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レコンキスタ
PHASE-55
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『あのさ!』
ロールの続けていた行為に対して、ついに限界が来たのか、シズクはフサルクを凍らせつつ、ロールに対して食指を向ける。全体にその動作が映し出された。
何でしょうかと、応えれば、
『さっきからくっつきすぎ!』
自分が愛する男が、他の女に密着されているのは我慢できないようである。
ドレッドノートが感じたシズクの不機嫌さの原因はこれだった。
ピートも戦いに集中していたから気がつかなかったが、指摘を受けて、次第に自分の腕に伝わる幸せな柔らかさに鼻の穴が膨らむ。
「これはすみません」
指摘を受けてロールはすぐに離れる。
これまで、この感触を堪能できていなかった事に、不覚! と、地上に拳を見舞いたい気持ちに支配されるピート。
『流石はピートさん』
全身がすでに鮮血に染まっているバロニアが、坊主頭からそれを滴らせながら称えると、
『ああ、常にあのような美人を側に置いている。英雄の証だな』
ナイゼルが続く。
このまま話が進んでいけば変な事になるのでは? と、一抹の不安がよぎるピート。
――……はたして正にその通りとなる。
『流石は氷竜王を自分の女にしただけはある』
戦場では背筋が凍りつくような光景が、ヴィン海域の勢力参戦で増えたが、それ以上に凍りつくようなバロニアの発言に、頭を抱えてしまう。
「ほほう。やるなピート。どおりでシズクの奴がお前に熱心なわけじゃ。すでに女にされていたのか」
隣の魔王が恐ろしい勘違いをすれば、
「ピート君……」
常闇の住人ですか? と、問いたいくらいに暗さを帯びた声。
声の主は傍らに立つロールであった。
背筋どころか全身が凍りつきそうになる。
『ピートさん! どういうことですか!!』
ダイアンと戦いつつも、興奮気味に映像越しに問うてきたのはサージャス。
原因となっているシズクに弁解をしてもらおうと考えても、これを理由にして、既成事実を作ろうとしているのか、照れている素振りを見せていた。
『君はヴィン海域で随分と成長したんだね。いろんな意味で』
ヘルムの嘆息まじりな発言が、ピートの焦りに拍車をかける。
「ねえ、ピート君」
「違いますよ。僕は何もしてないです。押し倒しただけです」
「押し倒したんだ」
「押し倒したと言っても、足を滑らせて」
「ふ~ん」
うつむいたロールからは恐怖が伝わる。
余計なことをヴィン海域の面々が言ってくれたおかげで、自分がたらしみたいに思われてしまっている。
「本当……ですから」
「…………」
まずい雰囲気だと、そそくさとその場を離れる魔王とシュパーブ。
取り残されたピートは周りを見るが、王、大公を始め、ニーズィーと、誰も目を合わせてくれない。
ロールから溢れるヤバイ空気に触れたくないと考えているようである。
「で、言い訳はすんだ?」
冷たく刺さる声に、半泣きになりながら、
「本当に何も無かったんですよ~。僕は女性とそんな経験したことないです」
全力で真実を伝えるために、一度、呼吸を整えると、
『僕は童貞ですぅぅぅぅぅぅぅ! 新品なんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
伝播によって、半泣きの状態で映し出されたピート。
彼が口にした発言で、未経験だというのが知れ渡った。
同時に、男性陣から、ああ……と、同情めいた声が上がり。その後、一時のしじまが全体を支配した。
『そうだったんですか。まあ、気にしなくていいですよ。周りには美人ばかり。いつでもピートさんなら童貞とおさらばですよ』
全くもって嬉しくないバロニアの擁護に、足から崩れて落ち込むピート。
十九歳にとって、童貞を公言することは死刑宣告にも等しい。
「あの、なんかごめんね」
目の前で崩れ落ちたピートに対して、真実というのを理解したロールが焦る。
「もういいです……。こんな世界。こんな僕に優しくない世界、どうなってもいい」
今度はピートが常闇の住人となった。
『いや、本当にもういいよ。くだらん』
