拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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変転

PHASE-25

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「ぬうん!」
 ここまで届く剣の横薙ぎで生み出される風。
 アルコンの横一文字の後に、ケーシーさんが姿を消した。別段、その一撃が直撃したわけではない。

「ぬ!?」
 驚いてるな。アルコン。
 僕はそこまで驚いていない。ケーシーさんが見せる芸当。
 以前ワギョウで目にしたものだ。
 ムツ氏と同じ芸当だ。アルコンのロングソードの剣脊に乗ってる。

「何という軽業。ロートルとは思えん」
「だから、それはお宅にも戻ってくる台詞だぞ」
「ニコ殿はおいくつに?」
「五十四だ」
「私はまだ四十一だ! 十三も違うではないか」
 なんのやり取りだよ……。

「ふ、四十過ぎれば、五十も六十もみな平等のおっさんだ」

「私はまだまだ若者だ」
 若者ではないけどな……。
 そもそも歳のことを言い合うようになれば、それは十分におっさんの証拠だろう。若い人間は年齢をいちいち気にしないから。
 ――――って、口から出そうになってしまったけど、ケーシーさんまで敵に回しそうだから、ぐっとこらえた。
 遠距離から、亡者をヘイターから解放してあげる事に集中しよう。
 ――――僕って素人なのに、こういう事を平然と出来るようになってるんだな。

「慣れていくんだな。ボーイ」

「慣れたくないけどね……。あ、左来てるよ」

「あいよ」
 シュパーブ君が亡者の動きを止めて、僕が魔弾。これの繰り返しだ。
 ヴィン海域に赴いた時に、弾をキドさんの所に頼んでおいて本当によかった。
 最初に貰ってた分だけなら、今ごろジリ貧だったよ。

「見事な連携よ」

「共に暮らしている結束力です」
 丁寧に魔王さんに応対している。
 言うほど長い期間を共に過ごしているわけじゃないけどね。

「共に過ごすのはよいが、その目を悪しき事に使っていまいな?」

「ぶっは!? いやいやいや、全くもって。魔王様、シィィィィィィ――――」

「シズクめ。じゃが、あの身持ちの堅いのがの~。ピートもやりよるわ」
 なに? なんなの二人して、戦闘中に何を楽しげに語り合ってるの?

「無駄口が多いな」

「そういうおぬしは口ばかりで、動こうともしないの~」

「私はここにいる同士や、おまえに荷担する者達からすれば普通の存在だ。だがな、それなりの権力は有している。それがウィザースプーン君との差だな」
 権力って言っても、整備局局長って肩書きじゃん。
 国家反逆罪に騒乱罪と、この時点で局長の肩書きもなくなるけどね。
 残るのは、石畳で寝ているごろつき達の元締めみたいな権力だけじゃん。大した権力ですね。

「新人が生意気だね」
 人の心ばかりを覗かないと、不安にでもなるんですかね、貴男は。
 行動が小物臭を漂わせてるよ。リューディアさんの言やよしだな。
 まだ心を覗いているのか、僕が心底で嘲笑しているのが許せないようだ。眉根を寄せてら。

「新人であるが、ボーイはただの新人ではないぞ」
幼龍ドラゴネットの言葉では説得力がないな」
「体験すれば理解できるさ」
「体験か――――。残念だがそれは出来んだろうな」
 ゲイアードさんとリューディアさんが、ヘイターが召喚する亡者の大多数を二人で相手して、ケーシーさんがアルコンに集中している。
 息切れするアルコン。粘ったけどもケーシーさんに軍配が上がりそうだ。そうなれば、ケーシーさんの標的はヘルムへと変わる。
 伝説のアサシンのターゲットになるというのに、ヘルムには余裕がある。
 
 それにここは王都だ、避難が滞りなく進んで行けば、いずれはここで起こっている戦闘に気がついた兵士や、実力ある冒険者さん達が……。
 ――……冒険者さん達…………。

「ふふふ――――」
 笑いやがって! ヘルム! そういう事か!!

「そういう事だよ」
 くそったれめ! このためにギルドに圧力をかけて、クエストを減らしてたわけだ。
 いま現在、王都にどれくらいの冒険者がいるのか。しかも、実力者となればそうはいないぞ。皆、報酬のいいクエストを、王都以外で受けてるだろうから、戦い慣れしている人が少ない状況だ。
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