拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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王都潜入

PHASE-10

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「ボーイ。魔弾が使えない以上、下がっとけ」
 と、言いつつ、頼りになる愛玩生物が亡者に向かって息を吐く。
 地面を凍結させるものより強力なブレス――――。
 こちらに迫ってきた亡者をカチコチだ。

「ふん!」
 いただくとばかりに、固まった亡者を強靱な爪で切り裂くジャジャイさん。
 獅子のしなやかさと、強烈な力によって、氷は粉々。中に閉じ込められた亡者は霧散。
 物理攻撃だけども、凍らせると倒せるのか? と、手をみれば、青白い光を纏っている。

 更に後列の亡者が迫れば、アクシャイさんがシュパーブ君に負けじと、真逆の息を吹きかける。
 範囲も広く、直接あたってなくても、熱いと感じる熱が体に伝わってくる。
 接近を許しても、手に青白い光を纏わせた拳を百人長が亡者に打ち込む。
 拳打は、空気の壁を打ち砕きそうなもの。視覚に直接つたえてくる迫力だ。
 
 ジャジャイさんもそうだったし、百人長もそう。ロウさん達の上役だもの。出来て当然なんだな。手にチャクラを纏って戦うのを当たり前にこなしている。
 近づく亡者をばったばったと霧散させていく。
 百人長の一撃が破壊力抜群のスレッジハンマーなら、ジャジャイさんのは、そこらの利器では太刀打ち出来ない鋭利な刃物だ。

「流石は元ガチ勢だ」
 感心するシュパーブ君。
 そうだった――――。忘れてたよ。この方々も元はガチ勢だったな。
 ゲンジ砂漠はヴィン海域同様に、以前は大魔法が使い放題。
 そんな中で戦い続けてたんだ。強くて当然なんだよな。

「つえ~。けどまあ、こっちは千体いるからな。いずれは押し切る。そっちは三十くらいだし。魔法も使えねえし」

「なら――――」
 のほほんと構えていたところに、ドレークさんが斧の側面を使ってグリーを襲う。
 かろうじて躱してるってのは、顔に伝う冷や汗で理解できた。
 壁が大きく抉れる。当たってれば一撃で失神だな。

「――元を断てばいいだけだよな」

「調子に乗るなよ! ハゲ!」

「剃ってんだよ! 垂れ目!」
 咄嗟の反撃は火球ファイヤーボール
 大きさは通常サイズよりやや大きいといったところ。
 基本魔法の威力で術者の実力は分かるもの。
 やっぱりこいつは、サージャスさんとパーティーを組めるほどの実力はないな。
 ドレークさん。魔法は使えずともこの程度ならと、容易く斧で打ち消した。

「お前、それでも元サージャスのパーティーかよ。いくら何でも手応えがないぞ」

「なめんなよ」

「いや、正論だろう」
 同調するレンショウが、棍にてドレークさんの動きを制する。
 側面からの早い突きを身をよじって避けると、そのままグリーと距離をとる。

「巨躯であるのにしなやかな動きだ」

「おい、正論って何だよ」

「言ったとおりだ」
 グリーへすげなく返し、ドレークさんを攻め立てる。
 数合の打ち合い。
 徐々にだけど、ドレークさんが押されてきている。グリーとちがって、レンショウってやつは強いな。

「やろう!」
 劣勢を打破しようと、大きく振り上げるドレークさん。
 一撃に全身全霊をかけるといったところ。
 振り下ろすと同時に、レンショウの後方をとる。大振りはフェイントだったようだ。

「見え透いている」

「ぐ……」
 背を向けたまま棍を背後に向かって突く。ドレークさんの胸部に直撃。
 胸当で守られたようだけど、ダメージを受けたのか、膝を突く。
 ワギョウでムツ氏との激闘を目にしているだけあって、こうやって簡単に膝を突く姿に驚いてしまった。

「先にも述べたが、巨躯であるのにいい動きだ」
「どうも」
「で、どうだ? 鋭さはあっても、重くない一撃の威力は?」
「根に持つタイプだな」
「小心者でね。話を戻すが、その敏捷さ、本来ならこの上をいく高速戦が出来るんだろう? 疾風脚ボルゾイなどを使われていれば、こちらは苦戦していたな」
「残念。魔法は使えねえんだ。で、いま正に使えればと痛感している」
「そうか――――まあどのみちここでは使えない。俺たち以外は。炎熱蜷局バーンバインド
 ドレークさんの体に、地面から発生した、大縄状の炎が巻き付く。

「あちぃぃぃぃぃぃぃ!」
 焼かれる体から苦痛の声が上がる。

「いいざまだぜ」
 自分もとばかりに、動きを封じられたドレークさんに対して、グリーがワンドを向ける。
 阻害しようと僕が銃口を向けた時、ザイオン氏がワンドに向かって飛びかかり、ムツ氏がドレークさんを拘束する炎の大綱を鞘から走らせた刀で両断。

「良い刀だ」
「最上業物だ」
「倒してからいただく」
「それは無理な相談だな」
 レンショウの前に立ちふさがるムツ氏。

「すまねえ」
 と、礼を述べるドレークさん。

「先ほどは、鋭い突きであっても、重さがない一撃より守っていただきましたからね」
 さらっと、レンショウに対して毒を吐くムツ氏。
 
 反対側では、
「卑怯な戦い方だね!」

「効率の良い戦い方なんだよ。小麦色の子猫ちゃん」

「気持ち悪い! エロい垂れ目め!」
 ブンディ・ダガーでグリーに攻撃を打ち込んでいくザイオン氏。
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