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29歳
乗船中。Yとのメール文通の日々。
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6月。すでに私は29歳になっていた。乗船してきて1ヶ月半。体はなじんできていた。
Yとのメールはほとんど毎日のように続いていた。私はYとのメールに居心地の良さをおぼえていた。
だが、Yはすでに婚約中なのだ。
[再来週、帰るから🎵]
[お疲れ様。帰ってきたら会おうよ。(^^)]
Yから会おうと言ってきた。
7月。山口で下船した。
Yから会おうと言ってきた。Yは俺のことが好きなのか?あるいは?
そもそもYは他の男と結婚したばかりだ。
Yと直に会ったのは2月に一度だけ。それは13年ぶりの再会のときだった。
通話もあれきりだ。だが、半年近く、文通を続けてきた。
私は結婚式で花嫁を連れ去る男の物語を思い出した。
2カ月ぶりに自宅へ帰ってきた。
親父は色々と私に気を使ってくるようになった。
しかし、親父に対して私は無愛想だった。
どんよりした日が続いた。Yにメールした。
[帰ってきたよ🎵いつ会える?]
[おかえり。妹が体調くずしてつきこそいで今、病院に。]
そういえばまだ実家にいるのだったな。
この帰宅中。Yとは結局会えなかった。
Yは安心出来る存在だったのだが、いよいよ不安になってきた。そして、例の恋わずらいが始まっていた。
あかん。俺はYを好きになっとる。中学卒業後の時よりも。
私は結婚式で花嫁を連れ去る男の物語をまた思い出した。
何ならYをうばうか。魔が差してきた。
ふっ。。バカな。
{今にして思う。当時のYにも葛藤(かっとう)があったのだったかもしれなかった。}
乗船の日がやってきた。
親父が見送りにきた。小さな親父がさらに小さくみえた。だが、悲しいくらいに覚悟を決めていた親父の表情だった。
その理由は分からなかった。
私は無愛想になりながらも、自然と親父のやせ細ってしまった背中をさすっていた。
{このときの親父の表情を今も忘れていない}
乗船7日目。Yからメール。
[こないだ会えなくてごめんね。今度こそ会いましょうね。]
だが、私は決意していた。
[俺はYちゃんのことが好きになってしまった。好きになってしまった以上、俺という存在はYちゃんの邪魔でしかならん。
だからメールはここで終わりにしようと思う。今までありがとう。お幸せに。]
Yの表情を確かめるすべはなかった。
[Z君の気持ちはうれしいです。ありがとう。元気でね。(^^)]
私にはYが悲しんでいたようになぜか思えた。
だが、いずれにせよ少なくとも今は結ばれぬ縁。これでよかったのだ。
こうして半年に渡るYとの文通は終わった。恋わずらいはまたさらに続いていくだろう。
{だが、実はYとの関係はこれで終わりではなかったのだ。}
11月。乗船して2カ月。大分の街に上陸していた。
Yとの文通関係が終わってから2カ月たった。今でもYのことを思い浮かべる時が多かった。
だが、やがて忘れることができるだろう。
朝の4時。私は寝ていた。妹から着信があった。
こんな時間に着信とは。。悪い予感がした。
「パパが亡くなった。。。」
「何!?」
Yとのメールはほとんど毎日のように続いていた。私はYとのメールに居心地の良さをおぼえていた。
だが、Yはすでに婚約中なのだ。
[再来週、帰るから🎵]
[お疲れ様。帰ってきたら会おうよ。(^^)]
Yから会おうと言ってきた。
7月。山口で下船した。
Yから会おうと言ってきた。Yは俺のことが好きなのか?あるいは?
そもそもYは他の男と結婚したばかりだ。
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通話もあれきりだ。だが、半年近く、文通を続けてきた。
私は結婚式で花嫁を連れ去る男の物語を思い出した。
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親父は色々と私に気を使ってくるようになった。
しかし、親父に対して私は無愛想だった。
どんよりした日が続いた。Yにメールした。
[帰ってきたよ🎵いつ会える?]
[おかえり。妹が体調くずしてつきこそいで今、病院に。]
そういえばまだ実家にいるのだったな。
この帰宅中。Yとは結局会えなかった。
Yは安心出来る存在だったのだが、いよいよ不安になってきた。そして、例の恋わずらいが始まっていた。
あかん。俺はYを好きになっとる。中学卒業後の時よりも。
私は結婚式で花嫁を連れ去る男の物語をまた思い出した。
何ならYをうばうか。魔が差してきた。
ふっ。。バカな。
{今にして思う。当時のYにも葛藤(かっとう)があったのだったかもしれなかった。}
乗船の日がやってきた。
親父が見送りにきた。小さな親父がさらに小さくみえた。だが、悲しいくらいに覚悟を決めていた親父の表情だった。
その理由は分からなかった。
私は無愛想になりながらも、自然と親父のやせ細ってしまった背中をさすっていた。
{このときの親父の表情を今も忘れていない}
乗船7日目。Yからメール。
[こないだ会えなくてごめんね。今度こそ会いましょうね。]
だが、私は決意していた。
[俺はYちゃんのことが好きになってしまった。好きになってしまった以上、俺という存在はYちゃんの邪魔でしかならん。
だからメールはここで終わりにしようと思う。今までありがとう。お幸せに。]
Yの表情を確かめるすべはなかった。
[Z君の気持ちはうれしいです。ありがとう。元気でね。(^^)]
私にはYが悲しんでいたようになぜか思えた。
だが、いずれにせよ少なくとも今は結ばれぬ縁。これでよかったのだ。
こうして半年に渡るYとの文通は終わった。恋わずらいはまたさらに続いていくだろう。
{だが、実はYとの関係はこれで終わりではなかったのだ。}
11月。乗船して2カ月。大分の街に上陸していた。
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だが、やがて忘れることができるだろう。
朝の4時。私は寝ていた。妹から着信があった。
こんな時間に着信とは。。悪い予感がした。
「パパが亡くなった。。。」
「何!?」
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