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十二話 真実に近づく時

●露天風呂での情事

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   ◇ ◇ ◇

 砦に併設された露天風呂は、領主や軍を率いる将軍など一部の人間が入ることができる場所らしく、規模は小さかった。

 それでも四、五人は余裕で入ることのできる石積みの湯船は解放感がある。どこからか温泉を引いているのか、湯の質も柔らかで温度も心地よい。

 しっかりと木の衝立で囲まれ、人の目は届かない。時折見回りの兵が歩く足音が聞こえるだけで、人気はなく、四方の隅に灯る松明の温かな光がさらなる癒やしを与えてくれる。

 俺の領地にもいくつか作りたいと思う。
 だが、同時に作るのは危険だと本能が警告してくる。

 作れば俺に何が待っているか。考えずとも答えは明白だ――。



「……ぅ……っ……ン」

 湯船に浸かりながら、俺は華侯焔に背後から抱えられ、身体を弄られていた。

 衝立があるとはいえ、声を出せば辺りに響いてしまう。見回りの兵に嬌声を聞かれる訳にもいかず、俺は自分の口を必死に押さえながら身悶える。

 華侯焔の大きな手が俺の胸に指を喰い込ませ、ゆっくりと揉みしだく。
 湯の温かさも手伝い、身体が呆気なく火照る。普段よりも緩慢な動きに焦れったさを覚えるが、華侯焔のちょっとした動きが刺激となり、俺の頭が痺れて点滅する。

 俺の耳元やうなじを、唇で緩やかに絶え間なく口づける華侯焔が密やかに呟く。

「こうやって二人でゆっくりできるのも久し振りだな……胸、少し育ったか? 俺もアイツらも、ここはよく構っているしな」

「……ッ……」

 ぎゅむ、と強く胸を揉まれて、思わず俺は仰け反る。背中が華侯焔から離れかけるが、少しの隙間も許すまいとするかのように俺を押さえ込み、互いを密着させる。

「催淫効果のある軟膏を使わなくても、もうこんなに感じて……これだけでイけるんじゃないのか? 今だっておカタい奴なのに、可愛く成り果てて……」

 言いながら華侯焔は俺の乳頭を指の腹で弄ってくる。思わず首を振ってよがってしまうと、耳を甘くかじって追い詰めてくる。

 本当は澗宇たちとこれからの話をしなくてはいけないのに。
 ここに来て分かったことを、整理していかなければいけないというのに。

 熱と快楽で頭がぼんやりとして、何も考えられない。
 本能のままに激しく貪られたい欲が、じわり、と俺の腰の奥から這い寄るのを感じた瞬間。

「焔……っ」

 俺は身体を捻り、自ら華侯焔の首に抱きついて唇を重ねてしまう。
 舌も余裕なく俺から挿し入れ、快楽を強請るように華侯焔と口内を睦み合わせる。

 どちらの世界でも溺れてしまう。
 羞恥と湯の温度でのぼせそうな俺を、華侯焔は受け止めるように抱き締め、強靭な腕の中に閉じ込めた。
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