212 / 604
ITADAKI-頂-
PHASE-32
しおりを挟む
「レオニアさんを口説けばいいじゃないですか」
「なぜそれを知っている!」
その部分を思い出すとなると、貴男の心臓を生きたまま引きずり出したいところだよ。
「船で寝ぼけた整備長が口にしてたんですよ」
ここは恨みをグッと堪えてやりましょう。あの腰の動きは僕の記憶の中からも消したいですからね。
「で――――誰なんです?」
「飲み屋の姉ちゃん」
やはりというべきか、お店関係の人だったか。
「で――――感触はどうなんだ? 行けそうなのか」
と、ドレークさん。
「まあ、あれよ。俺に興味はあるな。あれは」
ああ……、これは可能性としては低いようだな。
一緒に遊んだりしたとかって発言がなく。興味があるじゃな~。
得意げに口にしてるけどさ、はっきりと言ってあげたいな。レオニアさんが興味あるのは貴男ではなく、貴男の懐のお金ですよ。
と――――、
「でよ~レオニアちゃんがよ――――」
「あ、始まるんで静かにしてください」
「…………」
気分よく話したかったであろう十中八九盛った話を、ロールさんに断たれて残念そうだ。
大丈夫です、もう興味なかったんで。
むしろ感謝すべきですね。ボロを出さなくてすんだのだから。
おっさん残して、皆で魔石鏡の前。
もちろんロールさんの隣に当たり前のように腰を下ろし、お茶をすすりつつ。これが当たり前の風景であるかのように振る舞う。
「これで、今回の頂点が決まる」
辞退したドレークさんが、重々しく口を開く。
先ほどまであそこに立っていた方が言うと説得力があるもんだ。
しかし、そう考えると凄いんだな。決勝まで残ってたんだもんな。
僕は大会始まって、予選の三回戦くらいまで進んで、そこで強い人に簡単に倒される噛ませ犬的ポジションだと思ってたのにな~。
見る目ないね僕。
そして、酷いヤツだね僕……。
だけど――、ここは見る目はあると自負してる。
違反金ばかりに目がいったりしてるけど。
王都での活躍で、実力にも目を向けられるようになったからね。
優勝して、違反金の可哀想な子から、頂に立った存在になってください! サージャスさん。
ムツ氏なんてケッチョンケッチョン、ギッタンギッタンにして、ぶっ飛ばしてやるのです。
* *
「今一度の確認を、急遽、最終戦となったが両名よろしいか?」
モンジがいよいよ最後と、闘技場に立つ二人に問いかける。
「はい。大丈夫です」
「問題なく」
サージャス、ムツともに再度の同意を口にする。
それを耳に入れると、双方の最終戦に対する異議申し立てがないと判断し、合図のように深い頷きをゆっくりと行う。
『これより決勝戦を開始する』
その行為を目にしたセンジが拡声器を使用し、場内に伝える。
それに対して、声を出す者は少なく、拍手の方が目立つものであった。
『勝者に送られる、刀工、サボ・セレクが作。雪風と時雨を――――』
刀二振りに随分と大仰な――。
と、思う者は、この二振りの価値を分からない者であり、口に出そうものなら、周囲からは冷たい視線と嘲笑が送られるだろう。
物々しく、仰々しい光景。
白衣と緋袴の巫女装束を着用した巫女が二名。
その二名が白鞘に収められた一振りずつを、諸手で抱擁するように大事に持ち、その周囲を袴姿で月代の侍が一人の巫女に対して左右一人ずつ立つ。
更に、その四方を鎧武者が一方に三名配置の、計十二名。
侍と合わせて十四名。
合計二十八名の卓抜者たちが、巫女二名を守る。
――。
「それだけの代物って事だよな」
「ですね、価値を付けるなら、一振りで、三代にわたって一生遊んで暮らせるくらいでしょうから」
ドレークとピートが、ようやく姿を現した二振りに興奮している。
同様の白鞘に入っているので、どちらが雪風、時雨かは分からないが、どちらも同価値だというのは理解している。
闘技場の前に準備された祭壇の前で、巫女が四方に優美な一礼を行い、手にした刀を祭壇へと収める。
そして、祭壇の前に巫女が腰を下ろし、隊形を維持しつつ守る武者、侍。
「俺も一応、決勝の場に立ってたのに、なんでこのイベントなかったんだろうな」
と、ドレークが悲しそうに声を出す。
「最終戦が確定してから行われるものだったんでしょう」
ロールが即座にフォロー。
それでも、目の前で経験したかったと、今になって辞退を惜しんでいるようであるが、ここでそれを口にしても恰好が悪い。
この二つの感情に挟まれてのジレンマ。
――。
「では、これより決勝戦を始める」
モンジが諸手を相対する二名に向けると、二名が互いに一礼。
静まっていた場内が、一礼を合図にどっと沸く。
大会が始まった時とは打って変わっての大音声を出し続けた観衆。
これが最後だからとばかりに、いままで以上に全力を出して声を上げる。
その熱量が場内を包み、蒸し暑い夏の昼下がりの気温を更に上げていく。
「なぜそれを知っている!」
その部分を思い出すとなると、貴男の心臓を生きたまま引きずり出したいところだよ。
「船で寝ぼけた整備長が口にしてたんですよ」
ここは恨みをグッと堪えてやりましょう。あの腰の動きは僕の記憶の中からも消したいですからね。
「で――――誰なんです?」
「飲み屋の姉ちゃん」
やはりというべきか、お店関係の人だったか。
「で――――感触はどうなんだ? 行けそうなのか」
と、ドレークさん。
「まあ、あれよ。俺に興味はあるな。あれは」
ああ……、これは可能性としては低いようだな。
一緒に遊んだりしたとかって発言がなく。興味があるじゃな~。
