拝啓、あなた方が荒らした大地を修復しているのは……僕たちです!

FOX4

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レコンキスタ

PHASE-94

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「ええい! これほどの事をしておいて被害者を演じよって! 誰ぞ打擲棒でも持ってまいれ!」
「はいはい、もういいですから。完全にこっちが悪く見えますから」
「ピート! 妾を軽々しく持つでない! 馴れ馴れしいぞ!」
「じゃあ、こめかみに――――」
「まったく! ピートはまったく!」
 素直に下がってくれた。

「投降してください」

「この状況では抗う事は出来ないよ。ウィザースプーン君」
 あら、ちびっ子魔王より素直じゃないか。
 最後くらいは潔くってやつか。

「まずはその指輪を渡してもらえれば」

「ああ、もう不要だ。欲しければくれてやる」
 外せば、何を血迷ったのか空高く投げやがった。
 大切な兵仗である、一同が上を見る。

「フサルク!」
 ヘルムの声にはたと正面を向けば、取り囲んでいた皆さんがフサルクによって蹴散らされていた。
 流石のドレークさんでもフサルクには太刀打ち出来ないようで、大きな体が宙を舞う。

「まだ動くのか」
 捷利嚮導の乙女ブリュンヒルデが停止していても、内部に残った魔力で動いているようだ。
 軍馬グラーネがかすかに動いているのと同じか……。

「ピート様」
 ここでシズクさんが僕の前に立ってくれる。

「いや、問題はない」
 カグラさんも僕の傍らで構えてくれていた。
 でもすぐに構えをとく。
 言うように、問題はないようだ。
 最後の力を絞り出しての可動だったのか、ドレークさん達を吹き飛ばせば、動きは停止した。

「「それよりも」」
 姉妹が口を揃える視線の先―――――、
「あ!」
 あのおっさん、ここから逃げ出すためにフサルクを!
 素直というのは撤回だ。なんて往生際のわるい……。
 ここからどうやって逃げるつもりなのか。
 それにしても――――、足おっそ!
 必至になって走り、時折こちらを振り向いては、追っ手がいるかを確認している姿には、呆れるより悲しみの感情の方が占めるね……。

「まったく」
 カグラさんの手が炎に包まれる。
 全裸にされている恥辱も受けているからね。
 でも、命を奪う事は止めてほしいので、僕が止める。

「どうしたって逃げられませんから」
 素直に手の炎を消してくれた。素直なところが好感もてる。もともと礼儀正しい方だけど。
 
 冒険者の方々からしたら、牛歩もいいところ。
 一足飛びで追いつくからか、懸命に走る初老を追いかける事もなく、どうするつもりなのか興味があるようで傾注している。
 その間に、
「よ~し戻った」
 しっかりと魔王さんは指輪をキャッチしていて、それを体内に取り込んでいた。

「よしよし!」
 更に魔力が高まったようで、指をわきわきとしながら喜んでおられる。

 さてと――――、ただ単に必死に逃げるだけみたいだな。

「魔王さんも喜んでいる事だし、そろそろあの人を捕らえな――――」

「待て! そこの昔者!」
 あん? なんだ? 崩れた王城の影から誰か出てきた。
 まあ、声で整備長ってのは分かってるんだけども、なんであんな所から出てきたんだ? いないと思ったら、あそこに隠れてたのか?

「まったく、漏れそうだったから人気の無いところで用を足してたのによ。まさか俺に近づいてくるなんてな」
 王城跡とはいえ、王城だから。そんなところで用を足すなよ……。それでも整備局の現場責任者かよ。

「ニーズィー君!」

「局長、いや――――元局長」
 ――――なんでそんなに台詞口調なの? 役を演じているかのような語り方と、肩で風切る姿はなに? 
 普段のやる気のない猫背スタイルじゃないじゃないか。

 整った歩幅に、背筋が伸びた姿勢でゆっくりとヘルムの前に立つ整備長。
 続いての動作は、煙草を口にくわえて火をつけ紫煙を燻らせる。
 口元に手が密着してるけど、手は洗ったのか気になるところだな。
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