とある、勇者の苦悩と哀惜

たまのゆ

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見た目で判断してはいけません

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まあ、世間一般での王家の姫様のイメージは、清楚で可憐な乙女だろうと思うのですよ。
確かに、この国の姫様もそれはそう麗しい乙女デスヨ。
(動いたり喋ったりさえしなければね。)
少々のお転婆くらいならまだまだ可愛いと思うし、許容範囲だろうと思う。

ただ、限度ってモノはあるのは間違いないだろう?

ウチの姫様の傍若無人さは限度ってモノを打ち壊すものがある。

まず、姫様はひとの話しを聞かないし、すべてにおいて自分の事を優先する。
何かをしたいと思えば、相手を無理やり何時間でもお構い無しに、拘束し続ける。
相手に休息など与えるつもりは欠片もない。
(もちろん姫様自身の分のお茶やお菓子は忘れない。)

気に入ったモノにはとことん執着するが、興味の無いものには一切の感心を持たない。
(お気に入りのモノはたとえゴミでも触る事さえ許さないので、居室は散らかり放題である。)

僅かでも気に入らない事やものがあるとひたすら辺りに八つ当たりを繰り返す。
(身近な世話を担当するメイド達は、いつも生傷が絶えずとても痛々しい。)

勝手に城を抜け出すのは当たり前だと思っている。
その上で、無銭飲食、住居不法侵入、万引き=窃盗、強盗、恐喝、覗きに盗聴、薬物使用等などやってはいけない犯罪行為の数々を片っぱしから興味本意の面白半分でやらかしているのだ。

そして、少しも悪い事だとは思っていない。
全てのことは姫だから許されると思っているらしいし、実際に姫様が咎められる事は無かった。

善悪の判断なぞ姫様には全く関係ない事のようだ。

権力者の前で俺たちは哀しいくらい無力である。
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