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ITADAKI-頂-
PHASE-41
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――――。
「来られたか」
配慮がまだまだな僕は、ムツ氏の顔を目にすると、猛ってきてしまう。力でどうこうは出来ないけどさ……。
「待っててくれたんですか?」
「半々です」
このまま戻ってこなかったらと内心、心配していたそうで、サージャスさんの無事に安堵の表情を見せる人物がここにも一人。
「なんだ、いい人だな」
と、ついつい心で思っていた事を口に出してしまった。
「戦いでは非情になってしまったが、終われば――ね」
「ですよね~」
中高さん、顎先がいまだ真っ赤になってますけど、笑顔が素敵ですね。
「いいですか?」
サージャスさん、ムツ氏の顎に回復魔法。ちょっと前まで大げさじゃなく、死の淵を彷徨っていたというのに、この人は……、
「重ね重ねのご厚意、痛み入る」
典雅な一礼で感謝を表している。
「完敗でした」
「いや、辛勝でした」
恨みっこ一切無しと、スッキリとしている二人。
サージャスさんにムツ氏。ついでにザイオン氏も楽しげに語らい合っている。妬みなんかの澱んだものなんてない明るい空間だ。
なんと清々しい方々なのだろう――――。
「さて――いいかな?」
モンジ氏が見物人の重圧をこれ以上は堰き止める事が出来ないと、僕たち――――、正確にはムツ氏へと駆け寄る。
表彰式に移行したいとの事だった。
見物人の方々、今のところ静がにしてるけど、近場の方の目を見ると、早く称えさせろ! と、いわんばかりに血走っている。
「始めて下さい」
ムツ氏がそう言うと、モンジ氏は胸をなで下ろし、遅れていた進捗状況が動き出す。
ようやく自分たちの出番かと、暇をもてあました巫女さん達と、彼女たちを守る武人の方々が動きを見せる。
武人の方々は、腰に携えた鞘に、常に左手を添えていたけど、ここにきてその左手を鞘から離して一礼。
下げる相手は、センジお奉行様――――。
「大義であった」
やはりそこは自国の参加者が勝利者であった事を素直に喜んでいる。
決勝を始めた時と同様に、闘技場に下りて、サージャスさん達と同じ目線での応対だ。
「ムツ・ノリムネよ、名刀二振り――――その手にとるがよい」
お奉行様の台詞を合図に、刀の置かれた前に座っている巫女さん達が立ち上がり、祭壇の端へと体を移動。
祭壇にある二振りと、ムツ氏の間には人がいない状況が出来上がる。
ゆったりとした足取りで祭壇へと移動し、四方に一礼を行い、祭壇に置かれた二振りの白鞘を諸手で掴む。
その瞬間――――、
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ――――」」」」
大歓声が上がった。
僕もその声が向けられる闘技場の上にいるものだから、その大歓声をダイレクトに受ける事になる。
声がつくりだす音の衝撃波がドンッドンッと、体の底にまで伝わってくる。
戸惑うよりも、なんだろうか――、この感情は――――、まるで僕がこの試合を制した気分だ。
勘違い? そう! 勘違いだ!! それは分かっているが、
あえてそれを爆発させてしまう。
歓声に酔いしれて、恍惚な表情の僕。
「別にピート君じゃないよ……」
分かっていますよ。ロールさん。そんなに呆れないで下さい。
でもね――。これ、とっても気持ちいいのです。
今なら分かる。お偉方が、自身の自信ある演説を行うのは、人々を酔わせ、そこから生まれる賞賛の嵐を受けて、愉悦に浸るためなんだよ。
国のため? No YUETSU.
それを体験したいからこそ、権力者を目指す人間も少なくはないだろう。だって僕、権力者になりたいと思ってるもの。
「だからね、ピート君じゃないんだよ……」
呆れを通り越えて、恥ずかしがってるのかな?
ごめんなさいね。ロールさん。
体がね――、勝手に動くんです。両手を大きく広げて、向かってくる声を全身で浴びたいんです。
たとえこれがムツ氏に向けられているとしても―――――、だ!
