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公務員が発掘冒険とか……
PHASE-03
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話が出来ないという事で、ゲイアードさんの多層型共同住宅に移動だ。
こんな事なら、公園なんか来ないで、僕のとこでよかったな。食堂の上だから移動が楽だった……。
無駄に歩かせて申し訳ありません。
てなわけで、お宅探訪。
モダンな赤煉瓦造りの外観。
室内も同じような煉瓦造りだ。
自然光の入りやすい大きな窓と天窓。快晴の日は明かりいらず。
「素敵な間取りですね」
「どうも」
アンティークなテーブルである。
うん……。えっと、同じ公務員ですよね? 官庁と整備局じゃ、いただける給金に差があるのかな? いい品物をお持ちでいらっしゃる。
きっちりした室内だ。如何にもゲイアードさん! って感じがにじみ出ている。
同じ形の眼鏡が、ガラスケースに綺麗に並べられてる。横長の縁なし。インテリなデザインですな。
普段からゲイアードさんが使用している眼鏡だ。
数は――六本。現在使用しているのも入れると七本か――――。
あれかな? 毎日かえてるのかな?
「あまり見回すのはマナー的によくないよ。他ではやらないように」
「ですよね~」
僕が余所で恥をかく事がないように、優しく注意される。
でも、琥珀色の瞳と、キラリと輝く眼鏡の相乗効果からくる圧力は抜群だ。
ついつい、後退りしてしまった……。
「ふぅ――、やっとゆっくり出来る」
言ってみたいもんだよ。そんな台詞。
本人からしたら面倒くさいだけなんだろうけどね。
毎日、周囲でキャアキャアいって見られたら、うんざりして、疲れるんだろうね。
「楽しい出張でよかったね」
「最初は偏見もありましたけど、自分の世界の狭さを痛感しました」
「いい経験だね。後、バレンタインさんは残念だった」
「でも、パーティーが出来ましたからね」
「優勝者の加入。よきパーティーだと祈るよ」
む、コーヒーの香り。
テーブルに位置取りをする僕と、キッチンに立つゲイアードさん。
室内全体がコーヒーの香りに支配される。
大人の香りである。
「砂糖は?」
「砂糖は多めで、ミルクもあるならお願いしたいんですけど」
そう返したら、些か渋い顔をされた。中々に表情を変えないから、レアな表情ではある。
申し訳ないです。未だにお子様の舌を引きずっている僕には、そのままのコーヒーの美味しさを理解出来ません。
「彼女たちは?」
「船までは一緒で、ネーガルで諸事情をすませてから、サージャスさんの故郷であるクリネアに一度、戻るそうです」
諸事情の内容は、ドレークさんが奥さんに、勇者のパーティーに加わった旨を伝えるためのもの。別れ際のドレークさんの強張った表情から察するに、尻に敷かれているのかな。
簡単にパーティー入るとか言ってたけど、大丈夫かな~。
クリネアには、ITADAKI-頂-は準優勝で終えたとの結果報告と、優勝者を含めたメンバーで、パーティーを結成した事を伝えるとのこと。
サージャスさんの以前の境遇は、クリネアで親交の深い方々なら理解しているだろうから、パーティーに対して懐疑的になるかもしれないけども、同じ時間を共有したら、新しいパーティーは信用に値すると判断するだろうね。
――。
「さて、肝心の用件は?」
「あのですね。ラゴットの事で――――」
ワギョウに赴く船上でドレークさんから聞いた話をしてみた。
悪びれもせずに粗悪なタリスマンを売ると言っていた内容を耳にして、ラゴットのあるグルガル交易都市の役所にそれを告発し、感謝までされたという内容までを語った。
ゲイアードさんは初耳との事だった。
王都の官庁では、その様な話題が上がらなかった事から、グルガルだけで済ませた可能性もあると考える。
ラゴットはグルガルでかなりの税収が見込める卸問屋であるから、グルガルの役所はあまり強く出る事が出来なかったのだろうと推測だ。
「狙ったような時事ネタになるが、ラゴットは方針を変えたよ」
「方針を――ですか?」
僕たちがワギョウに出張していた間に、ラゴットが大陸全土に、タリスマンが欠陥製品であった事での謝罪と、その経緯の報告をつまびらかに書簡によって伝えたそうだ。
これで、タリスマンの事が公のものとなったそうだ。
やっぱり、ちゃんとした商いをやってるのかな。
僕たちが悪い方に考えすぎただけか――。
元玄人の方々だって、ただ単純に仕事を探した結果、ラゴットに落ち着いただけかもしれないし。
推測の空回りが否めないな。
ドレークさんも信用出来ないと言っていたけど、大陸全土に書簡まで出してるならね、猛反しているという説得力がある。
「今までは不良品と気付き、ラゴットまで赴いた者たちにだけ対応していたが、今後は、購入確認が出来た購入者に対して、返金に加えて慰謝料も払うために、大陸全土で謝罪行脚を行うらしい。この応対に、我々サイドの上の方は、ラゴットに対する評価が高いものになった」
「ゲイアードさんはどう思います? 違和感があるとか、何か感じ取ってます?」
「不確定な時点で、私は答えを出したくない性分なんだが――」
「あ、そうですか」
この人らしいな。
「商売としてはやり手ではあるね」
「商売?」
大損なのに?
