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八話 本当の仲間は誰?

自ら望んで与える褒美

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   ◇ ◇ ◇

 夕食を終えて身を清めた後、俺は自室の寝台に腰かけ、何度も深呼吸を繰り返していた。

 いつもなら俺が呼ばずとも華候焔が勝手に入ってくる。
 しかし今日だけは俺の意思を伝え、皆に受け入れてもらった。

 一番渋るだろうと思っていた華候焔は、予想に反して俺の望みに快く賛同してくれた。
 ほんの一瞬だけ、悔しげというか、残念そうな目の色が覗いていた――それが見えただけで、罪悪感を覚えながら安堵してしまう自分に気づいて頭を抱えたくなる。

 俺の体は華候焔を求めたがっている。
 だが今日は体の欲求よりも、俺の心と衝動を優先させた。

 これからのことは俺が望んで選んだこと。
 だが、緊張して落ち着かない。見苦しく部屋の中を歩き回り、込み上げてくる羞恥を散らしたくてたまらない。

 褥の中で誰かとまぐわうことは初めてではないのに……。
 次第に体が熱を帯びて火照っていく。顔の熱さのせいか、吸い込む息すら熱い。

 そして俺が待ち続けていると、部屋の外から足音が聞こえてくる。
 扉の前で立ち止まり、しばらく何も動かない。俺と同様に緊張している気配がよく伝わってきた。

 待ち切れず、俺は声をかけた。

「……入ってきてくれ、英正」

 促してもすぐに扉は開かなかった。息を整える間だろう。俺が深呼吸をひとつし終える頃に扉が開き、英正が部屋に足を踏み入れてくれた。

「失礼します……誠人様」

 扉を閉じる前から英正が俺の名を呼ぶ。
 領主ではなく、俺という人間と向き合おうとする時に切り替える呼び方。やけに硬い声で、英正の緊張が伝わってくる。

 バタンと扉を閉じたものの、英正は俺を見つめて立ち尽くすばかり。
 ああ、俺よりも緊張している――そう思ったら、俺は小さく笑えるだけの余裕が生まれた。

「英正、どうかこちらに来てくれ」

「は、はいっ。お待たせして申し訳ありません!」

 慌てて英正が駆け出し、瞬く間に俺の隣へ来てしまう。
 室内のたった短い距離だというのに、もう英正が息を切らしている。

 隣へ座ってくれと俺が軽く寝台を叩けば、大きく息を呑んでから英正が腰かける。

 体は触れ合っていないのに、英正の体温が伝わってきて俺の肌が甘く疼く。
 何も話さなければ、動悸が妙に体に響く感じがして胸が苦しい。

 早く楽になってしまいたくて、俺は口を開いた。

「本来なら役目を終えた後に褒美を与えるものだが……英正には危ない橋を渡ってもらうことになる。だから、先に褒美を渡しておこうと思う」

「……私が華候焔様がたを差し置いて、誠人様と……よろしいのですか?」

「もう了承は得ている。誰が見ても、今回は一番英正の負担が大きい。そして成功すれば大きな利を得ることができる。功労者は報われるべきだ」

 
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