拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-27

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「魔王は理解したようだ。答えを口にするまでもないな。なら、こちらから問いかけよう。ウィザースプーン君。整備局員の君なら分かるだろうが、勤労君シリーズは何が元になっている」
 そりゃ、対魔王軍戦闘用プロトタイプゴーレムの零號君だよ。
 生物への被害を出さないように、戦闘能力をオミットして造られたのが勤労君シリーズだ。

「零號君などと、馬鹿な名前をつけられているが、それは偽りだ。そもそも零號君なるものは誰が造り出した?」
 喋らなくても、心を読んでくれるから、口を開かなくていいのは便利だな。
 ――――製作者はタモンさんだろ?

「違う。第二研究所主任のタモン・カラキリは、伝承からヒントを得て、勤労君シリーズを製作したんだ。戦闘能力をオミットにしたのは本当だがね。愚かな選択だ。魔王を討伐するためにも、戦闘能力は標準装備にしておけばいいものを。まあ、これはデータを書き換えればいいだけだが」
 伝承からヒント?
 知っているであろう魔王さんに目を向ければ、歯を軋らせて、強気な表情を崩して、額から顎にかけて汗を伝わせている。
 ヘルムの発言が虚言ではない証拠ともとれるな。
 となれば、偽りと言われた零號君は存在しないのか? でも、誰が造り出したと問うてきたからな。存在するんだろう。
 だからこそ伝承にもなってるんだろうし。
 それに、ダイアンとのやり取りから推理すれば、ダイアンはいま、零號君の所にいるってことになる。
 で――――、魔王さんのこの表情。
 名が偽りであろうとも、零號君は存在する。

「素晴らしいぞウィザースプーン君。やはり部下に欲しいな」
 いや結構。

「隣に立つ魔王は不愉快なようだ。口にしたくもないようだな。よろしい。私が教えてあげよう」
 本日一番の自信に満ちた笑みだな。

「零號君。真名は捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデ。そこで苛立つ魔王が造りだした最強の兵仗だ。後付けの設定で、伝承には対魔王軍用として、零號君は人の手によって造られたとされている。対邪神の兵仗である捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデの存在を隠すためにな」
 は? 兵仗って、ヘルムがしてる指輪や、剣とか槍のような利器じゃないの? 
 ゴーレムなら、兵器の方が表現としてあってるような……。

「まったくだよ。君のお隣は、馬鹿げた物を造り出した。それも兵仗扱いで。神とは思えん愚かさだ。戦女神の脳は筋肉で出来ているのだろうか? 兄同様やはり愚かな――――」

「黙れぃぃぃぃぃぃぃ!」
 耳がキーンってなるくらいの大音声。
 怒れる原因は、一度目と同様の理由なんだろう。

「屈辱じゃぞ。アレと同じにするでない! 消滅するよりも辛い発言じゃ。しかも二度目! 看過できんぞ」
 地団駄を踏んで憤慨する姿は、まんまレインちゃんなんだけどな。
 怒る理由も違うでしょ。ここは、捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデなる兵仗が向こうに渡ったことに怒るべきでしょ。
 魔王さんて、精神年齢はその姿の通りなんじゃないのか?

「まあ、愚かしいが故に、私は力を得ることが出来たんだがな」

「ありえんぞ。捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデはカグラが守護しておる」

「先ほども言ったが、忠誠心があだとなる連中だよ。炎竜王とその配下は」
 ンダガランさんの焦燥。憶測でカグラさんの事を発した時のヘルムの僕に対しての大声。
 そして、カグラさんは邪神が復活した時に兵仗のことを気にしていた。で、単独で行方を追跡していたみたいだし。
 今回のヘルムの行動で、繋がっていくけども、信じられないな事がある。

「まさか、カグラさんを倒した?」

「その――――まさかだよ」
 いやいや、ありえない。
 カグラさんの実力は目にしたことないけど、シズクさんのお姉さんだ。実力は同等と考えていい。
 キドさんとちびっ子が二人して唱えた戦略規模の大魔法レベルを、テンションが上がっただけで、詠唱破棄スペルキャンセルで極寒の世界を作りだした方の姉だ。
 
 サージャスさんを圧倒した不死王さんや、キドさん、ちびっ子が心底恐れる方だぞ。
 
 ダイアン達が強いとしても、サージャスさんには勝てなかった。そんな連中がカグラさんを倒せるなんて考えられない。
 実力差は天壌の差だ。
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