拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

文字の大きさ
243 / 604
公務員が発掘冒険とか……

PHASE-03

しおりを挟む
 話が出来ないという事で、ゲイアードさんの多層型共同住宅インスラに移動だ。
 こんな事なら、公園なんか来ないで、僕のとこでよかったな。食堂の上だから移動が楽だった……。
 無駄に歩かせて申し訳ありません。
 
 てなわけで、お宅探訪。
 
 モダンな赤煉瓦造りの外観。
 室内も同じような煉瓦造りだ。
 自然光の入りやすい大きな窓と天窓。快晴の日は明かりいらず。

「素敵な間取りですね」

「どうも」
 アンティークなテーブルである。
 うん……。えっと、同じ公務員ですよね? 官庁と整備局じゃ、いただける給金に差があるのかな? いい品物をお持ちでいらっしゃる。
 
 きっちりした室内だ。如何にもゲイアードさん! って感じがにじみ出ている。
 
 同じ形の眼鏡が、ガラスケースに綺麗に並べられてる。横長の縁なし。インテリなデザインですな。
 普段からゲイアードさんが使用している眼鏡だ。
 数は――六本。現在使用しているのも入れると七本か――――。
 あれかな? 毎日かえてるのかな?

「あまり見回すのはマナー的によくないよ。他ではやらないように」

「ですよね~」
 僕が余所で恥をかく事がないように、優しく注意される。
 でも、琥珀色の瞳と、キラリと輝く眼鏡の相乗効果からくる圧力は抜群だ。
 ついつい、後退りしてしまった……。

「ふぅ――、やっとゆっくり出来る」
 言ってみたいもんだよ。そんな台詞。
 本人からしたら面倒くさいだけなんだろうけどね。
 毎日、周囲でキャアキャアいって見られたら、うんざりして、疲れるんだろうね。

「楽しい出張でよかったね」
「最初は偏見もありましたけど、自分の世界の狭さを痛感しました」
「いい経験だね。後、バレンタインさんは残念だった」
「でも、パーティーが出来ましたからね」
「優勝者の加入。よきパーティーだと祈るよ」
 む、コーヒーの香り。
 テーブルに位置取りをする僕と、キッチンに立つゲイアードさん。
 室内全体がコーヒーの香りに支配される。
 大人の香りである。

「砂糖は?」

「砂糖は多めで、ミルクもあるならお願いしたいんですけど」
 そう返したら、些か渋い顔をされた。中々に表情を変えないから、レアな表情ではある。
 申し訳ないです。未だにお子様の舌を引きずっている僕には、そのままのコーヒーの美味しさを理解出来ません。

「彼女たちは?」

「船までは一緒で、ネーガルで諸事情をすませてから、サージャスさんの故郷であるクリネアに一度、戻るそうです」
 諸事情の内容は、ドレークさんが奥さんに、勇者のパーティーに加わった旨を伝えるためのもの。別れ際のドレークさんの強張った表情から察するに、尻に敷かれているのかな。
 簡単にパーティー入るとか言ってたけど、大丈夫かな~。
 
 クリネアには、ITADAKI-頂-は準優勝で終えたとの結果報告と、優勝者を含めたメンバーで、パーティーを結成した事を伝えるとのこと。
 
 サージャスさんの以前の境遇は、クリネアで親交の深い方々なら理解しているだろうから、パーティーに対して懐疑的になるかもしれないけども、同じ時間を共有したら、新しいパーティーは信用に値すると判断するだろうね。

 ――。

「さて、肝心の用件は?」

「あのですね。ラゴットの事で――――」
 ワギョウに赴く船上でドレークさんから聞いた話をしてみた。
 悪びれもせずに粗悪なタリスマンを売ると言っていた内容を耳にして、ラゴットのあるグルガル交易都市の役所にそれを告発し、感謝までされたという内容までを語った。
 ゲイアードさんは初耳との事だった。
 王都の官庁では、その様な話題が上がらなかった事から、グルガルだけで済ませた可能性もあると考える。
 ラゴットはグルガルでかなりの税収が見込める卸問屋であるから、グルガルの役所はあまり強く出る事が出来なかったのだろうと推測だ。

「狙ったような時事ネタになるが、ラゴットは方針を変えたよ」

「方針を――ですか?」
 僕たちがワギョウに出張していた間に、ラゴットが大陸全土に、タリスマンが欠陥製品であった事での謝罪と、その経緯の報告をつまびらかに書簡によって伝えたそうだ。
 これで、タリスマンの事が公のものとなったそうだ。
 やっぱり、ちゃんとした商いをやってるのかな。
 僕たちが悪い方に考えすぎただけか――。
 元玄人の方々だって、ただ単純に仕事を探した結果、ラゴットに落ち着いただけかもしれないし。
 推測の空回りが否めないな。
 ドレークさんも信用出来ないと言っていたけど、大陸全土に書簡まで出してるならね、猛反しているという説得力がある。

「今までは不良品と気付き、ラゴットまで赴いた者たちにだけ対応していたが、今後は、購入確認が出来た購入者に対して、返金に加えて慰謝料も払うために、大陸全土で謝罪行脚を行うらしい。この応対に、我々サイドの上の方は、ラゴットに対する評価が高いものになった」
「ゲイアードさんはどう思います? 違和感があるとか、何か感じ取ってます?」
「不確定な時点で、私は答えを出したくない性分なんだが――」
「あ、そうですか」
 この人らしいな。
 
「商売としてはやり手ではあるね」

「商売?」
 大損なのに?

「ラゴットはこれを機に、欠陥品であるタリスマンを、タリスマンとして販売する事をせず、消費アイテムとして、消耗品――――品名もそのまま消耗品エクスペンダブルズという商品名で販売を始めたよ」

「はぁ!?」
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

後日譚追加【完結】冤罪で追放された俺、真実の魔法で無実を証明したら手のひら返しの嵐!! でももう遅い、王都ごと見捨てて自由に生きます

なみゆき
ファンタジー
魔王を討ったはずの俺は、冤罪で追放された。 功績は奪われ、婚約は破棄され、裏切り者の烙印を押された。 信じてくれる者は、誰一人いない——そう思っていた。 だが、辺境で出会った古代魔導と、ただ一人俺を信じてくれた彼女が、すべてを変えた。 婚礼と処刑が重なるその日、真実をつきつけ、俺は、王都に“ざまぁ”を叩きつける。 ……でも、もう復讐には興味がない。 俺が欲しかったのは、名誉でも地位でもなく、信じてくれる人だった。 これは、ざまぁの果てに静かな勝利を選んだ、元英雄の物語。

処理中です...