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ITADAKI-頂-
PHASE-08
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十八には見えない童顔と低い身長。大きい瞳が愛らしい少女。短めの黒髪を揺らしつつ、二人に顔を向けている。
オドオドとしている主審である彼女に対し、サージャスもフィットも準備は出来ているとばかりに、戦いの前で張り詰めた面持ちから来る、鋭利となった瞳を彼女へと向け返す。
迫力に気圧されて、一歩後ろに下がりながら、ツクシが、
「は、はじめ」
裏返りそうな声で、若干震えている掲げた手を下ろしながら、開始を伝える。
その言を待っていたとばかりに二人は矢庭に動き、一足飛びで互いの間合いに入ると、息を合わせたかのように、鏡の自分に打ち込んでいるのかと思わせるくらいに、同じ高さ、同じ角度からの振り下ろし。
木刀の一合が奏でた音色は、まるで木琴のように高く、耳に心地よいものだった。
奏でる音とは裏腹に、打ち合う二人は、人の姿をした猛る獅子のようで、体からオーラでも迸っているのかと思わせるほどの気迫であった。
ツクシは一歩下がっただけでは、その気迫に耐える事は出来なかったようで、更に一歩下がる。
だがそれでも足りなかったのか、押し倒されるように尻餅をつき、そのまま後退り。
離れた位置から見守る事にした。
その様な彼女の状況に気を配ってやれるほどの余裕は、闘技場で交わる二人にはなく、苛烈な打ち合いだけを続けていく。
二合、三合――――と、回数を刻んで行くにつれ、木刀の表面も変形していく。
削れ、木屑が舞う――――。
数合の打ち合いだけで、二人の額には大粒の汗。
それが玉になり、飛び散る。
光が反射し、宝石のような美しさがある。
特に、総髪の長い黒髪が、動く度に踊るように舞、夏の太陽にあたると、青みがかった輝きを放ち、なんとも妖艶で、観衆の――、特に男性陣は、フィットに目を奪われた。
現状でも、観衆の視線はこの二人に向けられていたのに、輝く汗と、妖艶な髪が相乗効果を生み出し、更に釘付け。
九つの闘技場の中央の一つは、先ほど以上に目立ちに目立つ。
他の参加者には申し訳ないという感情も観衆にはあるだろうし、中には参加している者の関係者もいるだろうが、現状、闘技場はサージャス、フィットの二人だけの空間になってしまっている。
「これはどう?」
空気の壁を突き破る衝撃音を纏った刺突を見舞うフィット。
サージャスは体捌きだけでそれを躱すが、続けざまに右手で峰部分を持つと、てこの原理の要領で、左手を突き出すようにして、作用点となる柄の部分で、サージャスの顎先を狙う。
「くっ」
咄嗟に体を弓なりに反らせてから二撃目も躱す。フィットは更なる追撃で、反らした状態のサージャスの体に向かって、上段からの一撃を振るおうとする。
サージャスは弓なりの姿勢を維持したまま、その体勢を利用して、後方転回を行い、三撃目も躱すと同時に、後方転回で天地が逆になっている状態から、お返しとばかりに、かかと部分でフィットの顎先を狙う蹴撃。
今度はフィットが上体を反らせる事になり、紙一重で蹴撃を回避。
「はあ!」
体を反らされたものの、負けてなるものかと木刀を最後まで振り下ろしながら、気合いを口から発した事で、後方転回から体勢を整えたサージャスが追撃に出ようとしたものの、その声でわずかな逡巡が生まれ、距離を取るだけに留めた。
数回の動作だけだったが、その動きには長い時を感じさせられ、観衆は固唾を呑み、次はどう出るのか? と、闘技場の二人に負けないくらいの、大粒の汗を流していた。
――。
一般観衆と違い、魔石鏡により、細かな表情も見る事が出来る整備局員たち。
「熱い」
「熱いよね」
「ええ、熱いです。気温も暑いですけどね」
ピートとロールも額から汗が流れており、ポケットからハンカチを取り出すと、二人揃って汗を拭く。
「俺にも貸してくれ」
持参していなかったニーズィーは、ピートにハンカチを貸せと催促。
無論、渋面になるピート。
加齢臭が移るし、おっさんの汗なんかを染みこませたくないと、潔癖なところが現れるが、ここで拒否すれば、もしかしたらロールに催促するかもしれないと考える。
ロールは、善意で躊躇なく貸すと理解しているピートは、それは回避しなければならないと、しぶしぶとハンカチを貸したのであった。
貸す貸さないで言い争うのも時間の無駄だという感情もあったのだろう。ニーズィーに手渡すと、直ぐさまグラスを手にして、冷たいお茶を飲み、体を内側から冷やしつつ、映し出される闘技場に目を向けた。
――。
「流石に、強いですね」
「貴女も」
今までの相手とは圧倒的に実力が違うと、サージャス、フィット両名は賞賛を互いに送り合う。
「行きます」
「どうぞ」
これから仕掛けると律儀に口にするサージャスに、笑みを見せて返すと、フィットは木刀を向け、構える。
神速とはこの事とばかりに、観衆の目では追うのも一苦労なサージャスの驀地。一瞬でフィットの前に移動。
「背後からでもいいんだよ」
「いえ、正面から」
神速を活かすのだから、虚を突いた攻撃でもいいのに、わざわざ正面からの一太刀。
