾ける。
――分かることは、この語り方からして、この邪神、妹さんである魔王に、何かしら手痛い目にあわされたと推測出来るかな。
壺から、煙全体が現れて、もくもくというより、ぶるぶると震えているように見える。
それが怒りからなのか、恐怖からなのかは本人のみの知るところ。
『そもそも、我がこの様な状況に置かれたのは、あの愚妹が大きく関係している』
おお、恨みの対象か。
復活されて、戦いが三すくみ状態になると睨み合いが起きそうだ。
そうなると、散発化された戦闘も、更に消極化が進みそうで良いかもしれない。仕事が楽になりそうだ。
まあ、この場合、この邪神が条約に乗っ取った行動をすると考えてだけども。
『そう――――あれはお前達が、まだ馬で大地を移動していた時代だ』
「今も使用してますよ」
『あ、うん。そうか……』
なんか、昔話が始まりそうだったけど、ロールさんが出鼻を思いっ切りくじいている。黒煙がどうしよう、このまま話してもいいのだろうか? 見たいに、右往左往している。
「どうぞ」
埒が明かないので、僕が進行役として、促してあげた。
――――古都で出会った、ワイトのホーリー・ライムライトさんが誕生してる時くらいの昔の話のようだ。
千五百年ほどと考えよう。
大陸の掌握を企てていた邪神と激しくぶつかり合ったのが、当時の勇者御一行。といっても、個々のパーティーでは、この邪神と配下の侵攻を止めることは難しく、邪神は常勝だったそうだ。
危機を覚えた人間サイドは、勇者たちを募らせ、連合を作り対抗。
それでも、この邪神、ものすっごく強かったそうで、勇者連合は相当に苦戦をしいられたそうだ。
でも、この邪神を封じる兵仗を作った存在がいた。
――――その名はビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ。当時は戦女神、現在は魔王の御方。そして、この邪神の妹様。
で、なんで妹様が邪神を封じたのか、それは常勝の邪神が、調子こいてたからだそうで、大陸を手中に治めた後は、その全てを我が物とし、誰にも何も与えてあげないと、独占を公布したそうだ。
勝ち続けると、勘違いしてしまうのは、神も人も同じようだ……。
公布を目にした妹様はカチンときたらしい。
我が物ということは、自分も所有対象になるのかと考えた妹様。
なぜに、自分より阿呆な兄に従わなければならないのか。
そもそも、この妹様は戦女神として、戦いは見守っていたけども、大陸統治などは全く興味が無く、勝手に馬鹿をしている兄に対して相当の不満も持っていたらしい。
――――王都の祭りで行われた演劇であったな。魔王の前任が世界を欲しがって始めた戦いとか言ってたシーン。
コイツか! この邪神が前任の正体か!
――――この性格じゃ、大変だっただろう。なんたって煙の状態でも態度がでかいもの。
完全体の時なんて現状の比じゃないだろうね。
妹様。兄には痛い目に遭ってもらおうと、勇者連合に肩入れ。自身の力を宿した剣やらその他の兵仗を勇者たちに与えたそうだ。
普通、ここで一般人が思い描く、神が作りし兵仗は、
人知を越える一振りの剣。後世に語り継がれるだけの伝説の剣として、物があるなら、崇拝の対象にすらなり得る剣なんだろうと――、
数人の、選ばれし者が手にすることが許される武器だと――、
――――だけど、そうじゃなかった。
妹様に慈悲はなかった…………。
妹様、人知を越える兵仗を大量生産。
勇者連合の勇者さんや、剣士に戦士、と、武器に長けている方々に、片っ端から与えていったそうだ。
更には、妹様と配下の方々も参戦。
邪神の当時の配下を駆逐していったそうだ。
――――そういえば、サージャスさんとサシで戦ってた時に、不死王さんが、こんなに傷ついたのは邪神様の配下とどうたらって、言ってたっけ。
常勝の邪神、いきなりの状況の変化に、それはそれは涙目不可避だったそうで、今までのようには事が運ばなくなり、勇者たちの、伝説クラスの大量生産兵仗の前に、なすすべもなく、体の各部位を奪われ、要所要所に封印されてしまい、死ぬという概念がない、不死の存在である神はこうやって、長い間、封印されていた。
『あの愚妹が、とち狂わなければ、今ごろ我は、世界の全ての美しい女たちを侍らせていたのだ!!』
しょぼ、制覇した後の願望、しょぼ。そんなことは制覇しなくても出来るだろうに。
こんなんだから、妹様に痛い目に遭わされるんだろうね。
敗れた邪神配下は討伐されるか、妹様の軍門に降ったそうだ。
存在意義やら、矜持やら、配下やら、根こそぎ取られた残念な神の姿が僕の目の前にあった…………。
グラドさん、驚きを隠せないまま質問。
そりゃそうだ、邪神とはいえ、神だもの。その神の妹が魔王とは、ひっちゃかめっちゃかじゃないか。
『いや~あれ!? え~そう……あぁぁ、ふ~ん。魔王なの…………おっかしいな~戦女神だったのにな~何で……魔王?』
語尾に進むにつれて、声のトーンが落ちていくのが容易に分かる。
でもこれ――、まずいよな。
「ロールさん、これ復活を完全に阻止しましょう」
耳打ちをしてしまった。いい匂いだった。こんな状況でそう思える僕は、変態の素質があるのだと気付いた。
だがしかし、これはよくない。兄妹となれば、結託する可能性もある。そうなればパワーバランスの均衡が崩れてしまう。
勇者サイドに頑張ってもらうことで、今の王政が続く。平地の行き届いた人生を送ることを旨とする僕には現状がありがたい。
まあ、不死王さんの実例もあるから、魔王さんが統治者になっても問題はないだろうけども、それは魔王さん限定で考えるのであって、この邪神は条約さえ壊してしまいそうだ。
これは、ようない。ようないぞ!
