俺はVR中華風戦闘SLGで、体を褒美に覇者を目指す

天岸 あおい

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八話 本当の仲間は誰?

狙いに気づきながらも……

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 技を教えてもらった時に、華候焔は柔道を知っていると言っていた。
 俺の世界のことで武に関することは、基本的なことなら知っている――それがこの世界の将たちの当たり前だと思っていたが、こうなってくるとそれすら怪しい。

 初めて登用した将が華候焔だったから、それが当たり前だと鵜呑みにしてしまった。
 だが、本当はどの武将も知っているとは限らないかもしれない。ゲームを始めたばかりの俺に、華候焔は俺にどの将も知っているように思わせるよう仕向けた可能性がある。

 もしそうだとしたらなぜだ?
 騙すのが目的ならば、言わなければいいはず。

 つまり華候焔は俺に気づいて欲しくて、敢えて言った……?
 才明と同じように外見は違えど現実に存在し、このゲームから解放されるために俺を利用しようとしているのか?

 俺は思わず華候焔の腕を掴み、こっちを見てくれと引っ張ってしまう。

「ん? どうしたんだ誠人様?」

 不思議そうな顔をして華候焔が俺に目を向ける。
 気づいてしまったことを口にしかけて、俺は思い留まる。

 これだけ人がいる状態で本音を話してはくれないはず。
 二人きりになって、誰にも聞かれない距離で囁き合う――この体で褒美を与える時が最良なのだろう。

 俺は尋ねたい気持ちを堪えながら、この場に合ったことを口にする。

「よ、よく図面を見て分かったな。言われるまで何が書かれているか理解できなかった」

「ふっふっ……俺は武器に興味があるから、一時期はよく勉強していたんだ。知らないと俺に合った武器が何か、なんて分からないからな」

 胸を張って自信満々に答えた華候焔に対し、図面を書きながら才明が一笑した。

「流石は華候焔殿ですね。理解しているならば話が早い。実はこれを個人で持てる小型の物と、有効な場所に設置する大型の物の二通りを用意できれば……と思っているんです」

「良いじゃねえか。これなら人数が少なくても十分に戦える。敵が攻めてきた時に、山から狙いを定めて敵将を討てる。兵を減らさずに敵を追い返せるっていうのはありがたい」

「分かって下さってありがたいことです。後はどれだけ作れるか、ということですが……」

 狙いが華候焔に通じたと言いたげに、才明は目を合わせて互いに短く頷く。

 それから二人して鉄工翁へ目を向け、眼差しで答えを求める。
 鉄工翁は描き終えた才明の図面を手に取り、隅々まで目を通す。

 すべてを見終えた後、鉄工翁は大きく頷いた。

「材料さえあれば作れるぞ。どんどん素材を運んできてくれ!」
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