大いなる神秘の鍵

エリファス1810

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第3部 自然の神秘

第3部 第1巻 第4章 流体の霊と流体の霊の神秘

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第3部 第1巻 第4章 流体の霊と流体の霊の神秘

 古代人は、ラルヴァ、レムレース(エンプーサ)といった様々な名前を流体の霊に与えた。
 流体の霊は、流血の蒸気を好む。
 流体の霊は、剣の刃から逃げる。
 聖職者が、流体の霊を呼び出した事が有った。
 カバラでは、四大元素の霊という名前の下で、流体の霊を認めていた。
 しかし、流体の霊は霊ではない。
 なぜなら、流体の霊は死ぬ存在である。
 流体の霊は、流体の凝固体である。
 人は、流体の霊を分割して破壊する事ができる。
 流体の霊は、一種の動く幻であり、人の命による不完全な放射物である。
 黒魔術の口伝では、「アダムの独身という禁欲生活のせいで流体の霊は生まれた」と言われている。
 パラケルススは、「病的に興奮した女性の血の蒸気は、大気を霊に満ちあふれさせる」と話している。
 流体の霊についてのパラケルススなどの考えは、非常に古い。
 ヘシオドスの話に、流体の霊についての考えの痕跡が見つかる。
 ヘシオドスは、夢精といった種類の汚れが染みたリネン(、亜麻布)を火の前で乾かす事をあからさまに禁じている。
 通例、流体の霊がとりつく人々は、厳し過ぎる禁欲で逆に性的に興奮しているか、不節制で衰弱している。
 流体の霊は、命の光、星の光による失敗作である。
 流体の霊は、肉体と精神が無い、自由な形にできる仲介するものであり、過剰な精神や肉体の不調から生まれる。
 流体の霊と必然的に共感する、堕落した人々は、さまよう仲介するものである流体の霊を引き寄せ、自身を犠牲にして多かれ少なかれ長持ちする見せかけの存在性を流体の霊に貸し与える。
 流体の霊は、補助的な道具として、堕落した人々の直感による決断に役立つが、堕落した人々を治すためではなく、常に、更に迷わせるためであり、ますます幻覚を見せるためである。
 胎児の肉体が母の想像がもたらす形に成るのであれば、(堕落した人々の妄想は簡単に変化するので、)さまよう流体の胎児である流体の霊は、驚くほど変身できる必要が有るし、驚くほど簡単に変身する必要が有る。
 人を引き寄せるために星の体を形成する流体の霊の傾向は、星の体を濃縮して、大気中に浮遊している星の体の分子である霊化している血を自然と吸収する。
 前記の様にして、流体の霊は、霊化している血の蒸気を凝固させて、再び、霊化している血の液体にする。
 幻覚を見る狂人は、流体の霊による霊化している血の液体が、絵や像を流れるのを見る時が有る。
 しかし、幻覚を見る狂人だけが、流体の霊による血の液体を見た人々であるわけではない。
 ヴァントラスやローズ タミシエは詐欺師でもなく短絡的な者でもない。
 物質的な血が実際に絵や像を流れた。
 医者が、絵や像を流れた赤い液体を調査して分析した所、血、本物の人の血であった。
 どこから、物質的な血は来たのか?
 自然発生的に、大気中で、物質的な血が形成される事は有り得るのか?
 自然と、冷たい大理石の像から、絵が描かれたキャンバスから、聖体のパンから、物質的な血が流れる事は有り得るのか?
 疑い無く、いいえ。
 像や絵を流れた物質的な血は、かつて、人の肉体の血管の中を巡っていた。
 人の肉体の中の血が、外に流出、気化、霊化して、乾燥して、血の無形の液体成分である血漿は霊化している蒸気に変わり、血の有形成分である血球は手で触れない霊妙な粉に変わり、霊化している血全体が大気中で浮遊し渦巻き、特定の電磁気の流れ、星の光の流れに引き寄せられる。
 星の光の流れにより、霊化していた血漿は、物質的な液体の血漿に戻り、星の光が霊化していた血球を取り込んで同化して、物質的な血に成って絵や像を流れた。
 写真は、「映像が現実での光の変化である」事を十分に証明している。
 大気中にさまよう幻である流体の霊の永続的な痕跡が、木の葉の上、木の中、石の中心部に残された、思いがけない、写真に例えられる物が存在する。
 「前代未聞の驚異」という本で、ガファレルは、「流体の霊の痕跡が残された」という形で形成された自然の象徴について、数ページを割り当てている。
 ガファレルは、隠された力が有ると考えた、流体の霊の痕跡が残された石を、「gamalies」と呼んだ。
 流体の驚異現象、星の光の驚異現象の観察者を大いに驚かせる、驚異現象で浮かび上がる文や象徴は、「流体の霊の痕跡が残された」という形で描かれる。
 流体の霊ラルヴァの助けが有ったり無かったりする、霊媒師の想像力が描く、驚異現象で浮かび上がる文や象徴は、星の光による星の写真である。
 先手を打つ形による、非常に興味深い実験が、ラルヴァの存在を実証している。
 アメリカ人の霊媒師ホームの魔術の力を試すため、数人の人が、血縁者を亡くしたふりをして、実際には存在しない血縁者の霊を呼び出す様に霊媒師ホームに頼んだ。
 すると、ラルヴァが、霊媒師ホームの降霊術に応じて、実際には存在しない血縁者の霊として出現した。
 また、霊媒師ホームの降霊術が常に伴う驚異現象も全て起こった。
 霊媒師ホームが存在しない人の霊を呼び出してしまった実験は、霊が驚異現象に介入していると誤って思い込んでいる人々に自身の厄介な軽信性と型にはめられてしまう誤信性を十分に悟らせるであろう。
 死んだ人が、この世に戻るには、この世に存在していた事が何よりも必要である。
 また、悪人の霊は、生きている人に、だまされやすくは無いであろう。
 全てのカトリック教徒の様に、エリファス レヴィは闇の霊、悪人の霊の存在を信じている。
 ただし、エリファス レヴィは、「神の力が闇を永遠の牢獄として悪人の霊にもたらしている」事も知っている。
 (マタイによる福音22章13節「外の闇」)
 また、エリファス レヴィは、ルカによる福音10章18節で救い主イエスが「私イエスは、サタンが雷の様に天から堕ちるのを見た」と話している事も知っている。
 悪人の霊による生きている人の誘惑は、生きている人の肉欲による自発的な共謀による物である。
 悪人の霊が生きている人を誘惑するには、生きている人が肉欲によって自発的に悪人の霊に協力する必要が有る。
 また、悪人の霊が、些細な理由で、無益に、この世に出現して、自然の永遠の秩序を乱して神の統治に抵抗する事を、神は許していない。
 知らないで霊媒師がもたらす、悪魔のふりをした悪人の霊による「悪魔のサイン」は、霊媒師という堕落した人と、底無しの淵の知的存在である悪人の霊の間で結ばれた暗黙の契約または形式的な契約の証拠では明らかにない。
 悪魔のふりをした悪人の霊による「悪魔のサイン」は、創世の時から、星の光による星のめまいを表すのに役立っている。
 悪魔のふりをした悪人の霊による「悪魔のサイン」は、漏れた星の光の映像として、幻の状態で、残存している。
 また、自然には記憶が有り、自然は、自然の記憶と同一の概念に対して、自然の記憶と同一の象徴を人に放射し返す。
 前記の全てにおいて、超自然的なものも地獄のものも存在しない。