阻止せねば、平地の行き届いた生活を送るためにも!
「ちょっといいですか」
挙手の僕。
『なんだ?』
あら、グラドさんに発言しようと思ったら、邪神が返してきたよ。これはあれかな? 精神的に混乱しているのかな。さっきまで相手にもしなかった僕に口を開くなんて。
「もし、復活した場合、連合は駄目ですよ。絶対にです。それが出来ないなら復活は認めません」
怖いけど、ここで釘を刺さなきゃ、後々が面倒だからね。
とにかく平地の行き届いた人生。下手したら、ここで終わるかも知れない人生。
――うん。なんか韻を踏んでる感じになっている。
『だれが手など結ぶか!』
「「「予想外の返答」」」
それに、整備局員、三名で応えて、なぜと首を傾ける。
――分かることは、この語り方からして、この邪神、妹さんである魔王に、何かしら手痛い目にあわされたと推測出来るかな。
壺から、煙全体が現れて、もくもくというより、ぶるぶると震えているように見える。
それが怒りからなのか、恐怖からなのかは本人のみの知るところ。
『そもそも、我がこの様な状況に置かれたのは、あの愚妹が大きく関係している』
おお、恨みの対象か。
復活されて、戦いが三すくみ状態になると睨み合いが起きそうだ。
そうなると、散発化された戦闘も、更に消極化が進みそうで良いかもしれない。仕事が楽になりそうだ。
まあ、この場合、この邪神が条約に乗っ取った行動をすると考えてだけども。
『そう――――あれはお前達が、まだ馬で大地を移動していた時代だ』
「今も使用してますよ」
『あ、うん。そうか……』
なんか、昔話が始まりそうだったけど、ロールさんが出鼻を思いっ切りくじいている。黒煙がどうしよう、このまま話してもいいのだろうか? 見たいに、右往左往している。
「どうぞ」
埒が明かないので、僕が進行役として、促してあげた。
――――古都で出会った、ワイトのホーリー・ライムライトさんが誕生してる時くらいの昔の話のようだ。
千五百年ほどと考えよう。
大陸の掌握を企てていた邪神と激しくぶつかり合ったのが、当時の勇者御一行。といっても、個々のパーティーでは、この邪神と配下の侵攻を止めることは難しく、邪神は常勝だったそうだ。
危機を覚えた人間サイドは、勇者たちを募らせ、連合を作り対抗。
それでも、この邪神、ものすっごく強かったそうで、勇者連合は相当に苦戦をしいられたそうだ。
でも、この邪神を封じる兵仗を作った存在がいた。
――――その名はビルギット・ピア・ヴァルバディッシュ。当時は戦女神、現在は魔王の御方。そして、この邪神の妹様。
で、なんで妹様が邪神を封じたのか、それは常勝の邪神が、調子こいてたからだそうで、大陸を手中に治めた後は、その全てを我が物とし、誰にも何も与えてあげないと、独占を公布したそうだ。
勝ち続けると、勘違いしてしまうのは、神も人も同じようだ……。
公布を目にした妹様はカチンときたらしい。
我が物ということは、自分も所有対象になるのかと考えた妹様。
なぜに、自分より阿呆な兄に従わなければならないのか。
そもそも、この妹様は戦女神として、戦いは見守っていたけども、大陸統治などは全く興味が無く、勝手に馬鹿をしている兄に対して相当の不満も持っていたらしい。
――――王都の祭りで行われた演劇であったな。魔王の前任が世界を欲しがって始めた戦いとか言ってたシーン。
コイツか! この邪神が前任の正体か!
――――この性格じゃ、大変だっただろう。なんたって煙の状態でも態度がでかいもの。
完全体の時なんて現状の比じゃないだろうね。
妹様。兄には痛い目に遭ってもらおうと、勇者連合に肩入れ。自身の力を宿した剣やらその他の兵仗を勇者たちに与えたそうだ。
普通、ここで一般人が思い描く、神が作りし兵仗は、
人知を越える一振りの剣。後世に語り継がれるだけの伝説の剣として、物があるなら、崇拝の対象にすらなり得る剣なんだろうと――、
数人の、選ばれし者が手にすることが許される武器だと――、
――――だけど、そうじゃなかった。
妹様に慈悲はなかった…………。
妹様、人知を越える兵仗を大量生産。
勇者連合の勇者さんや、剣士に戦士、と、武器に長けている方々に、片っ端から与えていったそうだ。
更には、妹様と配下の方々も参戦。
邪神の当時の配下を駆逐していったそうだ。
――――そういえば、サージャスさんとサシで戦ってた時に、不死王さんが、こんなに傷ついたのは邪神様の配下とどうたらって、言ってたっけ。
常勝の邪神、いきなりの状況の変化に、それはそれは涙目不可避だったそうで、今までのようには事が運ばなくなり、勇者たちの、伝説クラスの大量生産兵仗の前に、なすすべもなく、体の各部位を奪われ、要所要所に封印されてしまい、死ぬという概念がない、不死の存在である神はこうやって、長い間、封印されていた。
『あの愚妹が、とち狂わなければ、今ごろ我は、世界の全ての美しい女たちを侍らせていたのだ!!』
しょぼ、制覇した後の願望、しょぼ。そんなことは制覇しなくても出来るだろうに。
こんなんだから、妹様に痛い目に遭わされるんだろうね。
敗れた邪神配下は討伐されるか、妹様の軍門に降ったそうだ。
存在意義やら、矜持やら、配下やら、根こそぎ取られた残念な神の姿が僕の目の前にあった…………。
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