拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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ITADAKI-頂-

PHASE-22

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 主審、次があるからという事で、何とか引きはがし、一礼をさせて、双方がようやく闘技場から下りた。
 解放されて安堵の息をこぼすサージャスさんは、直ぐに僕を捕捉。
 いや~まいったな。嬉しい行動だ。
 笑顔で大きく手を振る仕草が可愛いじゃないか。試合前の気負ったのも抜けきっているようだ。ザイオン氏との楽しげな戦いよりも、僕の存在によって、その笑みを作り出していると思い込みたい。

「おめでとうございます」
 賞賛をおくる――――。そんな中、ザイオン氏が勢いよく近づき、サージャスさんに再び飛びつく……。

「強いな~強いな~あたいも強くなりたい」

「え、うん……強くなれるよ。鍛錬すれば」
 またも訪れる密着。
 距離感が近すぎると困っている。鍛錬で培った体捌きで離れてから返答するも、食らいつくように密着。
 まったく……、僕とサージャスさんの憩いの時間を邪魔するとは――、
 可愛いから我慢してあげるけど。
 動物じみているのか、野生児とでもいうのか、それともやっぱりお馬鹿なのか……、

 ――……。

「次は予選決勝ですね」

「勝って見せます」

「気負わないで下さいね」
 僕たちは諦めて、ザイオン氏の存在ありで話を交わす。
 頬ずりが鬱陶しそうで、眉尻が下がってる。
 でも、僕に対しては笑顔を崩さない。恋人とかだと、辛い事に直面しても、しっかりと支えてくれるタイプだろうな。
 
「なあなあ、嬉しいのか? 何が嬉しいんだ?」
 相手しないといけないのかな。いちいちかまってほしい子供みたいだ。
 もう! 次の試合の為の応援の言葉を贈りたいのに。

「次を勝てば本選決勝だからね。それに応援してくれる人もいるし」
 応対するサージャスさんは大人だな。

「恋人なのか!? あの錆頭は恋人なのか」
 ――……どれらいもんを放り込んでくれたもんだな!
 どストレートすぎるでしょうが! 
 この子、レインちゃんと同レベルだな。天真爛漫な七歳児と同レベルだ。
 見た目からして十代半ばっぽいから、その年齢でそんな感じだと、やはりただのお馬鹿じゃないか!
 どうしてくれる。この変な空気。どうしてくれる!
 サージャスさん、顔がとんでもないくらいに真っ赤になってる。紙でも近づけたら勢いよく燃えそうなくらいだよ。

「なあなあ、チュウとかしてんのか?」

「し、してないよ! そんな事を大声で言っちゃダメだよ」

「あたいとしては、サージャスはもっといい男と付き合うべきだと思う」
 うるせえよ! 大体、錆頭ってなんだ! 初対面で失礼な!! お馬鹿のせいで、変な空気の広がりが加速していくよ。
 後ろを振り向けば、ロールさんが無表情なんだよ。
 こればどう読み取ればいいのか。
 サージャスさんとのやり取りが面白くないのだろうか? それとも単純に興味がないのか。
 嫉妬もしてくれたりするし、前者と考えるべきか。
 本気で困るよね。空気読めないで場を混乱させる人って。

「ピートさんは素晴らしい人だよ。優しくて頼りになるから」
 ハハ――、脳内の小さな僕がその言葉を受けて、サンバのリズムに乗って踊ってますよ。
 女の人に好感を持たれる事をはっきりと表面化されたのって、ブートキャンプでのシナンさんとアズナさんの亜人さんたち以来じゃないだろうか。

「チッ」
 舌打ちしない。
 おっさんもさっさと結婚すればいいでしょう。身を固めればくだらない嫉妬もなくなるでしょうに。
 ――この状況を打破する為にも。

「次余裕で勝って下さいね」
 次の試合余裕で――、この混迷の状況を作り出したザイオン氏を、遠回しにおちょくってみる。ささやかな報復。
 お馬鹿だから気付いてもいないけども。
 もちろんサージャスさんを応援している気持ちは本物だ。
 拳を空に掲げて必勝を願う。
 これで、話しも挿げ替えられればいいのだが――――。

「彼氏からの応援で優勝までいけるな~」

「そんなんじゃないから!」
 もう止めろ! 話を戻すな。
 小麦色の肌がキャッキャとはしゃいでいる。闘技場では負けたが、今ではサージャスさんがダウンしそうだ。
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