 中略

 星の光による、星の文書は、多くの場合、滑稽であるか、淫らである。

 中略

 「星の光による、星の文書が、多くの場合、滑稽であるか、淫らである」事は、エリファス レヴィの仮定の更なる証拠である。
 「星の光による、星の文書が、多くの場合、滑稽であるか、淫らである」事は、「霊の出現と呼ばれている驚異現象が、霊などの知力によって管理されていない」という証拠である。
 また、「星の光による、星の文書が、多くの場合、滑稽であるか、淫らである」事は、「肉体といった物質による肉欲といった束縛から解放された霊の介入を、霊の出現と呼ばれている驚異現象において認める事は、何よりも無上に、非論理的である」という証拠である。

 中略

 人の思考は、人が想像したものを創造する。
 ラルヴァという迷信による幻は、奇形の姿を星の光に映して、自身を生じさせた恐怖によって生きる。
 ラルヴァは、世界の人々から光を隠すために、両翼を東と西へ伸ばす、黒い巨人である。
 ラルヴァは、人々の魂を飲み込む奇形である。
 ラルヴァは、恐れられている無知と恐怖による偽の神である。
 言い換えると、ラルヴァは、悪魔と呼ばれているものである。
 ラルヴァは、未だに、全ての時代の大多数の無知な幼子にとって、恐ろしい現実の存在である。
 「高等魔術の教理と祭儀」でエリファス レヴィは、悪魔を神の影と表現して、エリファス レヴィの考えの残り半分を隠したままであった。
 後記は、エリファス レヴィの考えの残り半分である。

 神は、影が無い、光である。
 悪魔とは、神の幻の影に過ぎない。
 神の幻!
 神の幻は、地上の最後の偶像である!
 人がねつ造する神の幻は、悪意から自身を目に見えなくする擬人化された霊である。
 神の幻は、無限を有限に擬人化したものである。
 神の幻は、人が見たら死んでしまう、目に見えないものである。
 神の幻は、人が見たら、少なくとも、人の知性と理性は死んでしまう、見えないものである。
 なぜなら、見えないものを見るには、狂う必要が有る。
 物質的な肉体を持たない神の幻。
 神の幻は、物質的な姿が無い無限の神の混乱した形である。
 神の幻は、大半の信者が知らないで信じているものである。
 本質的であり、純粋であり、霊的であり、絶対の存在ではない、抽象的な存在でもない、存在の集団でもない神、要約すると、知性を持った無限の者である神は、人には想像するのは非常に困難である!
 さらに、人が神を想像すると、人にとっては偽の神をねつ造する事に成ってしまい、人にとっては偶像崇拝者に成る事を意味してしまう。
 人は、神を知らないで、神を想像しないで、神をねつ造しないで、神を信じて神を敬礼するしかない。
 神の前では、人知は沈黙する必要が有る。
 思いやりだけが、「私の父である神」という名前を神にもたらす権利が有る!
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