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●五話 平等で甘美な褒美

●労いの褒美

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 決して激しくはない指の動き。
 だが、俺の鼓動に合わせるようにグッ、グッ、と才明は指の腹で俺の中を押し、確実に快感を詰め込んでいく。

 体が過敏になっているせいかもしれない。快感が微塵も逃げない。
 華候焔のような欲情するままに解す動きとは違う、機械的とすら思ってしまう刺激。

 それが呆気なく俺を追い詰め、快楽の頂に押し上げ、そして――。

「――ッッ! ……ぅぅ……っ……」

 指一本で大きく中が弾けて、俺は一瞬だけ体を強張らせ、すぐに弛緩する。

 本当ならこれで十分だと体は慰められるのだろう。だが、今は媚薬のせいで呼び水になり、もっとやれとせがむように才明の指を肉壁が引き絞ろうとする。

 そんな懇願をやんわりと断るように、才明は俺の中から指を引き抜いた。

「ほら、見て下さいよ華候焔殿。後ろで達して、こんなに嬉しそうな顔をされていますよ」

「馬鹿。物足りないんだよ、これぐらいじゃあ。もっと欲しくて堪らないんだろ、誠人?」

 ……そんなこと、聞かれても……。
 まともに思考が働かない俺へ、華候焔も才明も口々に都合の良いことを言ってくる。

 俺の言葉なんて二人とも望んでいないのは分かっている。
 欲しいのは心から悦んで、淫らによがる俺。

 だから人の返事も了承も待たずに、二人は俺をひっくり返して四つん這いにさせてくる。

 目の前には乱れた寝間着の間からそそり立つ、華候焔の肉棒。
 間近で見せつけられ、その大きさに息を呑んでいると、赤黒く肉厚な先端が差し出された。

「今日は先にこっちで構ってもらおうか。下は俺をしっかりと覚えてくれたが、こっちはまだだ。誠人の初めては全部俺が貰いたい」

 どうしろと言われなくても、ここまでされると華候焔の望みが分かる。

 これを、自分から進んで口の中へ……。
 ぞくりと背中が甘く疼く。しかし、あまりに凶悪でグロテスクですらあるそれを口に含むのは、快楽に麻痺した頭でも躊躇ってしまう。

 口を開けない俺の頬へ、華候焔がそっと手を添えて告げてくる。

「くれよ、誠人。今日も俺は仕事をしたはずだ。お前から労いの褒美が欲しい」

 その言い方はズルいな、と思う。
 俺がここで勝ち続けるための対価。本来なら金銀財宝を与えるべきなのに、俺の身ひとつで済んでいる。

 真っ当なやり方では不可能な勝利。これぐらいで済むなら、むしろ安いほうなのだろう。それに――。

 俺は上目遣いで華候焔を見上げる。
 期待と興奮で妖艶に笑い、熱視を俺に注ぎ続ける華候焔。

 俺が期待に応えれば、もっと俺を見てくる目に熱がこもるのだろうか?

 そう思った途端、俺は口を開いて自ら華候焔の欲情を迎えていた。
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