堂々とした攻め方が自分に似ている事から、親近感を抱いたフィットは破顔。
先ほどまでの緊張感は何処へ? とばかりに、闘技場は和らいだものになった。
オドオドとしている主審である彼女に対し、サージャスもフィットも準備は出来ているとばかりに、戦いの前で張り詰めた面持ちから来る、鋭利となった瞳を彼女へと向け返す。
迫力に気圧されて、一歩後ろに下がりながら、ツクシが、
「は、はじめ」
裏返りそうな声で、若干震えている掲げた手を下ろしながら、開始を伝える。
その言を待っていたとばかりに二人は矢庭に動き、一足飛びで互いの間合いに入ると、息を合わせたかのように、鏡の自分に打ち込んでいるのかと思わせるくらいに、同じ高さ、同じ角度からの振り下ろし。
木刀の一合が奏でた音色は、まるで木琴のように高く、耳に心地よいものだった。
奏でる音とは裏腹に、打ち合う二人は、人の姿をした猛る獅子のようで、体からオーラでも迸っているのかと思わせるほどの気迫であった。
ツクシは一歩下がっただけでは、その気迫に耐える事は出来なかったようで、更に一歩下がる。
だがそれでも足りなかったのか、押し倒されるように尻餅をつき、そのまま後退り。
離れた位置から見守る事にした。
その様な彼女の状況に気を配ってやれるほどの余裕は、闘技場で交わる二人にはなく、苛烈な打ち合いだけを続けていく。
二合、三合――――と、回数を刻んで行くにつれ、木刀の表面も変形していく。
削れ、木屑が舞う――――。
数合の打ち合いだけで、二人の額には大粒の汗。
それが玉になり、飛び散る。
光が反射し、宝石のような美しさがある。
特に、総髪の長い黒髪が、動く度に踊るように舞、夏の太陽にあたると、青みがかった輝きを放ち、なんとも妖艶で、観衆の――、特に男性陣は、フィットに目を奪われた。
現状でも、観衆の視線はこの二人に向けられていたのに、輝く汗と、妖艶な髪が相乗効果を生み出し、更に釘付け。
九つの闘技場の中央の一つは、先ほど以上に目立ちに目立つ。
他の参加者には申し訳ないという感情も観衆にはあるだろうし、中には参加している者の関係者もいるだろうが、現状、闘技場はサージャス、フィットの二人だけの空間になってしまっている。
「これはどう?」
空気の壁を突き破る衝撃音を纏った刺突を見舞うフィット。
サージャスは体捌きだけでそれを躱すが、続けざまに右手で峰部分を持つと、てこの原理の要領で、左手を突き出すようにして、作用点となる柄の部分で、サージャスの顎先を狙う。
「くっ」
咄嗟に体を弓なりに反らせてから二撃目も躱す。フィットは更なる追撃で、反らした状態のサージャスの体に向かって、上段からの一撃を振るおうとする。
サージャスは弓なりの姿勢を維持したまま、その体勢を利用して、後方転回を行い、三撃目も躱すと同時に、後方転回で天地が逆になっている状態から、お返しとばかりに、かかと部分でフィットの顎先を狙う蹴撃。
今度はフィットが上体を反らせる事になり、紙一重で蹴撃を回避。
「はあ!」
体を反らされたものの、負けてなるものかと木刀を最後まで振り下ろしながら、気合いを口から発した事で、後方転回から体勢を整えたサージャスが追撃に出ようとしたものの、その声でわずかな逡巡が生まれ、距離を取るだけに留めた。
数回の動作だけだったが、その動きには長い時を感じさせられ、観衆は固唾を呑み、次はどう出るのか? と、闘技場の二人に負けないくらいの、大粒の汗を流していた。
――。
一般観衆と違い、魔石鏡により、細かな表情も見る事が出来る整備局員たち。
「熱い」
「熱いよね」
「ええ、熱いです。気温も暑いですけどね」
ピートとロールも額から汗が流れており、ポケットからハンカチを取り出すと、二人揃って汗を拭く。
「俺にも貸してくれ」
持参していなかったニーズィーは、ピートにハンカチを貸せと催促。
無論、渋面になるピート。
加齢臭が移るし、おっさんの汗なんかを染みこませたくないと、潔癖なところが現れるが、ここで拒否すれば、もしかしたらロールに催促するかもしれないと考える。
ロールは、善意で躊躇なく貸すと理解しているピートは、それは回避しなければならないと、しぶしぶとハンカチを貸したのであった。
貸す貸さないで言い争うのも時間の無駄だという感情もあったのだろう。ニーズィーに手渡すと、直ぐさまグラスを手にして、冷たいお茶を飲み、体を内側から冷やしつつ、映し出される闘技場に目を向けた。
――。
「流石に、強いですね」
「貴女も」
今までの相手とは圧倒的に実力が違うと、サージャス、フィット両名は賞賛を互いに送り合う。
「行きます」
「どうぞ」
これから仕掛けると律儀に口にするサージャスに、笑みを見せて返すと、フィットは木刀を向け、構える。
神速とはこの事とばかりに、観衆の目では追うのも一苦労なサージャスの驀地。一瞬でフィットの前に移動。
「背後からでもいいんだよ」
「いえ、正面から」
神速を活かすのだから、虚を突いた攻撃でもいいのに、わざわざ正面からの一太刀。
堂々とした攻め方が自分に似ている事から、親近感を抱いたフィットは破顔。
先ほどまでの緊張感は何処へ? とばかりに、闘技場は和らいだものになった。
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