「ラゴットはこれを機に、欠陥品であるタリスマンを、タリスマンとして販売する事をせず、消費アイテムとして、消耗品――――品名もそのまま消耗品という商品名で販売を始めたよ」
「はぁ!?」
こんな事なら、公園なんか来ないで、僕のとこでよかったな。食堂の上だから移動が楽だった……。
無駄に歩かせて申し訳ありません。
てなわけで、お宅探訪。
モダンな赤煉瓦造りの外観。
室内も同じような煉瓦造りだ。
自然光の入りやすい大きな窓と天窓。快晴の日は明かりいらず。
「素敵な間取りですね」
「どうも」
アンティークなテーブルである。
うん……。えっと、同じ公務員ですよね? 官庁と整備局じゃ、いただける給金に差があるのかな? いい品物をお持ちでいらっしゃる。
きっちりした室内だ。如何にもゲイアードさん! って感じがにじみ出ている。
同じ形の眼鏡が、ガラスケースに綺麗に並べられてる。横長の縁なし。インテリなデザインですな。
普段からゲイアードさんが使用している眼鏡だ。
数は――六本。現在使用しているのも入れると七本か――――。
あれかな? 毎日かえてるのかな?
「あまり見回すのはマナー的によくないよ。他ではやらないように」
「ですよね~」
僕が余所で恥をかく事がないように、優しく注意される。
でも、琥珀色の瞳と、キラリと輝く眼鏡の相乗効果からくる圧力は抜群だ。
ついつい、後退りしてしまった……。
「ふぅ――、やっとゆっくり出来る」
言ってみたいもんだよ。そんな台詞。
本人からしたら面倒くさいだけなんだろうけどね。
毎日、周囲でキャアキャアいって見られたら、うんざりして、疲れるんだろうね。
「楽しい出張でよかったね」
「最初は偏見もありましたけど、自分の世界の狭さを痛感しました」
「いい経験だね。後、バレンタインさんは残念だった」
「でも、パーティーが出来ましたからね」
「優勝者の加入。よきパーティーだと祈るよ」
む、コーヒーの香り。
テーブルに位置取りをする僕と、キッチンに立つゲイアードさん。
室内全体がコーヒーの香りに支配される。
大人の香りである。
「砂糖は?」
「砂糖は多めで、ミルクもあるならお願いしたいんですけど」
そう返したら、些か渋い顔をされた。中々に表情を変えないから、レアな表情ではある。
申し訳ないです。未だにお子様の舌を引きずっている僕には、そのままのコーヒーの美味しさを理解出来ません。
「彼女たちは?」
「船までは一緒で、ネーガルで諸事情をすませてから、サージャスさんの故郷であるクリネアに一度、戻るそうです」
諸事情の内容は、ドレークさんが奥さんに、勇者のパーティーに加わった旨を伝えるためのもの。別れ際のドレークさんの強張った表情から察するに、尻に敷かれているのかな。
簡単にパーティー入るとか言ってたけど、大丈夫かな~。
クリネアには、ITADAKI-頂-は準優勝で終えたとの結果報告と、優勝者を含めたメンバーで、パーティーを結成した事を伝えるとのこと。
サージャスさんの以前の境遇は、クリネアで親交の深い方々なら理解しているだろうから、パーティーに対して懐疑的になるかもしれないけども、同じ時間を共有したら、新しいパーティーは信用に値すると判断するだろうね。
――。
「さて、肝心の用件は?」
「あのですね。ラゴットの事で――――」
ワギョウに赴く船上でドレークさんから聞いた話をしてみた。
悪びれもせずに粗悪なタリスマンを売ると言っていた内容を耳にして、ラゴットのあるグルガル交易都市の役所にそれを告発し、感謝までされたという内容までを語った。
ゲイアードさんは初耳との事だった。
王都の官庁では、その様な話題が上がらなかった事から、グルガルだけで済ませた可能性もあると考える。
ラゴットはグルガルでかなりの税収が見込める卸問屋であるから、グルガルの役所はあまり強く出る事が出来なかったのだろうと推測だ。
「狙ったような時事ネタになるが、ラゴットは方針を変えたよ」
「方針を――ですか?」
僕たちがワギョウに出張していた間に、ラゴットが大陸全土に、タリスマンが欠陥製品であった事での謝罪と、その経緯の報告をつまびらかに書簡によって伝えたそうだ。
これで、タリスマンの事が公のものとなったそうだ。
やっぱり、ちゃんとした商いをやってるのかな。
僕たちが悪い方に考えすぎただけか――。
元玄人の方々だって、ただ単純に仕事を探した結果、ラゴットに落ち着いただけかもしれないし。
推測の空回りが否めないな。
ドレークさんも信用出来ないと言っていたけど、大陸全土に書簡まで出してるならね、猛反しているという説得力がある。
「今までは不良品と気付き、ラゴットまで赴いた者たちにだけ対応していたが、今後は、購入確認が出来た購入者に対して、返金に加えて慰謝料も払うために、大陸全土で謝罪行脚を行うらしい。この応対に、我々サイドの上の方は、ラゴットに対する評価が高いものになった」
「ゲイアードさんはどう思います? 違和感があるとか、何か感じ取ってます?」
「不確定な時点で、私は答えを出したくない性分なんだが――」
「あ、そうですか」
この人らしいな。
「商売としてはやり手ではあるね」
「商売?」
大損なのに?
「ラゴットはこれを機に、欠陥品であるタリスマンを、タリスマンとして販売する事をせず、消費アイテムとして、消耗品――――品名もそのまま消耗品という商品名で販売を始めたよ」
「はぁ!?」
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