愉悦に浸る僕をよそに、ムツ氏が白鞘から白刃を抜き、観衆に見せている。波状の刃文に青みがかった地金の美しさは、なんとも妖艶だ。
妖艶さに見入る皆さんから声が奪われた。
――――そして、名刀の素晴らしさに抱いた思いが溜まり溜まって爆発。
再び大歓声となって、二度目の声の衝撃が体に激しく届く。
例えるなら、至近距離でドラムを打ち鳴らされた時の衝撃に似てるかな。
「ああ――もっとだ。もっと僕にその声を届けてくれ――――」
「なあ、コイツ大丈夫なのか?」
「う~ん……今回はかなり深くトリップしてるね…………」
ザイオン氏とロールさんが心配というか、可哀想な感じで僕を眺めているみたいだけど、この気持ちの良さを経験しないとむしろ勿体ないと思うんですけど。
どうです? お二人も僕と一緒に――――。
「来られたか」
配慮がまだまだな僕は、ムツ氏の顔を目にすると、猛ってきてしまう。力でどうこうは出来ないけどさ……。
「待っててくれたんですか?」
「半々です」
このまま戻ってこなかったらと内心、心配していたそうで、サージャスさんの無事に安堵の表情を見せる人物がここにも一人。
「なんだ、いい人だな」
と、ついつい心で思っていた事を口に出してしまった。
「戦いでは非情になってしまったが、終われば――ね」
「ですよね~」
中高さん、顎先がいまだ真っ赤になってますけど、笑顔が素敵ですね。
「いいですか?」
サージャスさん、ムツ氏の顎に回復魔法。ちょっと前まで大げさじゃなく、死の淵を彷徨っていたというのに、この人は……、
「重ね重ねのご厚意、痛み入る」
典雅な一礼で感謝を表している。
「完敗でした」
「いや、辛勝でした」
恨みっこ一切無しと、スッキリとしている二人。
サージャスさんにムツ氏。ついでにザイオン氏も楽しげに語らい合っている。妬みなんかの澱んだものなんてない明るい空間だ。
なんと清々しい方々なのだろう――――。
「さて――いいかな?」
モンジ氏が見物人の重圧をこれ以上は堰き止める事が出来ないと、僕たち――――、正確にはムツ氏へと駆け寄る。
表彰式に移行したいとの事だった。
見物人の方々、今のところ静がにしてるけど、近場の方の目を見ると、早く称えさせろ! と、いわんばかりに血走っている。
「始めて下さい」
ムツ氏がそう言うと、モンジ氏は胸をなで下ろし、遅れていた進捗状況が動き出す。
ようやく自分たちの出番かと、暇をもてあました巫女さん達と、彼女たちを守る武人の方々が動きを見せる。
武人の方々は、腰に携えた鞘に、常に左手を添えていたけど、ここにきてその左手を鞘から離して一礼。
下げる相手は、センジお奉行様――――。
「大義であった」
やはりそこは自国の参加者が勝利者であった事を素直に喜んでいる。
決勝を始めた時と同様に、闘技場に下りて、サージャスさん達と同じ目線での応対だ。
「ムツ・ノリムネよ、名刀二振り――――その手にとるがよい」
お奉行様の台詞を合図に、刀の置かれた前に座っている巫女さん達が立ち上がり、祭壇の端へと体を移動。
祭壇にある二振りと、ムツ氏の間には人がいない状況が出来上がる。
ゆったりとした足取りで祭壇へと移動し、四方に一礼を行い、祭壇に置かれた二振りの白鞘を諸手で掴む。
その瞬間――――、
「「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ――――」」」」
大歓声が上がった。
僕もその声が向けられる闘技場の上にいるものだから、その大歓声をダイレクトに受ける事になる。
声がつくりだす音の衝撃波がドンッドンッと、体の底にまで伝わってくる。
戸惑うよりも、なんだろうか――、この感情は――――、まるで僕がこの試合を制した気分だ。
勘違い? そう! 勘違いだ!! それは分かっているが、
あえてそれを爆発させてしまう。
歓声に酔いしれて、恍惚な表情の僕。
「別にピート君じゃないよ……」
分かっていますよ。ロールさん。そんなに呆れないで下さい。
でもね――。これ、とっても気持ちいいのです。
今なら分かる。お偉方が、自身の自信ある演説を行うのは、人々を酔わせ、そこから生まれる賞賛の嵐を受けて、愉悦に浸るためなんだよ。
国のため? No YUETSU.
それを体験したいからこそ、権力者を目指す人間も少なくはないだろう。だって僕、権力者になりたいと思ってるもの。
「だからね、ピート君じゃないんだよ……」
呆れを通り越えて、恥ずかしがってるのかな?
ごめんなさいね。ロールさん。
体がね――、勝手に動くんです。両手を大きく広げて、向かってくる声を全身で浴びたいんです。
たとえこれがムツ氏に向けられているとしても―――――、だ!
愉悦に浸る僕をよそに、ムツ氏が白鞘から白刃を抜き、観衆に見せている。波状の刃文に青みがかった地金の美しさは、なんとも妖艶だ。
妖艶さに見入る皆さんから声が奪われた。
――――そして、名刀の素晴らしさに抱いた思いが溜まり溜まって爆発。
再び大歓声となって、二度目の声の衝撃が体に激しく届く。
例えるなら、至近距離でドラムを打ち鳴らされた時の衝撃に似てるかな。
「ああ――もっとだ。もっと僕にその声を届けてくれ――――」
「なあ、コイツ大丈夫なのか?」
「う~ん……今回はかなり深くトリップしてるね…………」
ザイオン氏とロールさんが心配というか、可哀想な感じで僕を眺めているみたいだけど、この気持ちの良さを経験しないとむしろ勿体ないと思うんですけど。
どうです? お二人も僕と一緒に――――。
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