ヘルムがピートの声を拾い、投げ捨てる。
ロールの続けていた行為に対して、ついに限界が来たのか、シズクはフサルクを凍らせつつ、ロールに対して食指を向ける。全体にその動作が映し出された。
何でしょうかと、応えれば、
『さっきからくっつきすぎ!』
自分が愛する男が、他の女に密着されているのは我慢できないようである。
ドレッドノートが感じたシズクの不機嫌さの原因はこれだった。
ピートも戦いに集中していたから気がつかなかったが、指摘を受けて、次第に自分の腕に伝わる幸せな柔らかさに鼻の穴が膨らむ。
「これはすみません」
指摘を受けてロールはすぐに離れる。
これまで、この感触を堪能できていなかった事に、不覚! と、地上に拳を見舞いたい気持ちに支配されるピート。
『流石はピートさん』
全身がすでに鮮血に染まっているバロニアが、坊主頭からそれを滴らせながら称えると、
『ああ、常にあのような美人を側に置いている。英雄の証だな』
ナイゼルが続く。
このまま話が進んでいけば変な事になるのでは? と、一抹の不安がよぎるピート。
――……はたして正にその通りとなる。
『流石は氷竜王を自分の女にしただけはある』
戦場では背筋が凍りつくような光景が、ヴィン海域の勢力参戦で増えたが、それ以上に凍りつくようなバロニアの発言に、頭を抱えてしまう。
「ほほう。やるなピート。どおりでシズクの奴がお前に熱心なわけじゃ。すでに女にされていたのか」
隣の魔王が恐ろしい勘違いをすれば、
「ピート君……」
常闇の住人ですか? と、問いたいくらいに暗さを帯びた声。
声の主は傍らに立つロールであった。
背筋どころか全身が凍りつきそうになる。
『ピートさん! どういうことですか!!』
ダイアンと戦いつつも、興奮気味に映像越しに問うてきたのはサージャス。
原因となっているシズクに弁解をしてもらおうと考えても、これを理由にして、既成事実を作ろうとしているのか、照れている素振りを見せていた。
『君はヴィン海域で随分と成長したんだね。いろんな意味で』
ヘルムの嘆息まじりな発言が、ピートの焦りに拍車をかける。
「ねえ、ピート君」
「違いますよ。僕は何もしてないです。押し倒しただけです」
「押し倒したんだ」
「押し倒したと言っても、足を滑らせて」
「ふ~ん」
うつむいたロールからは恐怖が伝わる。
余計なことをヴィン海域の面々が言ってくれたおかげで、自分がたらしみたいに思われてしまっている。
「本当……ですから」
「…………」
まずい雰囲気だと、そそくさとその場を離れる魔王とシュパーブ。
取り残されたピートは周りを見るが、王、大公を始め、ニーズィーと、誰も目を合わせてくれない。
ロールから溢れるヤバイ空気に触れたくないと考えているようである。
「で、言い訳はすんだ?」
冷たく刺さる声に、半泣きになりながら、
「本当に何も無かったんですよ~。僕は女性とそんな経験したことないです」
全力で真実を伝えるために、一度、呼吸を整えると、
『僕は童貞ですぅぅぅぅぅぅぅ! 新品なんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!』
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彼が口にした発言で、未経験だというのが知れ渡った。
同時に、男性陣から、ああ……と、同情めいた声が上がり。その後、一時のしじまが全体を支配した。
『そうだったんですか。まあ、気にしなくていいですよ。周りには美人ばかり。いつでもピートさんなら童貞とおさらばですよ』
全くもって嬉しくないバロニアの擁護に、足から崩れて落ち込むピート。
十九歳にとって、童貞を公言することは死刑宣告にも等しい。
「あの、なんかごめんね」
目の前で崩れ落ちたピートに対して、真実というのを理解したロールが焦る。
「もういいです……。こんな世界。こんな僕に優しくない世界、どうなってもいい」
今度はピートが常闇の住人となった。
『いや、本当にもういいよ。くだらん』
ヘルムがピートの声を拾い、投げ捨てる。
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