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●五話 平等で甘美な褒美
●褒美の取り合い2
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察しのいい才明が俺の変化に目ざとく気づき、隙を突くように唇を重ねてくる。
華候焔よりも薄い唇――咄嗟に比べてしまう自分に、体がそれだけ華候焔に囚われていることを思い知る。
そしてゆっくりと舌を口内へ差し込み、味わうように舐め回され、才明もこの手の行為に慣れた人間なのだと分かってしまう。
「……ぅ……っ……ン……ッ!」
唇を才明に弄ばれる中、華候焔は俺の胸で戯れ、うなじに吸いついてくる。
媚薬で弛緩する体は二人からの刺激を素直に受け取り、悦びに昂っていく。
これだけで全身が弾けそうで泣きたくなってくる。
酷い目に遭っているという嘆きではなく、早く体の疼きをどうにかして欲しいという懇願で――。
さわ……と。おもむろに才明が俺の内腿へ手を這わす。
「――……ッッ」
口を塞がれたままの愛撫に、俺はくぐもった声を漏らす。浴場で仕上げられ、媚薬で身構える術をすべて奪われてしまった体はあまりに無防備で、たったひと撫ででも激しくも甘い痺れが走る。
過剰に感じてしまう俺が面白いのか、内腿をさすりながら才明が小さく笑う。
「可愛いですねえ誠人様……もしかして、直接触らなくてもイけてしまいます? まだこの世界に来たばかりなのですよね? それなのにこんなに愛らしい体になって……」
「……ッ……い、言うな……ア……ッ」
「分かってますよ。後ろの悪い御仁が誠人様を変えてしまったことは……真っ直ぐな若者をこんなに変えてしまって、悪いお人ですね」
喉の奥でからかいうように笑いながら、才明は後ろで俺を捕らえ続ける華候焔を見る。
フッ、と華候焔の吹き出して笑う息に背筋が疼き、「あぁ……っ」と声を上げて悶えてしまう。そんな俺で楽しみ続けながら、華候焔が低い声で囁く。
「悪いのはお互い様だろ? 二人でやろうと提案したのはお前だ。確実に誠人を堕とすために、俺を利用して快楽を徹底的に刻み込みたかったんだろ? なんて悪い狐だ」
「そんな人聞きの悪い……私のは誠人様の信頼を早く得るためですよ。すでに馴染みのある華候焔殿と一緒に相手をして頂いたほうが、誠人様は安心して下さる。そのほうが私を知ってもらえるかと」
「その狙いは分かってる。だから俺も話に乗った……だが、なぜそこまで誠人の信を得ようとする? 他の狙いもあるんじゃないのか?」
「フフ、どうでしょうねえ? それを言うなら華候焔殿も狙いがあるのでは? 無意味なことはしない人種でしょう、貴方は」
「俺はただ熱が欲しいだけだ。お前のように計算しながら生きていないんだよ」
「ここまでの流れを仕込んで、今さら何を――」
牽制し合っているのか、戯れの一環なのか、今の俺には判断ができない。
気になる話をしているとは思ったが――二人して俺を翻弄する手は止めていない。情けなく身悶え、声を抑えて啼きながら二人の言葉を拾うのに精いっぱいだった。
華候焔よりも薄い唇――咄嗟に比べてしまう自分に、体がそれだけ華候焔に囚われていることを思い知る。
そしてゆっくりと舌を口内へ差し込み、味わうように舐め回され、才明もこの手の行為に慣れた人間なのだと分かってしまう。
「……ぅ……っ……ン……ッ!」
唇を才明に弄ばれる中、華候焔は俺の胸で戯れ、うなじに吸いついてくる。
媚薬で弛緩する体は二人からの刺激を素直に受け取り、悦びに昂っていく。
これだけで全身が弾けそうで泣きたくなってくる。
酷い目に遭っているという嘆きではなく、早く体の疼きをどうにかして欲しいという懇願で――。
さわ……と。おもむろに才明が俺の内腿へ手を這わす。
「――……ッッ」
口を塞がれたままの愛撫に、俺はくぐもった声を漏らす。浴場で仕上げられ、媚薬で身構える術をすべて奪われてしまった体はあまりに無防備で、たったひと撫ででも激しくも甘い痺れが走る。
過剰に感じてしまう俺が面白いのか、内腿をさすりながら才明が小さく笑う。
「可愛いですねえ誠人様……もしかして、直接触らなくてもイけてしまいます? まだこの世界に来たばかりなのですよね? それなのにこんなに愛らしい体になって……」
「……ッ……い、言うな……ア……ッ」
「分かってますよ。後ろの悪い御仁が誠人様を変えてしまったことは……真っ直ぐな若者をこんなに変えてしまって、悪いお人ですね」
喉の奥でからかいうように笑いながら、才明は後ろで俺を捕らえ続ける華候焔を見る。
フッ、と華候焔の吹き出して笑う息に背筋が疼き、「あぁ……っ」と声を上げて悶えてしまう。そんな俺で楽しみ続けながら、華候焔が低い声で囁く。
「悪いのはお互い様だろ? 二人でやろうと提案したのはお前だ。確実に誠人を堕とすために、俺を利用して快楽を徹底的に刻み込みたかったんだろ? なんて悪い狐だ」
「そんな人聞きの悪い……私のは誠人様の信頼を早く得るためですよ。すでに馴染みのある華候焔殿と一緒に相手をして頂いたほうが、誠人様は安心して下さる。そのほうが私を知ってもらえるかと」
「その狙いは分かってる。だから俺も話に乗った……だが、なぜそこまで誠人の信を得ようとする? 他の狙いもあるんじゃないのか?」
「フフ、どうでしょうねえ? それを言うなら華候焔殿も狙いがあるのでは? 無意味なことはしない人種でしょう、貴方は」
「俺はただ熱が欲しいだけだ。お前のように計算しながら生きていないんだよ」
「ここまでの流れを仕込んで、今さら何を――」
牽制し合っているのか、戯れの一環なのか、今の俺には判断ができない。
気になる話をしているとは思ったが――二人して俺を翻弄する手は止めていない。情けなく身悶え、声を抑えて啼きながら二人の言葉を拾うのに精いっぱいだった。
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