この救われない世界で

NigerCamelia

文字の大きさ
2 / 2
I believe in your heart.

S prologue 『そうして見た世界はあまりに不可思議だった』

しおりを挟む
前話から続いていると解釈し)(二)

 村、と自分で言うのもおかしいと思ったが、確かに残って居たのは村だった。いや、残っている、と言うのも十分おかしい。未曾有の規模の災禍に襲われて居ながらも、その村は『綺麗』に残って居た上、人々から微塵も絶望を感じなかった。宿と呼ばれる木造建築で多少年季の入る施設に案内される過程で、行動を共にした欧米顔の四人組と様々な会話を交わしたが、流星群に焼かれゆく様を知らぬと言う上、携帯電話、卓上演算処理装置パーソナルコンピューター、現代生活に欠かせない物ほとんどが通じなかった。前記の二つは持って居た為、リュックサックから取り出し見せた結果、大きく驚かれた。何だこの金属板は。これは何らかの兵器なのか。と見当違いの解釈をしているところ、別名で存在している、と言うこともないようだ。
 次に驚いたのが、生活レベルの低さだ。水道のない厠、つまり肥料などに糞を利用するような、そう、あたかも江戸日本かのようなもの。そして、近未来的(と、この場合視点を変えれば言えるであろう)生活をしてきた彼らが、それに不満を見せずに利用できている。水も態々井戸から汲み、生活に用いている。その上、村のほとんどの家が農業に携わり、肉などは高級な嗜好品とされ、狩猟する者らも少なく、その狩猟者らは猟銃ではなく弓、剣を使っているらしい。正直直接見るまではあまりに信じられないことであった。
 少年は宿の一室。その寝台に寝転がっているが、とんでもなく硬い。中身が気になったが、平らな石か何かとし思えない。昼食を摂らせてもらったが、それも淡白なもので、米に、調味料、香辛料などは存在すら知られて居なかった。ただ、胡椒は知っているらしい、が、気候と立地の問題もあって栽培できず、手に入れることができないのだとか。史実を実体験しているかのような気分だ。
 ご馳走様。食物への祈りを捧げれば、少し外でも歩いてみるかと思い立つ。宿の女将(とでも言おうか)にお礼を告げれば早々に外へと出た。外気は今までとは対称的。思い切り吸おうとも発作が起こることない、澄み切った空気。ただその場に佇むだけで、心が洗われていく様。と、このまま突っ立って居ても迷惑であるし、仕様もないので露店を周ってみる。聞きなれない名前の串焼き。見たことのない色彩を魅せる宝石。そのどれもがこんな田舎で販売されるようなものではなかった。しばらく歩き回っていると、見知った人影。この村まで案内してくれた上、お金を融通してくれた人だ。佳奈ー! と女染みた名前を大声で呼びながらこちらに走ってくれば、いきなり抱きついてきた。
「え、いきなりどうしたんですか!」問えば、だらしない笑みを浮かべて、「可愛くてつい……。」などと、第一印象、そう、最初感じた凛々しさからかけ離れた行動を取るものだから、初見でなくともやはり戸惑う。彼女は男児愛好者、俗に云うショタコンであるらしく、少年は自分を十九歳と言い張るも、その幼く、中性的な見た目が、彼女の好みであったらしく、それ以降頻繁に身体接触ボディタッチをするようになった。恩人であるため、下手に断れないのが痛いところだ。それに彼女の服装は少々露出が多く、こうもベタベタされると目に毒だ。葛藤が渦巻くも、拒否はできないだろう、と彼は諦め、為すが侭にされる。しばらくすると、満足したのか体を離してくれた。
「そういえば何をして居たの?」何を、と言われても見たままなのだが……。「部屋に篭っているのがあまり好きではなかったので、見た通り、露店巡りです。中々面白いですよ。」答えると、彼女は含み笑いをすれば、「じゃあ、私も混ざっていいかな?」と腕を絡ませる。一人で巡るのも虚しいなと思った少年は快諾した。
「ありがと。それにしても本当に謎よねえ。」
「謎、ですか。それは自分のことに関しての、ですよね?」
「うん。神々の存在を前提として成り立つ世界。発達した文明。世界を焼き払った流星群。その何もかもを、私たちは知らない。」彼女は頷く。
「やはり、おかしいですよね。神々の存在を前提として成り立つ世界だなんて。」
 そう、そもそもがおかしい。元いた場所ならば異端な思想とされていただろうが、これに関しては前々から考えていた。個人的な考えだが、神という存在は、飽くまで人々が必要としたから産み出した、帳尻合わせの虚数存在だ。それがなぜ超常の力を振るい、人々を支え続けてきた? 彼らは決して人のみを優遇するべき存在ではなかったはずだ。もしも彼らが我々の考えるような存在であったとして、それは人のみならず、植物動物、あらゆるの産みの親であるのだから、命の循環に手を出すことなく、見守る、傍観すべきであったはずなのだ。
「だって、私たちは神を崇めることはあっても、直接言葉を頂いたり、その上手伝ってもらったりだなんて、想像もつかないし、ありえないもの。」肩を竦めて見せた。
「まあ、きっと答えは出ないでしょうけどね。謎、といえばこちらこそ貴方がたは謎、と云うやつなのですが、それも多分、まだわからないのでしょう。」
 すると唐突に、エイルは少年の口に串焼きをぶち込んだ。
「んぐっ!?」思わず声をあげると、彼女は「そんな難しい話はいいの。」と言い出しっぺであるのに嘯いてみせた。肉の名称に疑問を抱いたが、これは美味しい。先程の宿の食事とは、天地ほどの差を感じる。
 もぐもぐと咀嚼をすれば、エイルは思い出したかのように喋り出す。
「そういえば、身分証を発行してなかったね。」

—————————

こんにちは。こんばんは。そして初めまして。黒椿です。プロローグはもう少し続きます。恋愛フラグ?残念。ただの性癖です。

……焼肉食べたい。
しおりを挟む
感想 1

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(1件)

2017.04.09 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2017.04.09 NigerCamelia

感想ありがとうございます。これからの活動の励みになりました。

解除

あなたにおすすめの小説

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。