俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

文字の大きさ
60 / 345
四話 追い駆ける者、待つ者

お前は本当にそれでいいのか

しおりを挟む
 思わず「な……っ!」と俺は大きな声を上げ、才明を凝視した。

「ま、待ってくれ……その、俺を抱く気、なのか?」

「ええ。華候焔殿を虜にする体、とても興味があります」

「まったくいいものではないと思う。無骨な男が喘ぐだけなんだぞ? もっと他にいい褒美を考えよう――」

「ただの男ならば興は乗りませんが、誠人様なら話は別です。鍛えられた見事な肢体に凛々しい顔立ち……既に華候焔殿を知っているとは思えぬ清純さが、男を咥えた時にどこまで淫らになるか……たまりませんねえ」

 ただの冗談……じゃない。才明の視線が色めき立っている。

 本気で俺の体を褒美にしたがっていることが分かり、俺は思わず呆然とする。
 そんな俺たちのやり取りを見ていた華候焔は、フッ、と鼻で笑いながらも俺の腰に手を回し、無言で逃げられんぞと伝えてきた。

「良いだろう、才明。もしお前が軍師としての役割をこなし、ちゃんと成果を出すならば、報酬の件を認めてやろう」

 華候焔っ、俺を無視して勝手に決めないでくれ……っ!

 動揺で全身から血の気が引いてしまい、すぐ言葉が出ない俺に変わり、静観していた白澤が俺の心を代弁してくれた。

「ワタシが何も言わないと思って、勝手なこと決めないで下さいー! 華候焔っ、アナタ、誠人サマをなんだと思ってるんですかー! そもそも、華候焔への褒美だって誠人サマが我慢して受け入れているからワタシも我慢していますが、ぶっちゃけ認めてませんからー!」

「お前に認めてもらう必要はないからな、毛玉。誠人様が納得した上でのことだ。とやかく言われる筋合いはないぞ?」

「で、でも、アナタはそれでいいんですかー? 誠人様を才明に譲るなんて……」

「譲る? 違うな毛玉。譲る気なんか毛頭ない。比較する対象があれば、どれだけ俺がいいか分かるだろ……それに競う相手はいたほうが刺激的で面白い」

 ……ただ抱くだけでは気が済まないのか。

 チリリ、と胸に嫌な痛みが疼く。
 今まで覚えたことのない不快な感覚に眉をひそめていると、華候焔と才明が各々に俺を見つめた。

「さあ、どうする? どんな道を選ぶにしても、俺はそれに従おう」

「私も同じくです。誠人様、いかがなされますか?」

 決断を求められて俺は息を詰める。

 迷ってはいない。ここへ来る前から、俺のできる限りのことをしようと決めていた。
 負けないためなら何を利用しても惜しくはない。それが自分の体だってとしても。

 ――心の準備はできている。だが、感情が往生際悪く抵抗する。

 一瞬、華候焔の目を見る。
 心の読めない目だが、そこはかとなく高揚の熱を帯びている。

 本当にお前はそれでいいのか、焔……。

 長い息をつき、俺は自分の感情を捻じ伏せる。
 そしてぎこちないながらも頷いた。

「……分かった、条件を呑もう。才明、俺の所に来てくれ」

 引き返せない言葉へ、才明が「ありがたき幸せ」と跪いて拝礼する。

 頭を上げて俺を見上げるその視線から、熱と欲が抑え切れずに溢れ出していた。
しおりを挟む
感想 12

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

男子高校に入学したらハーレムでした!

はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。 ゆっくり書いていきます。 毎日19時更新です。 よろしくお願い致します。 2022.04.28 お気に入り、栞ありがとうございます。 とても励みになります。 引き続き宜しくお願いします。 2022.05.01 近々番外編SSをあげます。 よければ覗いてみてください。 2022.05.10 お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。 精一杯書いていきます。 2022.05.15 閲覧、お気に入り、ありがとうございます。 読んでいただけてとても嬉しいです。 近々番外編をあげます。 良ければ覗いてみてください。 2022.05.28 今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。 次作も頑張って書きます。 よろしくおねがいします。

牛獣人の僕のお乳で育った子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!!

ほじにほじほじ
BL
牛獣人のモノアの一族は代々牛乳売りの仕事を生業としてきた。 牛乳には2種類ある、家畜の牛から出る牛乳と牛獣人から出る牛乳だ。 牛獣人の女性は一定の年齢になると自らの意思てお乳を出すことが出来る。 そして、僕たち家族普段は家畜の牛の牛乳を売っているが母と姉達の牛乳は濃厚で喉越しや舌触りが良いお貴族様に高値で売っていた。 ある日僕たち一家を呼んだお貴族様のご子息様がお乳を呑まないと相談を受けたのが全ての始まりー 母や姉達の牛乳を詰めた哺乳瓶を与えてみても、母や姉達のお乳を直接与えてみても飲んでくれない赤子。 そんな時ふと赤子と目が合うと僕を見て何かを訴えてくるー 「え?僕のお乳が飲みたいの?」 「僕はまだ子供でしかも男だからでないよ。」 「え?何言ってるの姉さん達!僕のお乳に牛乳を垂らして飲ませてみろだなんて!そんなの上手くいくわけ…え、飲んでるよ?え?」 そんなこんなで、お乳を呑まない赤子が飲んだ噂は広がり他のお貴族様達にもうちの子がお乳を飲んでくれないの!と言う相談を受けて、他のほとんどの子は母や姉達のお乳で飲んでくれる子だったけど何故か数人には僕のお乳がお気に召したようでー 昔お乳をあたえた子達が僕のお乳が忘れられないと迫ってきます!! 「僕はお乳を貸しただけで牛乳は母さんと姉さん達のなのに!どうしてこうなった!?」 * 総受けで、固定カプを決めるかはまだまだ不明です。 いいね♡やお気に入り登録☆をしてくださいますと励みになります(><) 誤字脱字、言葉使いが変な所がありましたら脳内変換して頂けますと幸いです。

お兄ちゃん大好きな弟の日常

ミクリ21
BL
僕の朝は早い。 お兄ちゃんを愛するために、早起きは絶対だ。 睡眠時間?ナニソレ美味しいの?

臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式の話

八億児
BL
架空の国と儀式の、真面目騎士×どスケベビッチ王。 古代アイルランドには臣下が王の乳首を吸って服従の意を示す儀式があったそうで、それはよいものだと思いましたので古代アイルランドとは特に関係なく王の乳首を吸ってもらいました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

処理中です...