思い出のムーンライト 〜遠き過去の3年間〜

２８歳

不機嫌な日々。

乗船まであと３週間となった。

弟分の源は婚約中の女性（同じ天理教）がいる長野へ行きしばらく帰ってはこなかった。

平とは居酒屋の後に2軒ハシゴしたが、またケンカした。以来、平とは全く会わなくなった。

家でも、私とお袋はまた大ケンカした。親父があわてて間に入っていたた。

妹に責められた。
「パパには優しくして！」

家族とも友人とも仲たがいした私はいつの間にか孤立し不機嫌な日ばかりが続いた。

そんな中、Yとの［文通］だけは変わらず続いていた。



乗船まであと2週間。そういえば今月で29歳になる。

不機嫌な日々は続いていた。

今まで心満たされた時はあったか？何度かはあったと思った。しかし、20代になってからは余裕をなくし、むなしさばかりが募った。

そして、最近では寂しさを感じるようになった。

ある日。親父が話しかけてきた。

「Zよ。今度、愛・地球博いってこやぁ🎵」



Yとのメールはすでに2カ月も続いていた。Yとはあれきり直に会ってはいないが。

Yは言った。
［Z君。色々話してくれてありがとう。(^^)

私も数年前に母を亡くして人を信じられなくなったときがあったの。

でもそれから少しして、気づいたことがあって。

みんな弱い所や守りたいものがあるのだと。］

Yの言葉（メール長文）は続いた。

［だから誰に対しても自分から心を開いていくことにしたの。そうすれば相手の人も心を開いてくれるとおもって。(^^)］

13年ぶりにコンビニで会った時のYの、あの自然な笑顔を思い出した。


私はまた夜のドライブに出かけた。満月が見えていた。

暗闇のずっと遠くに、ようやく針の穴ほどの小さな光がみえたような気がした。