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八話 本当の仲間は誰?
●貴方が欲しくてたまらない
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しばらく英正は無言で俺を見つめる。
目が泳ぎそうになるのを堪えながら英正の動きを待っていると、おもむろに節くれ立った手が俺の頬に触れてきた。
「誠人様、すみません。無理をなされているのは分かっています。本当は辞退したほうが、誠人様のお心を乱さないことも……でも、引き下がりたくないです。私も貴方が欲しくてたまらない」
眉間にシワを刻み、苦しげな顔をしながら英正が囁く。不安と申し訳なさを滲ませた瞳の奥に、情欲の火が灯っている。
英正とはこれが初めてではないのに、お互いが初めて交わりを持つかのような緊張感を宿している。俺と同じ――それが妙にホッとして、俺は小さく笑った。
「俺のことは気にしないでくれ。規模は大きくなったが、まだ豊かとは言えない状況だ。登用した将も増え、領土や武器の開発も必要で財が入り用になっている。十分な褒美を与えられない以上、俺が差し出せるのはこの体だけ……英正が望んでくれるなら、その、嬉しい――」
話を言い終えるよりも先に、英正は俺の唇を奪う。
つい今しがた申し訳なさそうにしていた者とは思えないほど、英正の舌と吐息が熱烈に絡んでくる。いつだってこうしたいという渇望が伝わってきて、俺の背筋がゾクゾクと疼く。
長く舌を睦み合わせ、俺の体が逃げぬよう甘い疼きで縛り付けた後。英正は一度唇を離して俺に跪く。
そして室内用の靴を脱がしながら俺の脚に口付ける。
恭しく両手を添えながら、英正が優しいキスを何度も刻んでくる。
恥ずかしいからやめてくれ、と言いかけて俺は言葉を飲み込む。
これは英正の褒美。彼のためのことであって、俺が納得するためのものではない。
英正が望むままに身を差し出す。それが俺の今の役割だ。
羞恥で鼓動が騒がしくなり、全身の熱が高まって顔から溢れ出していても、俺はそれから逃げずに受け入れた。
両脚の愛撫を終えて寝台に乗せた後、英正も履き物を脱いで上がってくる。
上体を起こしたままの俺に顔を近づけ、ジッと見つめてから唇を貪る。
クチュクチュと音が鳴るほどに力が抜け、そのまま倒れ込んでしまいたくなる。
しかしそれを許すまいとするかのように、英正は俺の腰と背中に手を回して支え続ける。
「ン……っ……む……」
自分からも倒れてしまわぬようにと英正の胸にしがみつけば、俺が英正にキスをもっとしてくれと強請るような形になってしまう。
何度もわずかに離れては唇を重ねることを繰り返していく内に、俺の頭の芯が溶けていく。
もう肉欲には抗えない体になってしまったことを痛感していると、キスを切り上げた英正が愛おしげに俺を見つめた。
「ああ、何もなくとも私で悦んで下さる……嬉しいです」
目が泳ぎそうになるのを堪えながら英正の動きを待っていると、おもむろに節くれ立った手が俺の頬に触れてきた。
「誠人様、すみません。無理をなされているのは分かっています。本当は辞退したほうが、誠人様のお心を乱さないことも……でも、引き下がりたくないです。私も貴方が欲しくてたまらない」
眉間にシワを刻み、苦しげな顔をしながら英正が囁く。不安と申し訳なさを滲ませた瞳の奥に、情欲の火が灯っている。
英正とはこれが初めてではないのに、お互いが初めて交わりを持つかのような緊張感を宿している。俺と同じ――それが妙にホッとして、俺は小さく笑った。
「俺のことは気にしないでくれ。規模は大きくなったが、まだ豊かとは言えない状況だ。登用した将も増え、領土や武器の開発も必要で財が入り用になっている。十分な褒美を与えられない以上、俺が差し出せるのはこの体だけ……英正が望んでくれるなら、その、嬉しい――」
話を言い終えるよりも先に、英正は俺の唇を奪う。
つい今しがた申し訳なさそうにしていた者とは思えないほど、英正の舌と吐息が熱烈に絡んでくる。いつだってこうしたいという渇望が伝わってきて、俺の背筋がゾクゾクと疼く。
長く舌を睦み合わせ、俺の体が逃げぬよう甘い疼きで縛り付けた後。英正は一度唇を離して俺に跪く。
そして室内用の靴を脱がしながら俺の脚に口付ける。
恭しく両手を添えながら、英正が優しいキスを何度も刻んでくる。
恥ずかしいからやめてくれ、と言いかけて俺は言葉を飲み込む。
これは英正の褒美。彼のためのことであって、俺が納得するためのものではない。
英正が望むままに身を差し出す。それが俺の今の役割だ。
羞恥で鼓動が騒がしくなり、全身の熱が高まって顔から溢れ出していても、俺はそれから逃げずに受け入れた。
両脚の愛撫を終えて寝台に乗せた後、英正も履き物を脱いで上がってくる。
上体を起こしたままの俺に顔を近づけ、ジッと見つめてから唇を貪る。
クチュクチュと音が鳴るほどに力が抜け、そのまま倒れ込んでしまいたくなる。
しかしそれを許すまいとするかのように、英正は俺の腰と背中に手を回して支え続ける。
「ン……っ……む……」
自分からも倒れてしまわぬようにと英正の胸にしがみつけば、俺が英正にキスをもっとしてくれと強請るような形になってしまう。
何度もわずかに離れては唇を重ねることを繰り返していく内に、俺の頭の芯が溶けていく。
もう肉欲には抗えない体になってしまったことを痛感していると、キスを切り上げた英正が愛おしげに俺を見つめた。
「ああ、何もなくとも私で悦んで下さる……嬉しいです」
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