得意げに口にしてるけどさ、はっきりと言ってあげたいな。レオニアさんが興味あるのは貴男ではなく、貴男の懐のお金ですよ。
と――――、
「でよ~レオニアちゃんがよ――――」
「あ、始まるんで静かにしてください」
「…………」
気分よく話したかったであろう十中八九盛った話を、ロールさんに断たれて残念そうだ。
大丈夫です、もう興味なかったんで。
むしろ感謝すべきですね。ボロを出さなくてすんだのだから。
おっさん残して、皆で魔石鏡の前。
もちろんロールさんの隣に当たり前のように腰を下ろし、お茶をすすりつつ。これが当たり前の風景であるかのように振る舞う。
「これで、今回の頂点が決まる」
辞退したドレークさんが、重々しく口を開く。
先ほどまであそこに立っていた方が言うと説得力があるもんだ。
しかし、そう考えると凄いんだな。決勝まで残ってたんだもんな。
僕は大会始まって、予選の三回戦くらいまで進んで、そこで強い人に簡単に倒される噛ませ犬的ポジションだと思ってたのにな~。
見る目ないね僕。
そして、酷いヤツだね僕……。
だけど――、ここは見る目はあると自負してる。
違反金ばかりに目がいったりしてるけど。
王都での活躍で、実力にも目を向けられるようになったからね。
優勝して、違反金の可哀想な子から、頂に立った存在になってください! サージャスさん。
ムツ氏なんてケッチョンケッチョン、ギッタンギッタンにして、ぶっ飛ばしてやるのです。
* *
「今一度の確認を、急遽、最終戦となったが両名よろしいか?」
モンジがいよいよ最後と、闘技場に立つ二人に問いかける。
「はい。大丈夫です」
「問題なく」
サージャス、ムツともに再度の同意を口にする。
それを耳に入れると、双方の最終戦に対する異議申し立てがないと判断し、合図のように深い頷きをゆっくりと行う。
『これより決勝戦を開始する』
その行為を目にしたセンジが拡声器を使用し、場内に伝える。
それに対して、声を出す者は少なく、拍手の方が目立つものであった。
『勝者に送られる、刀工、サボ・セレクが作。雪風と時雨を――――』
刀二振りに随分と大仰な――。
と、思う者は、この二振りの価値を分からない者であり、口に出そうものなら、周囲からは冷たい視線と嘲笑が送られるだろう。
物々しく、仰々しい光景。
白衣と緋袴の巫女装束を着用した巫女が二名。
その二名が白鞘に収められた一振りずつを、諸手で抱擁するように大事に持ち、その周囲を袴姿で月代の侍が一人の巫女に対して左右一人ずつ立つ。
更に、その四方を鎧武者が一方に三名配置の、計十二名。
侍と合わせて十四名。
合計二十八名の卓抜者たちが、巫女二名を守る。
――。
「それだけの代物って事だよな」
「ですね、価値を付けるなら、一振りで、三代にわたって一生遊んで暮らせるくらいでしょうから」
ドレークとピートが、ようやく姿を現した二振りに興奮している。
同様の白鞘に入っているので、どちらが雪風、時雨かは分からないが、どちらも同価値だというのは理解している。
闘技場の前に準備された祭壇の前で、巫女が四方に優美な一礼を行い、手にした刀を祭壇へと収める。
そして、祭壇の前に巫女が腰を下ろし、隊形を維持しつつ守る武者、侍。
「俺も一応、決勝の場に立ってたのに、なんでこのイベントなかったんだろうな」
と、ドレークが悲しそうに声を出す。
「最終戦が確定してから行われるものだったんでしょう」
ロールが即座にフォロー。
それでも、目の前で経験したかったと、今になって辞退を惜しんでいるようであるが、ここでそれを口にしても恰好が悪い。
この二つの感情に挟まれてのジレンマ。
――。
「では、これより決勝戦を始める」
モンジが諸手を相対する二名に向けると、二名が互いに一礼。
静まっていた場内が、一礼を合図にどっと沸く。
大会が始まった時とは打って変わっての大音声を出し続けた観衆。
これが最後だからとばかりに、いままで以上に全力を出して声を上げる。
その熱量が場内を包み、蒸し暑い夏の昼下がりの気温を更に上げていく。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります
すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。
なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!
冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。
ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。
そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。
後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます
なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。
だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。
……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。
これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる