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九話 新たな繋がり
素早い手の平返し
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「確かに、周囲の領主たちへの牽制になりますね……試し……」
次第に才明の様子が変わっていく。腕を組み、口元を手で押さえてブツブツと呟き――再び手を外した時には、その口端はキュッと引き上がっていた。
「私も近くまでご一緒してもいいですか? 参戦せず、盛大に打ち上がる花火を見学するだけですから」
「一歩兵として参加するなら構わんぞ。最大火力はどれだけか、しっかり見ておけ」
話があっさりとまとまってしまい、白澤が二度見するような動きで頭を振った。
「ちょっと才明、手の平返しが早すぎるんですけどー!」
「すみません。好奇心には勝てませんでした」
「まったくもうー……慎重なようで雑なんですから、アナタたちはー」
憤慨する白澤の意見に俺は心の中で大きく頷く。
華候焔と才明。どちらも頭が良くて知恵が回る。だが、自分たちの力量が分かっているためか、物事をあまり細かく詰めない。
最低限の道筋さえあれば結果が出せる二人。
天才肌の感覚に、一般人が理解してついていくのは大変だ。
しばらく憂いとも愚痴とも取れる呟きをグチグチと言ってから、白澤は俺の首に体を優しく巻き付けた。
「誠人サマが望んでいることなら、ワタシは受け入れるしかないんですけどねー。万が一がないよう、ちゃんとお守りしますからねー」
「ありがとう白澤。いつも世話になる」
「任せて下さいー。お望みでしたら、この二人の不埒な手からもお守りしますのでー。心底嫌だと心で念じて下さるだけで、ワタシの術が発動しますからー」
得意げな白澤な言葉を聞きながら、俺は全身を強張らせる。
……そんな大事なことは最初から言ってくれ。
白澤の言葉から見えてしまったことに気づかない華候焔と才明ではなかった。
各々にニヤリと笑い、俺に向けて色めいた視線を送ってくる。
「ほうほう。本当に誠人様が嫌がっているなら手が出せないと……」
「そうでしたか。少しやり過ぎてしまった自覚はありますので、本心は嫌がってるのではと危惧しておりましたが……そうでしたか」
ぞわり、と俺の背筋に悪寒が走る。
今までが真に受け入れられていたのだから、それ以上の行為をしても構わない――という二人の本音が覗いてしまい、俺は思わず呟いてしまう。
「……あまり俺を追い詰めてくれるな、白澤」
「えーっ、ワタシですかー! どうしてー!?」
人の首もとで騒ぎ立てる白澤の無自覚さに、俺は頭を抱えてしまう。
そんな俺たちを、華候焔と才明は楽しげに眺めるばかりだった。
次第に才明の様子が変わっていく。腕を組み、口元を手で押さえてブツブツと呟き――再び手を外した時には、その口端はキュッと引き上がっていた。
「私も近くまでご一緒してもいいですか? 参戦せず、盛大に打ち上がる花火を見学するだけですから」
「一歩兵として参加するなら構わんぞ。最大火力はどれだけか、しっかり見ておけ」
話があっさりとまとまってしまい、白澤が二度見するような動きで頭を振った。
「ちょっと才明、手の平返しが早すぎるんですけどー!」
「すみません。好奇心には勝てませんでした」
「まったくもうー……慎重なようで雑なんですから、アナタたちはー」
憤慨する白澤の意見に俺は心の中で大きく頷く。
華候焔と才明。どちらも頭が良くて知恵が回る。だが、自分たちの力量が分かっているためか、物事をあまり細かく詰めない。
最低限の道筋さえあれば結果が出せる二人。
天才肌の感覚に、一般人が理解してついていくのは大変だ。
しばらく憂いとも愚痴とも取れる呟きをグチグチと言ってから、白澤は俺の首に体を優しく巻き付けた。
「誠人サマが望んでいることなら、ワタシは受け入れるしかないんですけどねー。万が一がないよう、ちゃんとお守りしますからねー」
「ありがとう白澤。いつも世話になる」
「任せて下さいー。お望みでしたら、この二人の不埒な手からもお守りしますのでー。心底嫌だと心で念じて下さるだけで、ワタシの術が発動しますからー」
得意げな白澤な言葉を聞きながら、俺は全身を強張らせる。
……そんな大事なことは最初から言ってくれ。
白澤の言葉から見えてしまったことに気づかない華候焔と才明ではなかった。
各々にニヤリと笑い、俺に向けて色めいた視線を送ってくる。
「ほうほう。本当に誠人様が嫌がっているなら手が出せないと……」
「そうでしたか。少しやり過ぎてしまった自覚はありますので、本心は嫌がってるのではと危惧しておりましたが……そうでしたか」
ぞわり、と俺の背筋に悪寒が走る。
今までが真に受け入れられていたのだから、それ以上の行為をしても構わない――という二人の本音が覗いてしまい、俺は思わず呟いてしまう。
「……あまり俺を追い詰めてくれるな、白澤」
「えーっ、ワタシですかー! どうしてー!?」
人の首もとで騒ぎ立てる白澤の無自覚さに、俺は頭を抱えてしまう。
そんな俺たちを、華候焔と才明は楽しげに眺めるばかりだった。
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