拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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PHASE-14

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「今度こそ、私が確実にとどめを――――」
 一族と恋人を殺められた時には出来なかった事を今度こそはと、自らに言い聞かせているようだ。

「自分を追い込むなよ。闇に呑まれる」

「分かってます」
 そう返すと、側に立つリューディアさんにも目を向ける。それだけで、柔和になるゲイアードさん。
 リューディアさんは鞘だな。
 抜き身になった刃が、怒りに支配されたゲイアードさんなら。誰も斬る事のないように包んでくれる鞘がリューディアさんだ。
 
 それを見て、諭すケーシーさんも顔がほころんでいる。

 二人は昔からの知り合いなのかな?
 僕と二人でケーシーさんの店に行った時は、初めてみたいな感じだったけど、実際は初めてじゃなかったんだな。
 お互いの立場上、無関係を装っていたのかも知れない。

「――――そっか!」

「なんだピート?」

「いや、ケーシーさんのお店でゲイアードさんに好物を出してましたけど、そりゃ面識あったら好物も知ってるよなって」
 ライチとかいう果物だったよな。

「よく見てるし、よく覚えてるもんだ」

「ピート君の記憶力とめざとさは素晴らしいですね」
 二人して褒めてくれるけど、めざといってのは、褒め言葉として受け取っていいんですよね? ゲイアードさん……。
 
 ――――弟を取り逃した後は、共に戦った方々と再会を約束して別れ、霊体となったリューディアさんと共に王都を訪れ、王様に謁見。
 ノイエ少年の一族を知っていた王様は、名を変えさせ、王都で庇護することにしたそうだ。
 まずは心のケアを第一に考えてくれたとの事。
 死霊魔術ネクロマンシーに関しても一切聞こうとせず、その力を求めもしなかった。
 この事だけで、ゲイアードさんは王様に対して強い信頼をもったそうだ。
 ケーシーさんとの出会いは王城。互いの実力を見ただけで悟り、その後は親交を深めていった。

「じゃあ、そのケーシーさんはなぜに名前を変えないといけなかったんですか?」

「ゲイアードが話したなら俺も話さないといけないか」
 ここで、二人の過去を聞けるのはありがたい。
 ヘルムとのやりとりで色々と驚かせてもらったからね。
 
 ケーシーさん事、ニコ・グッドスピード。
 伝説のアサシンが、お食事処の店主に至る経緯なんて、誰もが知りたいよ。
 
 とりあえず、話を円滑にするために、サージャスさん達にケーシーさんの過去を伝えれば、まあ驚く驚く。
 大陸の生まれでもないムツ氏ですら知っているんだからね。
 さきほど、気配を感じ取らせることなく自分たちの前に現れたケーシーさんに得心がいったと頷いていた。
 一番の驚きは、お馬鹿なザイオン氏が知っていた事だ。

「――――俺も王の好意で名を変えて生活を送らせてもらっていた」

「名を変える必要ってあったんですか?」
 英雄なんだから、変える必要がないと思うんだけど。

「――――一緒に演劇を見たろ」

「はい」

「あれはよく出来ているんだよ。忠実で当然なんだけどな」
 あの演劇は、王城で歴史書を書く人物によって手がけられたものだそうで、前王様の歴史を分かりやすく民に伝えるために演劇としたとのことだ。
 
 演劇の中で魔王さんを演じていたのが女性だったのも、魔王さんが戦女神であるからってことを知っていたからだな。
 僕って、そっち方向を全くもって勉強していなかったと痛感する。
 確かロールさんは、邪神が復活する時に、魔王さんの名前を口にしたよな。ちゃんとそういう歴史を勉強してたって事なんだろう。
 もしくは、プライベートではカグラさん達と買い物なんかを王都で楽しんでいるとも言っていたし、その時に聞かせてもらったのかな。

「演劇ではアルテリア王が亡くなられるところまでだったが、あの後からだ、俺たちが名前を変えたのは」
 会談を終えた後、ケーシーさん事ニコさん。そして勇者であるティアナさん。
 ティアナさんは勇者然とした清らかな心を持った人物だったそうで、そこで魔王さんの目にとまった。
 魔王さん、戦女神の時に作った兵仗が原因で、力を大きく失っていて、その兵仗も大半が戻ってきておらず、現状の力を少しでも留めておかないと、消滅の恐れがあったとの事。
 
 ――……本当に、後先考えてないのは、兄である邪神と同レベルじゃないか……。

 ――――で、勇者として高い魔力と実力を有したティアナさんに、魔王さんは願い出たそうだ。
 力を維持したいから、ティアナさんの体に宿らせてほしいと――――。
 別段、迷惑をかけないからと、私生活に支障は出ないからと、借宿として体を提供してほしいと頭を下げた魔王さん。
 対してティアナさんは、二つ返事で了承したそうだ。
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