188 / 343
十話 至高への一歩
溢れる自信
しおりを挟む
◇ ◇ ◇
城の外へ出ると、いつの間にか活気あふれる姿に成長した城下町に俺は目を見張る。
領主としての格がランクアップしたおかげなのだろう。
明らかに澗宇と同盟を結ぶ前よりも華美な建物が造られ、行き交う人の数も多い。
前回といい今回といい、こんなに急激に変わるものなのかと思っていると、白澤が俺の前に浮かびながら、誇らしそうに空を舞った。
「いやーすごいですよ、誠人サマー! 大量の資材と威力のある武器の生成で、ものすごく領土が発展しましたー。総合力の跳ね上がり方がすごいですよー。ちーと入ってますねー」
「当然ですよ、鉄工翁が張り切って例の弓を作っていますからね。伝説級の強武器が、一刻の間にいくつも武器庫へ増えていくような状況ですから」
馬に乗った才明も白澤同様に誇らしげに笑う。心なしか胸を張る姿が、できたことを褒めてくれるのを待つ子供のように見えてくる。
「才明、これから色々と仕込むと言っていたが、どうするつもりなんだ?」
俺が一回り大きな黒馬にまたがって才明に尋ねると、背後でフッという華候焔の笑いが聞こえてきた。
「まさか今から敵の領地に攻め込む、なんて言わんよな? もしそうなら喜んで暴れてやるがな」
……華候焔、なぜ俺と一緒に馬に乗るんだ? 背中が密着して落ち着かないんだが。
非常事態でもないのだから、自分の馬に乗ればいいのでは?
そう伝えたくて背後を見れば、華候焔と視線が合う。
ニヤリと笑うと、華候焔は離れるどころか俺の腹部に腕を回して囁いてきた。
「これだけ急に力をつけたら、太史翔以外の領主もなりふり構わず誠人を狙ってくる。暗殺されないための厄除けと思ってくれ」
しっかり考えてのことだったと知り、俺はハッとしてから短く頷く。
どうやら才明と白澤はそのことを理解していたらしく、より密着した俺たちを見ても否定はしなかった。ただ、
「誠人サマに変な虫がつかなくなるのはいいですけれど、特大の変な虫が取りついちゃって大変ですー。外でいかがわしいことはしないで下さいー」
「安心しろ。さすがに外で見せつける趣味はないから」
「えー……信じられませんー」
「俺だけに見せてくれる顔を、他の奴らに見せるなんて面白くないだろ。まあ誠人様が我慢できなくなって俺を求めてくれるなら、その時は応じるしかないがな」
「いかがわしいこと仕掛ける気マンマンじゃないですかー! 誠人サマの名誉のために、それだけは止めさせてもらいますからねー!」
俺を挟んで華候焔と白澤が恒例の言い合いを始める。至近距離でやめてくれ。耳が痛くなってくる。
思わず顔を引きつらせていると、上機嫌なままの才明が肩をすくめて一笑した。
「戯れはそこまでにして行きますよ? あまり遊ばれていると、本日は私が誠人様の褒美を独占することになりますから」
ピタッと華候焔と白澤が身を強張らせ、言い合いを収める。
「……そんなに自信があることを今からしでかしてくれるのか?」
どこか挑発じみた華候焔の問いかけに、才明は大きく頷いた。
「はい。今からお見せしますから、どうか楽しみにして下さい」
ぶれない才明の自信に、俺も目を見張るばかりだった。
城の外へ出ると、いつの間にか活気あふれる姿に成長した城下町に俺は目を見張る。
領主としての格がランクアップしたおかげなのだろう。
明らかに澗宇と同盟を結ぶ前よりも華美な建物が造られ、行き交う人の数も多い。
前回といい今回といい、こんなに急激に変わるものなのかと思っていると、白澤が俺の前に浮かびながら、誇らしそうに空を舞った。
「いやーすごいですよ、誠人サマー! 大量の資材と威力のある武器の生成で、ものすごく領土が発展しましたー。総合力の跳ね上がり方がすごいですよー。ちーと入ってますねー」
「当然ですよ、鉄工翁が張り切って例の弓を作っていますからね。伝説級の強武器が、一刻の間にいくつも武器庫へ増えていくような状況ですから」
馬に乗った才明も白澤同様に誇らしげに笑う。心なしか胸を張る姿が、できたことを褒めてくれるのを待つ子供のように見えてくる。
「才明、これから色々と仕込むと言っていたが、どうするつもりなんだ?」
俺が一回り大きな黒馬にまたがって才明に尋ねると、背後でフッという華候焔の笑いが聞こえてきた。
「まさか今から敵の領地に攻め込む、なんて言わんよな? もしそうなら喜んで暴れてやるがな」
……華候焔、なぜ俺と一緒に馬に乗るんだ? 背中が密着して落ち着かないんだが。
非常事態でもないのだから、自分の馬に乗ればいいのでは?
そう伝えたくて背後を見れば、華候焔と視線が合う。
ニヤリと笑うと、華候焔は離れるどころか俺の腹部に腕を回して囁いてきた。
「これだけ急に力をつけたら、太史翔以外の領主もなりふり構わず誠人を狙ってくる。暗殺されないための厄除けと思ってくれ」
しっかり考えてのことだったと知り、俺はハッとしてから短く頷く。
どうやら才明と白澤はそのことを理解していたらしく、より密着した俺たちを見ても否定はしなかった。ただ、
「誠人サマに変な虫がつかなくなるのはいいですけれど、特大の変な虫が取りついちゃって大変ですー。外でいかがわしいことはしないで下さいー」
「安心しろ。さすがに外で見せつける趣味はないから」
「えー……信じられませんー」
「俺だけに見せてくれる顔を、他の奴らに見せるなんて面白くないだろ。まあ誠人様が我慢できなくなって俺を求めてくれるなら、その時は応じるしかないがな」
「いかがわしいこと仕掛ける気マンマンじゃないですかー! 誠人サマの名誉のために、それだけは止めさせてもらいますからねー!」
俺を挟んで華候焔と白澤が恒例の言い合いを始める。至近距離でやめてくれ。耳が痛くなってくる。
思わず顔を引きつらせていると、上機嫌なままの才明が肩をすくめて一笑した。
「戯れはそこまでにして行きますよ? あまり遊ばれていると、本日は私が誠人様の褒美を独占することになりますから」
ピタッと華候焔と白澤が身を強張らせ、言い合いを収める。
「……そんなに自信があることを今からしでかしてくれるのか?」
どこか挑発じみた華候焔の問いかけに、才明は大きく頷いた。
「はい。今からお見せしますから、どうか楽しみにして下さい」
ぶれない才明の自信に、俺も目を見張るばかりだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
394
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる